2020.07.29
在宅勤務中に成長する人は「音声」を使っている|オフィスじゃできない「英語漬け」「音声入力」
在宅勤務における「音声」という武器の可能性を解説します(写真:electravk/iStock)
コロナ禍で在宅勤務になり、パフォーマンスやスキルアップが思うようにいかなくなった人もいれば、むしろ高い成果と早い成長を実現するようになった人もいる。両者の差を生むのは何か。そのポイントの1つが「音声」の使い方だ。
前回の「3密を避け密になる『在宅コミュケーション術』」に引き続き、『在宅HACKS! 自分史上最高のアウトプットを可能にする新しい働き方』を上梓した著者が、在宅勤務における「音声」という武器の可能性を解説する。
「3密を避け密になる『在宅コミュケーション術』」 ※外部サイトに遷移します
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耳からインプットしながら仕事をする
在宅勤務の難しさの1つに、「周りに人がいない寂しさに耐えられない」ということが挙げられます。その点、音声コンテンツは寂しさを紛らわすのに便利です。
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私は仕事用にさまざまなプレイリストを活用しています。AppleMusicのプレイリストには、「カフェミュージック」などの場面別のプレイリストや、「勉強がはかどるビート」や「読書にどっぷり」といった目的別のプレイリストがあります。Spotifyでも、「勉強」というジャンルがあり、「Music for Concentration」や「Study beats」といったさまざまなプレイリストが準備されています。
また、ラジオを流しながらの仕事は、パーソナリティの存在を身近に感じられるので、なんだかにぎやかな場所で仕事をしているかのような錯覚をもたらします。
さすがにオフィスでは好きな音楽をかけて仕事をすることはできないですが、自宅では誰も咎める人はいません。在宅勤務では、ここぞとばかりに好きな音楽をかけ、テンションをあげて仕事をすることができます。
このように、気分を盛り上げたり、気分転換のために音楽を活用している人はすでに多いと思いますが、本稿ではさらに情報のインプットとしての音声活用を提案します。
例えば、ラジオであれば、radikoアプリでいろいろな情報をインプットしながら仕事をするということも可能です。AppleのPodcastアプリにも、さまざまなコンテンツがあります。AmazonのAudibleというオーディオブックコンテンツもありますし、ほかにも、VoicyやHimalayaなどの音声コンテンツプラットフォームも出てきています。これからもどんどんコンテンツが増えていくでしょう。
在宅勤務という、人の目を気にしない働き方だからこそできる「ながら」情報インプット術です。
また、英語のスキルアップも在宅勤務と相性がいいでしょう。普通にオフィスで働いていたら、日中の時間はほとんど英語に触れられません。それが在宅勤務であれば、長時間英語漬けになれるわけです。
例えばPodcastにある英語コンテンツ「Monocle24」というシリーズには、Entrepreneurs(起業家)やCulture(文化)、Design(デザイン)などのテーマ別にプログラムが用意されています。それから、BBC Radio 4も勉強になります。ドキュメンタリーやインタビューなどを中心としたプログラムで、適度に専門用語が出てくるので、知識を広げるという意味でも効果的だと感じます。
これらを家で流しっぱなしにして仕事をすれば「在宅勤務を始めてからというもの、英語のスキルが格段に上がった」なんていう人も出てくるんじゃないかと思います。英語のスキルアップなら、間違いなく在宅勤務です。
寝そべりながらアウトプットを増やせる夢の方法
これまで情報のインプットばかりご紹介してきましたが、実は情報のアウトプットについても在宅勤務ならではの方法があります。それが音声入力です。
音声AIスピーカーに代表されるように、音声認識の精度は昨今格段に上がりました。かなり複雑なことをしゃべっても、的確に漢字変換もしてくれます。十分に仕事で使えるレベルになったと言えるでしょう。先日上梓した私の本『在宅HACKS!』も、最初の原稿は音声入力で書いています。
キーボードで入力すると、入力スピードがボトルネックとなって文章がなかなか進みませんが、音声はその何倍もの速度で入力していけます。音声入力がなければ、この本を書き上げるのに3倍の時間がかかっていたと思います。
ところで音声入力という方法は、それほど新しいモノではありません。一昔前に確立されたテクノロジーで、今までもすでに外国人はよく音声入力でSNSの入力をしています。でも、日本人でそれをしている人はほとんど見たことがありません。私の周りを見渡しても音声入力を使っている人はごくわずかです。
その原因は、音声入力できる場所が限られていることにあるのではないかと思っています。オフィスでぶつぶつ独り言をつぶやいているのは恥ずかしいです。また、入力している内容を隣の人に聞かれるのもどうも居心地が悪い。
ところが在宅勤務であれば、周りの人を気にすることなく音声入力をすることができます。これは革命的です。しかも、ソファに寝そべりながらでも可能です。
アウトプットしようと思っていることを頭に思い浮かべ、イメージがまとまってきたら、一気に音声で入力していく。細かな間違いは、あとから手入力で修正すれば大丈夫です。
音声入力によって、キーボード入力の遅さというボトルネックが、ついに外れたのです。
考えていないことは書けない
音声入力のボトルネックは、思考スピードです。当たり前ですが、考えてもないことをしゃべることはできません。実際に音声入力をやってみるとわかるのですが、しゃべることがなくなって悩む時間がけっこう多い。「もっと早く思考ができればどんどんアウトプットできるのに!」と誰もが思うことでしょう。
音声入力のコツは、この思考スピードというボトルネックをいかに外していくかにあります。つまり、音声入力する前に、ある程度考えを整理しておくのです。
そのときに、一字一句を準備しておくのは、実は効率が悪い。用意した言葉を言い切ったら、そこで入力が終わってしまうからです。セリフを準備して、そのセリフをそのまま言う、という順番だと、結局セリフを考えるという思考がこま切れになって、思考のスピードが上がっていかないのです。
そうではなくて、しゃべる全体のイメージをおおよそ持っておいて、あとは流れの中でしゃべり続けていくことが重要です。全体のイメージが固まってさえいれば、あとは細かな言い方の違いは気にせず、とにかくイメージに沿って言葉をしゃべり続けるのです。細かい間違いはあとから修正すれば大丈夫です。
ちなみに、こうしたイメージを固めようとしているときは、端から見ればぼーっとしてるだけのように見えます。だからオフィスで働いているときは、ぼーっとしていると思われたくないので、しょうがなくキーボードを叩いていたかもしれません。
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しかしそれは本意ではなく、また仕事のためなどでもなく、ただ他人の目をごまかすだけのもの。私たちはオフィスにおいて、やむをえず、仕事をしているふりをしなくてはならないことが多かったのです。
在宅勤務という手段を手に入れた私たちは、そんな外部からの視線を気にする必要がなくなりました。思う存分、アウトプットのイメージに思いを馳せ、イメージが固まったら圧倒的にスピードの速い音声入力にアウトプットを委ねる。
こうして、本質的な思考プロセスに集中することができるようになるのです。
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提供元:在宅勤務中に成長する人は「音声」を使っている|東洋経済オンライン