2025.04.21

【医者が勧める】脂肪肝改善のため「納豆」に”ちょい足し”したい食品


肝臓の健康のために「摂りたい食品」と「控えたい食品」を解説します(写真:NOV/PIXTA)

肝臓の健康のために「摂りたい食品」と「控えたい食品」を解説します(写真:NOV/PIXTA)

近年、肝臓の健康に注目が集まっています。医学が進歩して、肝臓こそ健康長寿を実現するカギになる臓器だということが分かってきたのです。
たとえば、「脂肪肝」は、これまで「誰でもかかるたいしたことない病気」のように扱われてきましたが、じつは「動脈硬化や糖尿病などを招く重大な病気」であることが判明しています。脂肪肝を甘く見て放っておいたら、老化や病気が加速して、先々の人生を大きく狂わせることにもなりかねません。
ただ、肝臓は、ポイントを押さえたケアを行えば復活する臓器です。肥満やアルコールなどの問題で長年健診の肝機能の数値が悪かった人も、やるべきことをやりさえすれば短期間で回復させることができます。
では、どんなケアを行えばいいのか。肝臓専門医として46年間、患者を診続けてきた栗原毅医師は、新著『肝臓大復活』の中で、すぐに役立つ肝臓ケアのノウハウを惜しみなく紹介しています。
以下では、その栗原医師が「肝臓の健康のために摂りたい食品と控えたい食品」について解説します。

脂肪肝と言われたら、まず食事を見直せ

脂肪肝を治して肝機能を復活させるために、まず何をするべきか――こう問われたときにみなさんはどう答えるでしょう。たぶん、「アルコールを控える」と答える人が大多数を占めるのではないでしょうか。

しかし、私の考えは少し違います。もちろん飲みすぎを控えることも大切です。ただ、アルコールは「適量」さえ守っていれば、肝機能にとってそんなに大きな支障にはなりません。それに、近年は「アルコールなんてほとんど飲まないのに脂肪肝になった」というケースも非常に増えています。

つまり、脂肪肝を治して肝機能を改善するには、アルコールだけでなく、普段の食生活を見直すことが大事なのです。私はむしろ、脂肪肝や肝機能悪化を指摘されたなら、まっ先に食事を見直すべきだと考えています。

では、肝臓の健康を取り戻すには、どのような食品を控えて、どのような食品を摂るようにすればいいのか。

まず、「控えておきたい食品」について説明しましょう。脂肪肝を進ませる最大の原因は「糖質の摂りすぎ」です。過剰に摂取した糖が体内で中性脂肪に変換され、それらが日々肝臓に蓄積して脂肪肝を形成していくのです。そのため、糖質の多いものを摂りすぎないようにするのが基本となります。

そこで、できるだけカットしてほしいのが「フルーツ」と「甘い飲み物」。フルーツに多く含まれる果糖は、直接肝臓で代謝されるため、頻繁に摂っていると脂肪肝を進ませる大きな原因となります。

また、甘い飲み物にも果糖ブドウ糖液糖というかたちで果糖が含まれていることが多いため、習慣的に飲むのはやめておくほうがいいでしょう。ジュース、スポーツドリンク、野菜ジュース、乳酸菌飲料などを飲むのを控えて、水、お茶、ブラックコーヒーなどの甘くない飲み物を中心に飲むようにすれば、それだけで肝臓の負担を大きく減らせるはずです。

なお、ごはん、パン、麺類などの主食は、1~2割、量を減らすようにするのがおすすめ。ただ、主食は脳と体を動かす欠かせないエネルギーなので、摂取をゼロにしたり極端に減らしたりするのはいけません。あくまで、「少し控えめにする」程度にとどめておいてください。

とにかく、「フルーツ」「甘い飲み物」「主食」の3点に気をつけておくだけでもかなりの量の糖質を減らすことにつながるはずです。

糖質の多い調味料類にも気をつけるべき

あと、間食を減らすことも大切。スナック菓子、おせんべい、アメ、グミ、プリン、ゼリー、ケーキ、クッキー、アイスクリームなどをよく食べる人は、なるべく減らすよう心がけてください。ゼロにしろとは言いませんが、自分なりにルールを設けて食べすぎを防いでいくことをおすすめします。

さらに、けっこう大きな盲点なのが調味料類です。砂糖やはちみつに糖質が多いのはもちろんですが、みりん、麺つゆ、焼き肉のタレ、ノンオイルドレッシングなどにもかなりの量の糖質が含まれています。あまり神経質になる必要はありませんが、脂肪肝や肥満、糖尿病が気になっている方は、使用量を減らしたり使用頻度を減らしたりしていくといいでしょう。

次に、肝臓の健康のために「積極的に摂りたい食品」です。

最優先に摂りたいのは、肉、魚、大豆製品、卵、チーズなどのたんぱく質です。糖質の摂取を減らした分、しっかりたんぱく質を摂って、全体の食事量を減らさないようにする姿勢が大切になります。たんぱく質は体の栄養や筋肉量を保つために不可欠。少なくとも、毎食必ず1品はたんぱく質食品を摂るように心がけてください。

また、野菜、きのこ類、海藻類も積極的に食べて、食物繊維をたっぷり摂取するようにしましょう。食物繊維は腸内環境を整えるのに不可欠ですが、腸が整えられて便秘が解消すると肝臓にも好影響がもたらされます。腸の健康だけでなく、肝臓の健康も守るというつもりで、野菜やきのこ類、海藻類を毎食1品~3品は摂るようにするといいでしょう。

マヨネーズは健康にプラスになる調味料

なお、前のページで「間食はなるべく控えるべき」と申し上げましたが、食べてもいい食品もあります。なかでもとくにおすすめなのが「高カカオチョコレート」です。

これはカカオ含有量が70%以上のチョコレート。カカオに含まれる有効成分の「カカオポリフェノール」には、体内の活性酸素を減らす作用やインスリン抵抗性を改善する作用、血糖値の急上昇を防ぐ作用などが期待でき、これが脂肪肝の進行を防ぐのに大いに役立つのです。高カカオチョコであれば、間食やおやつとして食べるのはもちろん、1日3回の食事前にひとかけ食べるのを習慣づけていくのもいいでしょう。

それと、調味料類で積極的に使っていいものには、お酢、オリーブオイル、マヨネーズなどが挙げられます。お酢には肝臓の脂肪や内臓脂肪を減らす働きがありますし、オリーブオイルには脂肪燃焼に役立つ作用があります。マヨネーズには太りそうなイメージがありますが、じつは逆で、血糖値を上げにくくしてインスリン分泌を抑え、糖質の中性脂肪への変換を抑える作用があります。

ですから、お酢を使ってマリネや酢の物をつくったり、オリーブオイルで肉料理や魚料理を楽しんだりするのもおすすめですし、マヨネーズはサラダにかけて食べるのはもちろん、鶏のから揚げやカキフライ、ゆで卵、魚卵、刺身など、さまざまな食品につけて食べるのもおすすめとなります。

では、ここで肝機能改善を強力にサポートしてくれる「超おすすめメニュー」をご紹介しましょう。

私のイチオシは「酢納豆」です。これは、市販の納豆1パックにタレの代わりにお酢をかけたもの。じつは、この酢納豆を毎日1食食べるだけで、脂肪肝の改善に成功した患者さんがたくさんいるのです。ある患者さんは酢納豆を実践したところ、わずか1カ月で、肝機能の指標であるALTが75から41に改善し、糖尿病の指標であるHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)も6.9%から6.4%へと改善しました。

もともと、酢に含まれる酢酸とクエン酸には、肝臓で脂肪を代謝するのに必要な酵素を活性化させる働きがあり、肝臓の脂肪や内臓脂肪を減らすのにたいへんおすすめなのです。また、納豆の大豆たんぱくの主成分であるβ‐コングリシニンには、内臓脂肪や血中の中性脂肪を減らす働きがありますし、納豆の大豆サポニンには、脂肪の燃焼を助けるアディポネクチンという物質の分泌を促す働きもあります。

なお、市販の納豆にはだいたい専用の甘じょっぱいタレがついていますが、こうしたタレには「悪玉糖」の果糖ブドウ糖液糖が加えられていることが少なくありません。だから、タレの代わりにお酢を使うことは、果糖ブドウ糖液糖のマイナス作用を取り払って、お酢のプラス作用を生かすことにつながるわけです。

納豆にかけるお酢は、米酢でも黒酢でもお好みで構いません。ただ、近年は酢に糖を加えて飲みやすくしたものも多いので、なるべく糖質を含まないお酢を選ぶようにするといいでしょう。

肝臓復活は日々の食事にかかっている

ぜひみなさん、「酢納豆」はもちろん、先に紹介した「肝臓の健康にプラスになる食品」を積極的に食卓に上げて、食生活を改善してみてください。

きっと、その食の改善は、みなさんの肝臓を大いに元気づけることでしょう。肝機能の数値が改善して脂肪肝が治るのはもちろん、さまざまな生活習慣病を防ぐことにもつながっていくはずです。

わたしたちの肝臓には、日々の元気や活力を生み出す大いなる力が宿っているのです。ですから、その力を引き出していきましょう。肝臓を復活させて、これから先の人生を長く健やかに生きられるようにしていこうではありませんか。

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提供元:医者が勧める「納豆」に"ちょい足し"したい食品|東洋経済オンライン

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