2017.08.04
通勤時に「混雑列車」を回避する3つのウラ技│成功のキーワードは種別、行き先、始発駅
種別、行き先、始発駅をチェックすれば、すいている列車に乗れるかも(写真:Daisuke Shibuya / PIXTA)
毎朝すし詰め状態の電車を見て、通勤が憂鬱になることもあると思う。しかし、あきらめないでほしい。状況によっては時間帯をずらさなくても、比較的すいている電車が見つかることもある。
では、どうやって探すか。キーワードは各電車の「種別」「始発駅」「行き先」。いくつか事例を挙げながら紹介していきたい。
種別、行き先、始発駅が一定だと、混雑に差が出にくい
利用者の多くは、目的地に「最も早く」着く電車を選択する傾向がある。たとえば、東急田園都市線に長津田駅から乗って渋谷駅まで向かう場合、急行か準急に乗ればいちばん早く着くため、目の前に各駅停車がいても乗車しない、という選択をするだろう。
経路探索エンジンは最も速いルートを計算するのが得意なので、この区間では早朝深夜を除き、急行または準急に乗るよう案内する傾向にある。そして、渋谷駅は東急で最も乗降客数の多い駅であるため、渋谷に早く着く電車に乗客が集中する。
言い換えれば、長津田駅で渋谷方面に向かう各駅停車は所要時間も長くなり、急行も準急も停車しない駅が目的地になる場合以外は選択されない。これこそ、同じ時間帯でも混雑の具合に差が出る理由となる。時間という価値で利用者が合理的に行動し、乗降客数に比例した乗車区間を考えると、長津田駅での各駅停車はすいていることになる。
では、山手線はどうなるか。池袋駅や大崎駅が始発/終着となる列車もあるが、ほとんどの電車が環状運転を行っており、すべて各駅停車。合理的に行動しても、目の前に来た電車に乗れば、山手線内の目的の駅までは大抵いちばん早く着く。すると、時間帯以外に混雑の差が出にくくなる。
① 種別:ターミナル駅に「遅く」到着する電車が狙い目
東京の郊外と都心を結ぶ路線は、おおむね都心のターミナル駅で乗客数が多くなる。つまりは、都心に早く行くことができる急行などの種別は、人気が集まるので混む傾向にある。相対的に、到着の遅い各駅停車はすく。
こう書くと、当たり前の話になってしまう。そこで「各駅停車は本当に遅くて不便」か、検証してみた。
つくばエクスプレスの南流山駅は秋葉原駅から約21km、日中は快速を利用して21分程度の場所にある。朝ラッシュ時の秋葉原方面では、通勤快速と区間快速が運行している。実は、通勤快速・区間快速が通過する駅は2駅しかない。東京の郊外の電車では、傾向として1駅通過するごとに各駅停車に比べておおよそ1分早くなる。つまり、各駅停車に乗っても所要時間が2分程度遅くなるにすぎないのだ。さらに、南流山駅から先では電車の追い抜きがなく、出発する順番どおりに秋葉原に到着するため、各駅停車でも先着する。
快速という種別には速そうなイメージがあるので、快速を利用することも多いであろう。都心から離れれば離れるほど、快速と各駅停車で20分以上も差が開くこともある。ただ、この程度の時間差ならすいている列車のほうがいいと考える人もいるだろう。一度時刻表でじっくり確かめてみることをお勧めしたい。
②始発駅:乗車駅までの区間数が「少ない」ほどすく傾向に
朝ラッシュ時は当駅始発がない駅ではほぼ着席チャンスはないというのが一般的なイメージだが、少しでもすいている電車に乗りたいときは、始発駅が近い電車を狙ってみるのがいい。
東京メトロ副都心線でもすいている列車はある(写真:hide0714 / PIXTA)
東京メトロ副都心線の要町駅を例に挙げる。ここは各駅停車のみ停車し、当駅始発となる電車もない。にもかかわらず、朝ラッシュ時間帯でも、急に着席可能なレベルでガラガラの電車がやってくることがある。1つ手前の千川駅始発の電車が平日に2本だけ存在するのだ。
京王井の頭線の朝ラッシュ時、渋谷方面の電車は吉祥寺駅始発のほか、富士見ヶ丘駅始発もある。高井戸駅から渋谷駅に向かうのであれば、富士見ヶ丘駅始発の電車は、混雑が少なく感じるかもしれない。
駅の時刻表に、当駅始発でもないのに始発駅が記載されているようなことがある。それは「すいているかもよ」というサインである。たとえば、西武池袋線の中村橋駅のホームの柱には、ラッシュ時間帯の時刻表が貼られており、「石神井公園始発」と書かれているダイヤもある。この駅の3駅手前の石神井公園駅から始発する電車があり、中村橋駅時点ではほかの電車に比べ、すいている。
③ 行き先:乗降の多い駅を「避ける」電車を探す
出現パターンは多くないが、電車の行き先が混雑に影響を与えることもある。
1つ目は、西武池袋線から西武有楽町線経由で地下鉄に直通する電車。この先、東京メトロ有楽町線と副都心線に分岐するのだが、混雑は「有楽町線>副都心線」となる傾向がある。有楽町線は乗降客数の多い駅が市ヶ谷、飯田橋、永田町、有楽町、豊洲とあるのに対し、副都心線は新宿三丁目、明治神宮前、渋谷程度しかない。また、池袋駅のホームは副都心線が西側に少し離れていて、他線の乗り換えも考えると池袋で下車する人にとっては有楽町線のほうが便利なことも多々あるので、たとえば副都心線「元町・中華街行き」のほうがすいている可能性が高い。路線の歴史でみても副都心線は開業から10年程度と浅いので、まだまだ通勤に定着していない面もあろう。
京急は羽田空港行きを選べば比較的混雑が少ない(撮影:尾形文繁)
2つ目は、京急本線の上大岡駅での特急および快特だ。上大岡駅からの通勤客は横浜駅、品川駅、その先の都営地下鉄浅草線内各駅が多いと思われる。そのため、品川行き、青砥行き、京成高砂行きといった特急と快特は混雑が激しくなる。一方、羽田空港行きは混雑はするものの、東京都心に向かう客が少ない分、比較的混雑は少ない。行き先を気にしてみるのもアリだと思う。
ちなみに、東急東横線では2013年から東京メトロ副都心線と直通が始まり、それまでほぼ渋谷行きだったものが、和光市、川越市、小手指といった行き先が増えた。しかし、この場合の行き先は多種多様といえど、乗客が渋谷までに集中しているため、混雑にはほぼ差がない。
それでも満員電車に乗らなければいけない場合は
混んでいてもいつもの電車で通勤するというのであれば、車両単位で比較的すいているところを見つけるしかない。東急電鉄が発表している資料によると、朝のラッシュ時に比較的混雑度の低い車両は2号車のようである。
経路検索サービスでも、早い経路や乗り換えに便利な車両位置を調べられるようになり、利用者が、より速い電車、乗り換えしやすい車両を選択できるようになった。
ナビタイムで始めた電車混雑回避ルートは、首都圏で移動する人々の行動をシミュレーションし、電車1本ごと、区間ごとに混雑度を算出している。この混雑度を、ナビタイムの経路検索結果上にアイコン表示したり、さらには混雑を回避する経路を提示することで、利用者はすいている電車を選択できるようになった。それを混雑回避という観点で表示している。
皆さんも、もし朝余裕がある日があれば、駅で電車を何本も見送ってほしい。混んでいる電車が連続してやってくる中で、意外にすいている電車も見つかるかもしれない。それを見ていろいろ考えてみること。それが極意につながることもある。
ナビタイムジャパン・トータルナビ事業開発メンバー
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提供元:通勤時に「混雑列車」を回避する3つのウラ技│東洋経済オンライン