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2018.08.23

「人事に不満があるから転職」は間違っている|自分のやりたい仕事ができるとは限らない


いまの仕事がやりたいことと違っている場合、転職を考えたほうがよいのでしょうか?(写真:metamorworks / PIXTA)

いまの仕事がやりたいことと違っている場合、転職を考えたほうがよいのでしょうか?(写真:metamorworks / PIXTA)

→安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。 ※外部サイトに遷移します

安井さん、こんにちは。CPA(公認会計士)を取得してこの春から大手会計事務所に転職した30代後半の者です。前職ではまったく異業種・異職種の業界にいました。

ビジネスをより体系的に数字を通して学び、資格と会計事務所での職歴を入手して将来の選択肢・安定性を広げたいと思い決断した転職でしたが、現在の法人では、会計や監査とはまったく別の規制やコンプライアンス関係のアドバイザリーを行う部署に配属されています。

コンプライアンスは将来性のある分野でもありますし、まだ入社して1年未満ということもあり、モチベーションを維持して頑張っているつもりではありますが、30代後半という年齢もあり、このまま会計の仕事をせずコンプライアンスを続けていていいのか? との不安をつねに抱えています。

現在ある選択肢としては、(1)今の法人でExcelや会計まわりの知識を自己研さんしつつ会計関係の仕事に異動するチャンスを待つ、(2)海外(特にアジア)に進出しているほかの大手監査法人のジャパンデスクのポジションに応募してすぐにでもやりたい方向に進む、があります。

結婚もしておらず、自由な身ではありますが、年齢的な制限もあり、どうすべきか悩んでいます。アドバイスいただけますと幸いです。よろしくお願いします。

会社員 kemosabe

自分のやりたい仕事ができるとは限らない

まずはCPA取得と転職おめでとうございます。30代後半という年齢と、異業種からの転職ということから相当努力をされたのだと察します。

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現在やっている仕事とご自身の将来目指す姿の関連性が低く悩まれているとのことですが、(1)勤務先がkemosabeさんに求めているキャリアパスをきちんと把握する、(2)より大きな視点でキャリアを考える、の2点が重要です。

まず1点目の勤務先が想定するキャリアパスですが、現在のコンプラ関係の仕事を通じてkemosabeさんに学んでほしいことや、その次にどんな仕事をアサインすることを想定しているのか、そういった勤務先の意図をきちんと理解することが大切です。

厳しい言い方ですが、雇用される立場である以上はすべてがすべて自分がやりたい仕事である可能性は低いですし、もっと言うと特に短期的には理想と思える仕事にめぐり合えることも非常に難しいわけです。

仮にkemosabeさんのように現状の仕事内容に満足できない場合は、その先を勤務先がどう想定しているかがまずは重要になってきます。

というのも、大手企業では多くの場合、数年単位のジョブローテーションが普通だったりしますから、現在やっている仕事がその次の仕事をするための、つまり将来のためのステップアッププログラムである可能性もあるわけです。

と言いつつもそれはあくまでも「可能性」ですから、前述のとおり現在の仕事を通じて自分は何を期待されているのか、そして現在の仕事を含む会社におけるキャリアパスはどう想定されているのか、をキチンと話し合う必要があります。

そのようにして、勤務先が考えるkemosabeさんの将来のキャリアパスが、kemosabeさんにとって魅力的であるか、すなわちkemosabeさんの考えるキャリアパスと合致しているかを確認する必要があるのです。

そのうえで、転職を含めてどうするかを判断すべきです。情報なくして意思決定はできません。

既存のCPAとの差別化をどう図るか

そして2点目。より大きな視点でキャリアを考えると言いました。

冷静に考えてkemosabeさんはCPAとしては後発です。そして世の中にCPAはたくさんいます。そう考えると、kemosabeさんとしてその業界、その仕事で食べていくためにはいかに既存のCPAとの差別化を図るか、です。

Kemosabeさんは30代後半とのことですから、早い時期からCPAのキャリアをスタートした方とは同じ年齢でもすでに20年近いキャリア上のハンデを背負っています。

そう考えると、同じことを今からスタートしてもその差を埋めるには相当の年月は必要なわけですし、下手をするとずっと埋まらない可能性すらあります。

であるからこその差別化なのです。

仮にコンプライアンス的な分野が既存のメンバーとの差別化になるのであれば、「会計×コンプラ」も検討に値する選択肢かもしれませんし、そうでないのならばその方程式の後者(「コンプラ」部分)に何を持ってくるべきかをご自身で考えるべきです。

仮に語学が得意であれば「会計×中国語」なんていうのもありでしょうし、前職が何かは頂戴した文章からはわかりませんが「会計×IT」でもいいわけです。

いずれにしても、差別化のためのプラスアルファの部分でご自身のバリューをこの先構築する必要がありますから、そのプラスアルファに値するのは何か、という視点で物事を考えるべきです。

そのようにして現在の勤務先がそういったプラスアルファを提供できうるか、そして会計という切り口での経験を積めるのか否かを先ほどの1点目で確認し、今後のキャリア上の動き方を考えるべきです。

将来を見据えた「戦略的」な視点を持つ

いずれにしても、いまやっている仕事が将来やりたい仕事に合わないから転職、という短期的視点ではなく、将来のキャリアを考えた際にいまやっている仕事はどうなのか、といったより大所高所の視点で考えるべきです。

現在30代後半とのことですから、今後のキャリアはまだ30年近く残っているわけです。その30年をサバイブするためのいちばんの得策は短期的視点や「現在における」周りとの比較ではなく、将来を見据えた戦略的な視点を持ち続けることです。

そのような視点を通じてkemosabeさんが理想とする仕事に将来従事できるであろうことを応援しております。

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提供元:「人事に不満があるから転職」は間違っている|東洋経済オンライン

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