2025.01.11
質の良い睡眠のために。知っておきたい睡眠と食事の関係とは?
「睡眠時間はとれているはずなのに、頭が思うように働かない」
「仕事や家事が忙しく、睡眠時間が足りていない」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
眠りの質が人生を豊かにすると言えるほど、睡眠の重要性が明らかになっています。
実は、睡眠には食生活や運動などの生活習慣、女性ホルモンなど様々なことが影響していることをご存知でしょうか。睡眠と食事が関係しているなんて意外かもしれませんが、質の良い睡眠をとるためには食生活も大事な要因のひとつです。
今回は質の良い睡眠のために、知っておきたい睡眠と食事の関係について紹介します。
眠りの質が人生を豊かにする理由とは?
睡眠は日中の活動で生じた心身の疲労を回復する機能があり、私達の健康に深く関わっていることは、すでにご存知の方が多いでしょう。一晩の睡眠不足でも注意力が低下したり、日常生活や仕事に関連したタスクのパフォーマンスに悪影響を与える可能性は否定できません。睡眠時間の不足を含めた様々な睡眠の問題が続くと、肥満、高血圧、2型糖尿病、心疾患、脳血管障害の発症リスクの上昇や症状の悪化に関連することが明らかとなっています[1-4]。
日々の生活の中で、睡眠で休養がとれた感覚がないと、疲労感や眠気、不安を感じたり、イライラしたりすることはありませんか。こういった症状が生活の質を低下させてしまうことは、容易に想像できるはずです。質の良い睡眠をとり、心と身体を健康に保つことで、満足感や幸福感を感じることのできる毎日を送りたいですね。
睡眠をサポートする食事のコツ4選
今回は、すぐに実践できるものを4つ選んで紹介していきます。
1、就寝前の食事はNG
遅い時間の食事は、消化活動が睡眠を妨げるので出来るだけ控えましょう。
例えば、胃内容物の排泄には90~120分かかるとされています 。また、遅い時間の食事パターンが体内時計のずれを引き起こし、体重増加や心臓代謝リスクの増加につながる可能性があります。寝る2時間前の食事や間食は控えたいですね[5,6]。
2、夕方以降はノンカフェインの飲み物を選ぶ
カフェインは覚醒作用があるため、寝つきの悪化や途中で目が覚めることが増えたり、眠りの質を低下させる可能性があります。
敏感な人は就寝の9時間前からコーヒー・緑茶・チョコレート・栄養ドリンクなどカフェインが含まれる飲食物は控えた方がよいでしょう。
18歳から65歳までの成人を対象とした系統的レビューでは、カフェイン摂取量が107mgを超過すると、摂取時刻が就寝時刻の約9時間前であっても、夜間の睡眠に影響することが示されています。
カフェイン量の目安はコーヒー60mg/100ml、紅茶30mg/100ml、煎茶20mg/100mlです。
夕方以降はカフェインを含まない飲み物、ハーブティー、麦茶、黒豆茶、水などに置き換えるとよいでしょう[7,8]。
3、お酒と上手に付き合う
寝る前のお酒はおすすめできません。
お酒は寝付きをよくしますが、明け方の睡眠を妨げるからです。晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲むことは、睡眠の質を悪化させる可能性があるため、お酒の量や飲む時間帯にも気をつけたいですね[6]。
4、そして何より、規則正しい食生活を送る
快眠はまずは規則正しい生活から。どんなに健康的なバランスの良い食事を心がけても、布団に入る時刻が毎日ばらばらであれば、快眠は得られません。
私たちには体内時計が備わっており、睡眠のタイミングを決めるだけではなく、前もってホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えてくれます。規則正しい生活こそが、体内時計を整え、睡眠を円滑に行う秘訣なのです。
朝食を抜いてしまう方は、まずは簡単なものでもよいので、何かしらエネルギーを補給できる朝食を摂ることが大切です。エネルギー不足となれば、日中の活動量が低下し、活動量が低下すると、夜の睡眠にも影響しかねません [5,6]。
悪循環にならないように、まずは、就寝時間を決めてみてはいかがでしょうか?
食事に気を配り、睡眠による休養感を高めよう
質の良い睡眠のためには、日々の食生活に気を配ることが大切です。 食事の内容やタイミング、寝る前の習慣に気を配り、心地よい眠りにつきたいですね。
忙しい毎日の中で睡眠を軽視しがちな方は、睡眠環境を整えることで心身を健康に保ち、充実した生活を送りましょう。
【参考文献】(すべて2024年11月26日閲覧)※外部サイトへ遷移します。
[3] 厚生労働省, e健康づくりネット:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと
[4] 厚生労働省:e-ヘルスネット, 睡眠と生活習慣病との深い関係
[8] 文部科学省:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
【プロフィール】管理栄養士 中川麻奈美
病院、福祉施設に勤務した後、学校給食の調理業務に携わる。より人々の健康作りに貢献したいとの思いから、特定保健指導やヘルスケアコラムの執筆活動にも注力している。主に生活習慣病の予防を中心に、健康的な食生活を支えられる科学的根拠のある情報を発信することを大切にしている。
記事提供:株式会社Wellmira
『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。