2019.07.04
【特集/においと香りと人のからだ】 加齢臭を生み出す悪習慣とは?
----「同じ量のにんにくを食べても、においやすい人とにおいにくい人がいたり、皮膚ガスを構成する化学物質の成分数にも個人差があったりするのは、遺伝的要素や生活習慣の違いによるものですが、私は個性だと捉えています」と話す関根先生に、マナーとしてのにおいケアについて伺いました。
加齢臭、ミドル脂臭、汗臭は からだを洗ってリセット
加齢臭もミドル脂臭も汗も、皮膚から出てくるにおいなので、お風呂でからだを洗えば消えます。ただ、このとき気をつけたいのはゴシゴシ洗わないこと。刺激を与えると、皮脂分泌がより活発になってしまい逆効果。優しく洗いましょう。加齢臭とミドル脂臭は、汗腺と皮脂腺の分泌が多い、おでこ、首の後ろ、おなか、背中から放散されやすいことがわかっています。においが気になる人は夜だけでなく、朝もシャワーを浴びてにおいの成分を洗い流しましょう。にんにくのにおい消しには、血液に吸収されるのを抑える働きがある牛乳を飲むのが効果的です。からだが疲れてくると、鼻にツーンとくる尿のにおい成分、アンモニアが皮膚から出てきます。これがいわゆる疲労臭です。最近の研究で、メンタルストレスもアンモニアを発生させることがわかってきました。
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においが発生しやすい 生活を送っているかどうかチェック
私はもともと環境科学の研究をしていたのですが、日本は20年前に比べると、外気も室内も空気がきれいになってきている。その結果、人間のにおいが浮き上がってしまったわけです。においは相対的なものなので、より強いものを感じやすいんですね。でも、においが出るということは、からだが正常に機能しているということでもあるのです。
においはあって当たり前。過剰に出てしまうのが問題なのです。
<におう生活チェック>
4個以上当てはまると、においが過剰に出ている可能性があります。
・お酒をよく飲む
・肉や魚をよく食べる
・エアコンの効いた部屋で長時間過ごす
・普段、あまり運動をしない
・タバコを吸う
・心配性で緊張しやすい
・夜更かしが多い
・しっかりからだを洗わない
お酒は、体内でアルコールが分解され、アセトアルデヒドに変化した後体臭に、肉や魚はたんぱく質なので、アンモニアの原料になります。飲み過ぎ、食べ過ぎに気をつけましょう。汗腺には、機能を停止している休眠汗腺が一定数あるのですが、長時間エアコンの効いた部屋にいると、休眠汗腺が増えてしまうのです。そうなると、汗をかいて体温を下げようとしたとき、限られた汗腺から濃くてベタベタした汗が出てくる。これが、嫌なにおいになるのです。適度な運動を習慣にして、休眠汗腺をつくらないようにしましょう。タバコは呼気だけでなく、皮膚からもニコチンが出ますし、心配性で緊張しやすい人はストレスから疲労臭が出やすい。夜更かしは肝機能が落ちるため、血液由来の皮膚ガスが発生しやすい......など、においやすい生活を送っている人は、汗や加齢臭、ミドル脂臭の対策だけでなく、生活習慣も見直してみてください。
----自分の体臭によって、周囲の人がアレルギー反応を起こすPATM(パトム)の研究を発表した関根先生。「PATMを訴える人たちの皮膚ガスを測定してみると、石油系化学物質が検出されました。まだまだ解明されていないことが多く、定義や原因解明には時間がかかりそうですが、未知の病気の可能性もあります」。解明されていないことが明らかになったとき、においの価値観が変わるのでしょうか。注目していきたいですね。
PATM(パトム) ※外部サイトに遷移します
関根嘉香
東海大学理学部化学科 教授。慶應義塾大学大学院非常勤講師。室内空気汚染(シックハウス症候群)に関する研究では、シックハウス症候群の原因物質、ホルムアルデヒドの常温分解触媒を世界で初めて開発。その後、皮膚ガスの研究をスタートさせ、においによって病気を早期発見できるよう、日々研究に取り組んでいる。環境化学技術賞、室内環境学会賞・論文賞など受賞多数。
取材・文/山崎潤子
イラスト/はまだなぎさ
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提供元:【特集/においと香りと人のからだ】 加齢臭を生み出す悪習慣とは?|ワコール ボディブック