2018.05.10
まじめな人ほど「仕事が終わらない」根本理由|シンプルな「TODOリスト」が働き方を変える
ムダな残業をしてしまう人はどうすれば仕事のスピードを速めることができるのでしょうか(写真:iStock/PeopleImages)
仕事を三倍速で終えるにはどうすればよいのか――『シンプルTODOリスト仕事術』を著した戦略コンサルタントのShin氏が仕事と生き方を変える方法を伝授します。
ビジネスパーソンなら、「仕事を速くしたい」「効率よく仕事をこなしたい」と思っている方が大半だと思います。私もその気持ちはとてもよくわかります。
「仕事を楽しく、効率よくこなすことができるのであれば、ぼくは何百万円でも払う!」と、心の底から思っていました。
このようなある意味まっすぐな気持ちを持っている、まじめで責任感が強い人は、過去の筆者のようにしばしば間違った解決策を選んでしまいます。
そう、「自分は要領が悪く効率を上げることはできないから、とにかく長い時間一生懸命働いて結果を出そう」というものです。
いくら労働時間を増やしても追いつくことは不可能
長く働けば、もちろんその分少し成果は増えます。1時間当たり1の成果を出し、毎日8時間働いているとしたら、その人の1日当たりの成果は8となります。これを12時間に増やすことができれば、成果は12となります。
しかし、職種にもよりますが、生産性の高い人とそうでない人の違いは労働時間ではカバーできないぐらい圧倒的なものです。
1時間で10の仕事ができる人がいたとして、その人が8時間働けば1日当たりの成果は80になります。1時間で1の仕事ができる人がいくら労働時間を増やしても、その人に勝つことは原理的に不可能なのです。
とはいえ、まじめな人は「どうしても頑張らなければならない」と自分自身を追い込んでしまいます。周りが1時間で10の成果をあげることができるのに、自分が1しかあげられなかったとしたら、いくら労働時間を増やしても追いつくことは不可能であるにもかかわらず……。
その結果何が起こるかというと、自分自身を追い詰めたり、周りからの心ない批判によって心身を壊してしまったり、最悪の場合は自殺してしまうという悲劇です。
このようなことは、現在まだまだたくさん起こっていると私は考えています。私自身もあと少しで心身を壊してしまうところでした。
周りのみんなに追いつくために労働時間をただただ増やして一生懸命仕事をしていましたが、やはり限界がありました。いくらやっても求められている量と質に達することができず、日々苦悩していたのです。
筆者は要領が悪く、仕事をこなすのが苦手でした。正直今でもパニックに陥りそうなことはありますし、不器用で根本的に仕事が苦手なような気もしています。
そんな私でも、1つずつ仕事について考え、仕事が終わらない原因を特定し、それぞれに対する打ち手を考案していくことで、今では外資系コンサルティングファームのマネジャー、ビジネスブログ「Outward Matrix」を運営するブロガー、ビジネス書の著者などパラレルキャリアを確立し、充実した日々を送っています。
コンサルタントとして少し経験を積んでから、私もいろいろな仕事を頼まれたり、自ら首を突っ込んでいくようになりました。
メインで回していかなければいけないプロジェクトの仕事のほかにも、社内の業務改善や人材育成などにも積極的にかかわらせてもらうようになりました。
そうすると、単なるメモでTODOを管理することはほとんど不可能になってきます。だからこそ、自分にとって使いやすいTODOリストを作成し、抜け漏れがないように日々管理していく必要があります。
TODO管理のアプリケーションは、現在数多く世の中に出ています。どのツールを使うかは、それぞれの好みや状況、スキルによると私は考えています。
ただ、個人的にはどのツールも長いこと使うまでには至りませんでした。そのため、私は自分にとって必要な機能だけがある、シンプルで使いやすいTODOリストを自分で作ることにしました。このTODOリストのおかげで、私は自分の仕事の整理が非常に得意になりました。
「シンプルTODOリスト」でTODOをすべて一元化する
まず、シンプルTODOリストの全体像から説明します。このTODOリストは2つのシートから構成されています。1つ目のシートが「TODO」(表1参照)、もう1つのシートが「日次スケジュール」(次ページ表2参照)です。
「TODO」は、すべてのTODOをリストアップし、その状況を書き残すためのシート。「日次スケジュール」は、各TODOを1日の中でどのようにこなしていくか明確にするためのシートです。それでは「TODO」シートから解説していきます。まずは表1の内容を確認してください。
TODOリストの項目は、少なすぎても「あれ、これなんのTODOだっけ?」というふうに混乱してしまいますし、あまりに量が多いと面倒になって続けられなくなってしまいます。シンプルTODOリストには、どのような仕事をやる場合でも最低限必要になる項目があり、かつ不要なものは排除していると自負しています。仕事を進めるための情報を網羅しつつ、気軽に使い続けられるものです。
さて、事前準備として、TODO(やること/タスク)の見える化が必要です。拙著『シンプルTODOリスト仕事術』では、ロジックツリーとコスト/コントリビューションマトリックスという方法を使って一気にTODOを効率よく明確化することをすすめています。
方法自体はどんなものでも構いませんが、「TODOの洗い出し」→「TODOの優先順位付け」を意識して、細かく漏れのないようにすることが大切です。
TODOを適切にこなすためにはどうすればよいか
そこで洗い出したTODOを表1のようにTODOシートに書いていきます。洗い出したTODOをこなしていけば、仕事で抜け漏れが出ることは基本的になくなります。
もちろん、途中で「あ、これも必要だった!」とか「進めていくにつれて想定していない状況になり、新しいTODOが増えた!」ということはあります。そうなったら、そのときにTODOシートに追加してしまえばいいのです。
しかし、これで終わりだと「普通のTODOリスト」の枠から抜け出すことができません。いくらTODOをリストアップしていっても、それを適切にこなしていかなければ仕事は進んでいきません。
では、どうすれば日々の仕事の中で、TODOを適切に処理していくことができるのでしょうか。この課題を解決できるのが、次に説明する「日次スケジュールシート」になります。
日次スケジュールシートの何が便利なのか(表2参照)。それは、毎朝わずか数分の手間で1日のスケジュールを作成することができ、しかもそれがすべて事前に洗い出したTODOに紐付いていることです。
毎朝出社したらまずTODOシートを眺めてください。自分には今どのくらいの仕事があるのか、締め切りが近いものは何か、全体像を把握するのです。
その後、5~10分程度使って日次スケジュールシートのBのカラムにTODOシートのID(Aのカラムの番号)を入れ込んでいき(自動的にTODOシートから内容が抽出されます)、1日のやることを明確にします。あとは、そのスケジュールにしたがって仕事を進めていけば、だれることなく進めていくことができます。
シンプルTODOリストで仕事のスピードが3倍になった
私はこのシンプルTODOリストを使いこなせるようになって、実際に仕事のスピードが3倍になりました。単純に、それまで1週間かかっていた仕事が2日程度で終わるようになったのです。
この効果をもたらした大きな理由はやはり、スケジュールと細かく連携させたことにあると思います。
「毎日スケジュールをしっかり立てなさい」といわれても、面倒すぎてなかなかできている人は少ないと思います。
また、できていたとしても、そのスケジュールとTODOリストのTODOが関係ない場合も多いと思います。その問題を、このTODOリストを使うことで一気に解決することができるのです。
仕事をしていく際にも、このTODOリストを開いて適宜確認しながら仕事を進めていけば、「あれ、次にやらなければいけないことはなんだったっけ?」と悩むことがなくなります。
パッとひと目見ただけで「やるべきこと」を判断できるので「1秒」だって迷うことはありません。このような悩みは自分の思考や手を止めてしまう要因になるので、これがなくなるだけでも圧倒的な生産性の向上が見込めるのです。
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提供元:まじめな人ほど「仕事が終わらない」根本理由|シンプルな「TODOリスト」が働き方を変える|東洋経済オンライン