2018.05.25
眠るすこし前から行う快眠術
運動や入浴で体温をあげる
夕方から夜のはじめに運動する
体温には、深夜から早朝に低く、夕方から夜のはじめに高くなるというリズムがあります。このリズムがはっきりしてメリハリがきいていると、ぐっすり眠れます。夕方から夜のはじめに軽く運動すると、体温がしっかり上がって眠るころに下がってくるので、眠気が強くなります。運動習慣がない人は、ウォーキングなど軽めのものから始めましょう。
眠る1~2時間前に入浴する
お風呂に入っても体温が上がります。寝床につく予定時刻の1~2時間前に、38~40℃のぬるめのお湯に20分ほどつかりましょう。入浴剤を使うと、体温が上がりやすくなります。お風呂に入ると、リラックス効果も期待できます。ラベンダーやベルガモットなどのアロマオイルを、お湯に2~3滴たらす「アロマバス」もお勧めです。
パソコンやスマホを早めにやめる
夕方以降は強い光を浴びない
光には、体内時計をコントロールする最強の働きがあります。活動的な日中は強い光が必要ですが、眠りの準備に入る夕方以降は、少しずつ照明を落としていきましょう。遅い時間になって、コンビニエンスストアやドラッグストアなどで強い光を浴びると、覚醒度が上がってしまい寝つきが悪くなります。特に青色の光(ブルーライト)には要注意です。
眠る前の1時間はディスプレイ画面を見ない
テレビやコンピューターの画面を見ていると、チカチカした光が脳を興奮させて眠気を覚ましてしまいます。また、ディスプレイ画面から出ている青色の光(ブルーライト)は、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の分泌を抑えてしまうので、寝つきが悪くなったり深い睡眠が減ったりします。大きな画面だけでなく、タブレット端末やゲーム機、スマートフォン、携帯電話も要注意です。
お腹いっぱいで眠らない
夕食は眠る時刻の2~3時間前までに終わる
胃腸には第2の体内時計があります。いわゆる「腹時計」です。胃腸が消化のために働いている間は、グッスリ眠ることができません。肉や脂っこいものは消化に時間がかかるので、夕食は炭水化物を中心とした和食がお勧めです。夜の食事は栄養素の吸収の効率が高いので、太らないためにも軽めにしておきましょう。
夕食を2回に分ける
夜遅くまで仕事をしていて、眠る直前にやっと夕食をとっている人は、「分食」がお勧めです。夕方にパンやおにぎりなどを少し食べておいて、深夜の食事ではその分のカロリーを減らして消化の良いものをとる方法です。こうするとグッスリ眠りやすく、翌朝の胃もたれも軽くなって朝食がおいしくなります。
お酒はほどほどに
アルコールは、脳の覚醒中枢を麻痺させることで、催眠作用を発揮します。アルコールは寝つきを良くしますが、睡眠の後半では眠りが浅くなりトイレにも行きたくなって、途中で目が覚めやすくなります。お酒を飲むなら眠る3時間前までに、日本酒1合、ビール中瓶1本、ワインはグラス2杯までにしておきましょう。
カフェインは眠る3~4時間前までに
興奮作用があるカフェインは、若い人で1~2時間、高齢者では4~5時間以上、体の中に残ります。カフェインに弱い体質の人は、夕食後に飲むものをノンカフェインの麦茶やハーブティに変えましょう。チョコレートやココア、栄養ドリンクの一部にもカフェインが含まれているので、要注意です。
眠る前はリラックスタイムにする
本を読んだり音楽を聴いたりする
不眠の原因の多くは、ストレスによるものです。その日にたまったストレスは、眠る前に解消しておきたいものです。寝床に入る前の1時間ほどは、心から楽しめる趣味や軽めの読書、静かな音楽の鑑賞などがお勧めです。いくら好きなことでも、興奮してしまうことや、のめりこんで眠る時間になっても切り上げられないことは、やめておきましょう。
ストレッチングやヨガをする
ストレスを強く感じると、心だけでなく体も緊張します。逆に、筋肉を軟らかくすると、心もほぐれてきます。眠る時刻の少し前には、ストレッチングやヨガなどで体をほぐしましょう。また、「眠れないときにやってはいけないこと3つと試したい快眠法3つ」でご紹介した「漸進的筋弛緩法」は、医療機関でも行われるほどの効果があります。
寝室の環境を整える
ナイトウエアに1枚はおるとちょうど良い温度に
日本の気候は、高温多湿の夏と低温乾燥の冬が特徴です。熱帯夜にはエアコンや扇風機などをうまく使い、寒い冬は暖房器具をきちんと使ってグッスリ眠りましょう。寝室の理想的な環境は、室温25~28度、湿度50~60%です。特に、寝ついてからの3時間を理想的な環境に保つと、高い質の睡眠が得られます。
だんだん暗くする
人が好む明るさは、1日の中でも規則的に変化します。午前中は1,000ルクス以上の明るさを好みますが、午後からは少しずつ減っていき、夕方には200ルクス位になります。
この明るさのリズムに合わせて、夕食後は照明を次第に暗くしていき、眠る時には真っ暗にするか、豆電球程度の暗さにすると、快い睡眠を得やすくなります。外が明る過ぎれば、厚めのカーテンやブラインドをつけましょう。旅先などでは、アイマスクも役に立つことがあります。
なるべく静かにする
寝室での音のレベルが40デシベルを超えると、眠りに悪い影響を与えます。40デシベルは、静かな図書館レベルの静けさです。エアコンの音は40~60デシベル、壁のスイッチの操作音は40~50デシベルもあります。外からの騒音がうるさい時は、窓を二重サッシにしたり、厚めのカーテンを掛けたりましょう。耳栓は手軽で役に立ちますが、目覚まし時計が聞こえる程度のものが良いようです。
photo:Getty Images
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坪田聡
医師、医学博士。医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック副院長。医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。
提供元:眠るすこし前から行う快眠術|フミナーズ