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2019.03.22

スーツは「何着持っている」のが適量なのか |傷みをできるだけ和らげ、寿命を延ばすコツ


春夏用と秋冬用、それぞれ何着持っていますか?(写真:baona/iStock)

春夏用と秋冬用、それぞれ何着持っていますか?(写真:baona/iStock)

東京都内でシステムエンジニアとして勤務する佐藤篤さん(28歳、仮名)は、技術営業という立場から社外の人との接触が多いビジネスマンです。比較的カジュアルな服装が認められやすい職種ながら、夏場も含めてほぼ毎日スーツで出勤しています。そんな佐藤さんは冠婚葬祭用の礼服1着を除けば、週5日の勤務に対して3着のスーツを着回ししています。

仙台で勤務医をしている高田勇一さん(40歳、仮名)は、2~3カ月に数回、東京で行われる学会や製薬会社の勉強会などに参加するときにスーツを着用しています。職場では医療用白衣を着用しているので、礼服1着を除くと、持っているスーツは1着のみです。

そんな2人から同じ質問を受けたことがあります。

「スーツは何着持っているのが適量なのでしょうか?」

これはビジネスマンを中心にファッションスタイリストとして述べ1万人以上の服装をコーディネートしてきた私が、佐藤さん、高田さんに限らず、多くのビジネスマンから、とてもよく聞かれる問いです。

「ここぞ」というときは、やはりスーツ

クールビズやウォームビズ、カジュアルデーなどの言葉が一般的になってきたように、かつてはスーツにネクタイが日本のビジネスマンに必ず求められるドレスコードでした。ところが、今はIT業界をはじめとして、必ずしもそうでなくても許されるビジネスシーンが増えてきています。例えば、ノーネクタイやポロシャツ、あるいは襟なしのシャツやニットなどにジャケットとパンツを合わせるようなファッションです。

とはいえ、伝統的な業界では毎日スーツを着ているビジネスマンも珍しくありません。くだけたファッションが一般的な業界や会社であっても、大事な商談やフォーマルな集まりなど「ここぞ」というときにはスーツが欠かせません。

青山商事が展開する「THE SUIT COMPANY」をはじめ、「オリヒカ」(AOKIホールディングス)、「SUIT SELECT」(コナカ)、「P.S.FA」(はるやま商事)など、一式で2万円台や3万円台などで買える割安なスーツを売る店が台頭する中でも、シャツやネクタイと比べればスーツは少々値が張ります。適正なスーツの保有数を把握しておくことは、ビジネスマンの財布にとっても優しいことです。

私自身の経験やさまざまな物理的条件などを勘案して述べれば、佐藤さんのように毎日スーツを着る人は少なくとも春夏用3着、秋冬用3着と年間を通して6着、高田さんのようにたまにしかスーツを着ない人でも春夏用1着、秋冬用1着で年間を通して最低2着というのが、ほどよい保有数です。

春夏用と秋冬用を分けてそれぞれ持っていたほうがいいのは、スーツは季節によって着分けるのが望ましいからです。

「織り方」によって生地の通気性が異なる

春夏用スーツは気候も暖かいため、生地の目をあまり詰めずに織り、極力薄くすることで通気性を確保して吸排湿性を高め、涼しく快適に着られるようになっています。逆に、秋冬用スーツは寒さに対応するため、生地の目を詰めて織り、厚みを出すことで保温性を高め、暖かさをキープしています。

どちらの季節にもウール素材が中心に使われていますが、ウールは吸排湿性に優れながら、保温性にも優れているため、生地をいかに織り上げるかで季節に合った働きを持たせているのです。色による見た目の季節感や、気候に対する快適さが異なる点も見逃せません。

例えば、夏場に厚手の濃い色のスーツを着て汗をかきながら商談したとしたら、相手側からは「暑苦しい」と見られてしまうかもしれませんし、見た目の色や質感が季節とのミスマッチを起こしてしまいます。

それも併せて、春夏用と秋冬用にほどよい量のスーツを確保しておくことは、何よりスーツの傷みをできるだけ和らげ、寿命を長くすることにつながります。

「夏に秋冬物を着ていて、汗をかきすぎたために生地の傷みが早くなってしまった」

「年中春夏物を着ていて、生地の摩耗が早くなり、すぐに穴が開いてしまった」

といったことも防げるのです。

毎日着用するとして少なくとも春夏用に3着、秋冬用にも3着を持っておいたほうがいい理由がいくつかあります。その1つは、スーツにこもる湿気の除去には一定の時間を置いたほうがいいことです。

サントリーのホームページ上に特集されている「水大事典」によれば、人間の皮膚からは1日600ミリリットルの水分が蒸発しているそうです。汗をかくことでも水分は失われ、夏場の暑いときには1時間に1500ミリリットルもの汗をかく場合もあるそうです。

スーツはこうした汗や湿気を吸収し、外へと排出してくれています。これはスーツの素材であるウールの特性なのですが、1日着用したスーツの湿気を完全に抜くためにも中2日ぐらいは風通しのよいところで保管しておいたほうがいいのです。

湿気を多く含んだ状態の繊維は、毛羽立ちやすくなるという傾向もあります。毎日同じスーツを着続けるということは、スーツにたまった湿気を抜ききることなく、型崩れや傷みの進行を早めてしまいます。

日常生活において起きている自然摩耗を少しでも遅らせるためにも、着数を多く持っておくことは非常に有効です。帰宅後にスーツを脱いだらしっかりブラシをかけて、保管しておくと長持ちには、より効果的です。繊維の目に詰まったホコリを除去することで、通気性を維持することができ、毛流れも綺麗に保てるので傷みを予防できます。

クリーニングを考慮して、最低3着

ビジネスマンの日常においては、スーツに飲食物をこぼしたり、何かにひっかけたり、誤ってペンで色をつけてしまったりなど、自宅では落ちない汚れが付くことがあります。そのようなときに頼りになるのがクリーニング店です。

ただ、服を一度クリーニングに出してしまうと数日間は戻ってこなくなります。もともと2着しか持っていなければ、預けた1着とは別の1着を連続着用することになるため、毎日スーツを着る人ならば少なくとも春夏用、秋冬用を3着ずつはそろえておきたいところなのです。

既製品で低価格のスーツであっても、オーダーメイドや作りのしっかりしたブランドスーツであっても、大切に使う術を身につけておくことは、見た目の印象はもちろん長期的に見た経済性にもつながり、ビジネスライフを豊かにしてくれるはずです。

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提供元:スーツは「何着持っている」のが適量なのか|東洋経済オンライン

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