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2018.02.01

通勤途中「雪の日リスク」を回避する方法5選│滑らずに歩くには、知識よりも意識が大事だ


1月22日は首都圏でも大雪に。雪が降った後、どのように歩けば滑らずに済むのでしょうか(撮影:今井康一)

1月22日は首都圏でも大雪に。雪が降った後、どのように歩けば滑らずに済むのでしょうか(撮影:今井康一)

1月22日、首都圏を襲った4年ぶりの大雪。普段ほとんど雪の積もらない都内でも、あちこちで数十センチの積雪や、凍結路が出現していた。「滑らないかな……」とヒヤヒヤしながら、雪道出退勤を果たした若手ビジネスマンも少なくないだろう。

溝付きでゴムがやわらかい靴で外出を

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実際、東京消防庁によれば、都内では雪の降った翌日の1月23日午前10時までに、200人以上の人が転倒によって救急搬送されたという。

折しもふたたび首都圏は降雪の予報が――。そこで今回こそ実践したい、あまり雪の降らない都市部に住むビジネスパーソンのための雪の日対策を、北海道札幌市で転倒防止の啓発活動を続けるウインターライフ推進協議会事務局・金田安弘さんに伺った。雪国ならではの“すべらない話”を、5連発でお伝えしたい。

すべらない話1 雪の日の靴は、ソールの溝と柔らかさで選べ

雪道を滑らず歩くために、何よりも気をつけたいのは、「靴」だという。

「雪道を歩くことは雪道を“クルマで走る“ことと同じ。そう思っていただくのがいいでしょう」と金田さん。雪道で、いくら滑らないよう注意して運転しても、滑りやすいノーマルタイヤを履いたまま走ったらスリップしてしまう。それは靴も同じだという。「いくら気をつけて雪道を歩いても、底がつるつるのレザーシューズでは転倒する可能性大です」(金田さん)。

それならば、スノーシューズのような専用靴を履くのがベストだが、年に1度、履くか履かないかのために出費するのは、費用対効果が悪すぎる。

「そこで、まずは家にある靴の靴底をすべて見てください。溝のないレザーソールのような革靴はNG。女性のハイヒールも滑りやすく危険です。それらを除外したうえで、『できるだけ細かく、できるだけ深い溝がついたゴム底の靴』かつ、『ゴムの質感が柔らかいもの』を選ぶのがいいでしょう」(金田さん)。

ギザギザの溝が深い靴底を持つ靴が滑りにくいのは、積もった雪をグリップ(つかむ)する力が増すから理解できるだろう。しかし、靴底の「ゴムの柔らかさ」も重要だという。とくに凍結した路面を歩くときは、いくら靴底の溝が深くても、凍結した路面はなかなかグリップすることができない。加えて、靴底が硬いと雪面に密着しにくくなり、つるりと滑る可能性が高まるからだ。

「これもまたクルマの冬用スタッドレスタイヤと同じです。冬用タイヤは凍結路でのグリップ力を高めるため、夏用よりもゴム質が柔らかくなっています。だからこそ冬用タイヤをアスファルトの上で使うと、タイヤがすり減りやすいといわれているわけです」(金田さん)。

「靴底が深くて柔らかい靴がない!」というなら、靴用アタッチメントを用意するのも手だ。これは普通の革靴やスニーカー、ハイヒールなどにも装着できる外付けの靴底。スパイクのような金属ピンや、柔らかいゴム質の深い溝が付いているので、これを普段使いの靴に装着するだけで簡易スノーシューズができる。いわば靴用の「タイヤチェーン」だ。ネットなどで1000円前後で売っているので、自宅や会社に備えておけば、突然降ってきた場合でも、ひとまず安心だ。

歩き方よりも、危機意識を保つことが重要

すべらない話2 スキルを高めるより、「意識」を高めよう

「バランスが崩れないよう、ペンギンのように小さな歩幅で歩くべし!」、「できるだけ小さな歩幅で靴の裏全体を接地するように歩くべし!」――。

雪道での滑らない歩き方として、よく出てくるのがこれらのスキル。もちろん、それぞれ効果的だが、金田さんは「歩き方で一番大事なのは、『気をつけて歩こう!』という“危機意識“です」と指摘する。なぜか?

「札幌市内で雪道での転倒による救急搬送者の数を見ると、北海道一のネオン街である、すすきの周辺が圧倒的に多い。理由は明解で、お酒に酔って『気をつけて歩こう!』という意識が薄れる人が多いから(笑)。危ないと思ったら、人は誰しも自然と転ばないような前傾姿勢を取って、歩幅も短くなり、慎重に歩くものです。滑らない歩き方を知識として持つことはもちろん大事ですが、『転ぶかもしれない』、『慎重に歩かなければ』という意識を忘れないように歩くことがより重要です」(金田さん)。

同じ理由で、滑りたくないなら「スマホを操作しながら歩く」、「駆けるように急いで歩く」といった歩き方も絶対に避けたい。「めっちゃ積もっているからSNSに画像投稿しようっと」、「電車に乗り遅れてしまう! 急がねば!」と、別のところに意識を向けていると、雪道への危機意識がその分、薄れてしまう。それでは“すべリスク”が高まるばかりだ。

その場で撮影してもいいが、SNSへの投稿は、家など雪道以外の場所に行ってからでも間に合う。滑ってころんでケガしたほうが、仕事も会社も大損害。雪道ほど、そんな冷静さを持ち、“危機意識高い系”でいきたいところだ。

すべらない話3 大勢が歩いた“ケモノ道“のほうが滑ることも

滑りやすい場所が「どこか」。事前に危険エリアを認識しておき、そこを避けることも、覚えておきたい。

「滑りやすい場所は雪が積もってまもないところよりも、“雪が固く締まったところ”や“凍ったところ”です。ではどこがそういう場所かというと、都心部ならば人通りが多いところ。地下鉄駅や地下街の出入り口。店内の出入り口。バスやタクシーの乗り換え場所などが代表ですね」(金田さん)

こうした人通りが多いところは、雪が踏まれて固く締まる。また、人が踏むことにより溶けやすくなるので、その溶けたところが、外気が寒いとふたたび凍結する。すると氷となって、締まっていない雪よりも滑りやすいアイスバーンになりやすい、というわけだ。

「だから歩道でも、多くの人が歩いてケモノ道のようになった場所ほど、実は雪が固く締まって凍りやすいことが多い。北海道では、巧みに『まだ人が踏んでいない雪が積もった歩道のワキ』を狙って歩く人がけっこういます」(金田さん)。

屋内に入ると靴底の雪が溶けて滑りやすくなる

また見落としがちなのが、雪道を歩いたあと、ビルなどの中に入ってすぐの床も滑りやすいということだという。雪がついた靴を履いて温度の高い室内に入ると、雪が溶けて靴底に水の膜ができる。そのせいで摩擦が小さくなり、Pタイルなど、ただでさえ滑りやすい床を歩くと、さらに滑りやすくなるというのだ。「やっと雪道が終わったとほっとせず、しっかり靴についた雪を落としてから建物に入ることを習慣付けるといいでしょう」(金田さん)。

すべらない話4 雪の日に持つなら「リュック」なワケ

装いにも気をつけたい。暖かいコートやマフラーなどの防寒対策はもちろんだが、忘れてはならないのが「万が一滑った」場合に備えた装いだ。

「まず必須なのが手袋です。もちろん寒さ対策もありますが、ころんだ場合に手をつく可能性は高い。このときに手そのものを防御する役割があります。また、手をポケットにつっこまなくなるため、両手が空き、歩く際にバランスも取りやすい」(金田さん)。ニット帽などで頭を守ることもできればしておきたい。凍結している場合は、路面も固くなっており、場合によっては重傷化、打ち所が悪ければ死亡することもある。「頭を強打する」ことだけは絶対に避けたい。帽子をかぶるだけで、そのリスクはぐっと下がるのだ。

「同じ理由で、雪の日の出勤はリュックを使うことを推奨しています。ブリーフケースなどと違って、両手が使えるとバランスが取りやすいし、ころんでも受け身が取りやすい。また、万が一、後ろにころんだときでも、背中のリュックがクッション代わりになって頭部を強打することを防げます。実際に私は札幌で、何人かリュックを背負っていたおかげで頭をぶつけずに済んだ方を目撃しています」(金田さん)。

なんと、セーフティーグッズにもなるリュック。雪の日は積極的に活用していきたいところだ。

すべらない話5 雪かきは、上半身だけではなく全身を使う

無事に転ばず出社できたとしても、会社の玄関や駐車場、あるいは店舗前などに雪が積もっていて、「雪かき」をせざるを得ない人もいるはずだ。そんなときに覚えておきたい、雪かきのコツも伺った。

「必ず実践してほしいのが腕の力だけじゃなく、“体全体を使う”こと。スコップを持ち、ただ前かがみになって腕だけで持ち上げようとすると、ムダに体力を使います。それだけじゃなく腰を痛める危険性もある」(金田さん)。

そこで雪かきをするときは、足と腰の力も利用。背筋を伸ばしてヒザを曲げて、体全体を使ってスコップの雪を持ち上げるようにするのが正解だ。もちろん、ただやみくもにスコップを雪山につっこむのではなく、タテにしたスコップを雪面に垂直に入れて、ブロック上に切り分けてから投げ出す基本所作も忘れずに。

雪道とビジネスのリスクヘッジは共通する

最後に仕事がデキるビジネスパーソンの雪対策について触れたい。

まず、大雪の予想が出たら、「できる限り移動はしない」、致し方ない場合は「いつもより移動時間がかかると思って移動する」ことも当然イメージしておきたい。

「徐々に浸透していますが、ムリに出かけてケガをするほうが転倒事故のリスクになる。不要不急の場合は出勤や外出しないことを考えるべきでしょう。どうしても出かける必要があるときは、公共交通機関は遅れ、歩くスピードも遅くなるので、予定より早めに動くことが大事です。ようは『雪が積もったら、こうなるに違いない』と、事前に“予見”して動くことですよ」(金田さん)。

滑りにくい靴を用意するなど、「早め早めに準備をする」、凍結した雪道の歩き方など、「気を緩めずに、安心・安全を第一に決断をすすめる」、早めの移動など、「リスクを予見して、先回りして動く」――。

考えてみたら、雪の日の優れた立ち回りは、そのままプロジェクトマネジメントの基本にもあてはまりそうだ。どうせなら、そんな前向きなモチベーションで、雪の日の仕事を楽しむのもいいかもしれない。

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提供元:通勤途中「雪の日リスク」を回避する方法5選│東洋経済オンライン

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