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2018.11.06

「いい子でいたい」女性が軽んじられるワケ| 長年続けると「考えない人」になりかねない


言いたいことを言わずに我慢していると、何も考えない人になりかねません(写真:nonpii/PIXTA)

言いたいことを言わずに我慢していると、何も考えない人になりかねません(写真:nonpii/PIXTA)

ベストセラー『女性の品格』から12年。坂東眞理子・昭和女子大学理事長がいま考える、人生100年時代を納得して生きるために必要な「女性の美学」とは? 大人の女性の3大場面、「職場」「家庭」「社会」それぞれの場で女性の直面する問題にどう対応するか、この連載ではつづっていただきます。

いい子でいたい女性たち

女性は幼い頃から「人と仲良くしなさい」「人から好かれなきゃ」「けんかしてはダメ、我慢しなさい」「人の嫌がることを言ってはいけません」と言われながら成長します。

自分の意見を主張すると嫌われる、目上の人の意見には素直に従い反論しない、自分の自慢をすると反感を持たれる、と心に刷り込まれます。

日本では女性だけでなく男性も周囲と波風を立てないように、周りと仲良く、と言われて育ちますが、女の子に対してはことのほか「いい子であるべし」という期待、圧力が強いのです。

最近の若い女性のなかには「ノー」という子が増えてはいますが、まだ少数派です。親には「いや」という子は多いのですが。他人には遠慮しています。

多くの女性は「いい子」でありたいと願うあまり、「○○するのはいやです」「それは違います」「できません」とはっきりノーと言うことが苦手です。

しかし働く女性は、いつでもだれからもどこでも好かれる「いい子」でいるのは不可能だと覚悟しなければなりません。自分自身に好みも意見も倫理観もなければすべて「イエス」と言えるかもしれませんが、それは自分にとっても不本意ですし、職場にとっても、周囲の人にとってもプラスにはなりません。

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重要なのは、自分が変だなと思いながら我慢して言うべきことを言わなければ好かれるわけではないことです。ノーと言わなければ憎まれることはないかもしれませんが、それだけです。尊重されることもなければ、好かれることもなく、ただ軽んじられます。いつも他人の意見に従っていると、いい人だけど頼りない人と思われてしまうのが普通です。

もちろん無視されないために反対したり、批判する必要はありませんが、おかしいと思えばおかしいと言い、悪いと思えばノーと拒否しましょう。もちろん丁寧に、優しくです。

「ノー」と言うと嫌われるという思い込みから抜け出るのは大変ですが、一人前の社会人になるために必要なプロセスです。

自分なりの意見や提案を持つ

そして女性に今必要なのは言うべき意見や提案を持つことです。言いたいことも言わずに我慢ばかりしていると、言いたいことがなくなります。配慮ばかりしていると何もできない、何も言わない、そして何も考えない人になりがちで、そこにいなくてもいい人になってしまいます。

普段から人の言うことを無批判に鵜呑みにするのではなく、しっかり考えて自分なりの意見や提案を持つよう努めることです。その意見や提案を感じよく表現すること、納得してもらうにはどういえばよいか工夫することが大事なのです。

仕事のうえでも人生のあらゆる場でも、意見を言えば反対する人は必ずいて波風が立ちます。それが正論だったり、説得力があるほど反感を持つ人はいるので面倒ですが、想定内と受け止めましょう。

意見を言うと、いまだに「女のくせに」「生意気だな」などと言う人、思う人もいますが、それにひるまないでください。何も考えない、意見を持たない、そして何も言わないのが身を守るすべだったのは古い日本的経営の時代の話です。

良い意見なら反感を持つ人もいるでしょうが、一方で「なるほど」「そのとおりだ」と賛成してくれる人もいます。そしてあの女性はちゃんと考えて人前で意見を言えるのだと思われるのは、職場で評価される第一歩です。どうしたら感じよく、明るく、丁寧に表現できるか工夫するのが重要であって、言いたいことを我慢するのが女性の美学ではありません。

私がハーバード大学で研究員をしていた1980年代、アメリカでもアサーティブトレーニング(自他を尊重したうえで、自分の伝えたいことを相手に伝える練習)が盛んでした。

私から見ると雄弁でおしゃべりなアメリカ人の女性でさえ、“女らしさのわな”にとらわれて言いたいことが言えない、説得力をもって論理的に話すことができない、と悩んでいたのです。

私もそうした講座に出たことがありますが、一人ひとり大きな声で人前で自分の意見を話す練習を重ねていました。

適切に意見を言うための3つのポイント

では具体的には、どうしたらいいのでしょうか。

まずは感情的にならないことです。感情的な男性も困ったものですが、職場の人はそれに慣れています。ところが感情的になった女性には男性はどう対処してよいか慣れておらず、恐怖を感じると覚えておいてください。冷静に話すことです。我慢に我慢を重ねて最後に爆発するのが最悪です。

次に、相手に通じる論理で話すことです。相手の立場、言い分を理解し、一般に通用する言い方を習得しましょう。自分だけがわかっていても相手に通じません。これはわかっていても実行が難しく、経験がないと初めからはなかなかできませんから、練習が欠かせません。

3つ目は、目的を見失わないことです。何のために具体的な意見や提案をするのか。それが受け入れられることが目的で、軽んじられている自分の悔しさや怒りを表明するためではありませんし、自分の有能さを見せびらかすためでもありません。反対されても意見や提案が受け入れられなかったのであって、自分の能力や人格が否定されたわけではありませんから、傷つく必要はありません。

自分の意見を言えるようになると女性たちは変わります。単なるいい子から、自分で考え、自分で判断し、責任を取るリーダーにふさわしい職業人、社会人になるのです。

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組織の掟を気にしない女性に教えたい「基本」

「仕事だけの男」と「使えない女」の不毛な関係

若い女の子がチヤホヤされる「日本的な事情」

提供元:「いい子でいたい」女性が軽んじられるワケ| 東洋経済オンライン

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