2024.12.02
寒い季節は要注意!ヒートショックを予防する方法とは?
ヒートショックと聞くと怖いイメージが浮かぶ方が多いのではないでしょうか。ヒートショックは、高齢者に起こりやすい傾向がありますが、高齢者に限らず誰でも起こる可能性があるため、注意が必要です。今回は、特に寒い時期に起こりやすいヒートショックの予防法について解説します。
ヒートショックの原因と症状は?
ヒートショックは医学用語ではありませんが、暖かい部屋から寒い部屋に移動した時など、温度の急激な変化で血圧が大きく変動することによって起こる健康被害のことです。失神したり、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞など命に関わる症状が現れます[1]。
入浴時にヒートショックが起こりやすいって本当!?
入浴時は、暖かい部屋から移動し、温度が低い脱衣所や浴室で衣服を脱ぎ、温かいお湯に入るという温度変化が激しく、血圧の変動が発生するため、ヒートショックが起こりやすい場面です。
令和4年の人口動態統計によると、浴槽内で亡くなった方の数は、65歳以上の方で6,307人でした。入浴時に亡くなった人の数は、交通事故で亡くなった人の数(3,541人)よりも多い現状があります。ただし、入浴時に亡くなった場合、病院では溺死や病死と診断されるため、入浴時のヒートショックが原因で亡くなった方の正確な統計データはありません [1,2]。
特にヒートショックに注意が必要な人とは?
ヒートショックは、誰でも起こる可能性がありますが、ここでは、特にヒートショックを起こすリスクが高く、注意が必要な人の特徴をご紹介します。
1、65歳以上の高齢の方
高齢になると血圧の変動が生じやすくなり、体温を維持する機能も低下するため、ヒートショックが起こりやすいと言われています。
他にも、高血圧の方は、血圧の激しい上下変動により、低血圧症が起きやすく、意識を失う場合があるため注意が必要です。
2、糖尿病や脂質異常症の方
動脈硬化が進行していることがあるため、ヒートショックが起きるリスクが高いことが分かっています[3]。
今日から実践!今すぐできるヒートショックの予防方法
ヒートショックは命に関わる怖い症状ですが、予防が可能です。ここでは、ヒートショックを予防するために今すぐできる7つのことをご紹介します。
1. 脱衣所、浴室、トイレを暖める
冷え込みやすい脱衣所や浴室、トイレは暖房器具を使って暖めることが大切です。高い位置に設置したシャワーでお湯はりをすることで浴室を効率よく暖めることができます。部屋の間での寒暖差がないように温度計を活用して、室温を管理すると良いでしょう[1,3]。
2. 太陽が出ている時間に入浴する
日没前に入浴することで脱衣所や浴室が冷え込む前に入浴を終わらせることができ、血圧の変動を抑えることができます。夕食を食べる前に入浴を終わらせる習慣をつけることもヒートショックを予防する方法の一つです[3]。
3. 喉が渇いたと感じる前にこまめに水分補給を
入浴時は発汗により、脱水や熱中症になりやすい傾向があります。入浴前にしっかりと水分補給を行い、入浴中も喉が乾いたと感じる前に水分補給を行うことを意識しましょう[1]。
4. 食後すぐ、飲酒後、服薬後の入浴はしない
食後すぐや飲酒後は一時的に血圧が下がりやすいため、失神する恐れがあるため注意が必要です。特に、飲酒後は、アルコールが完全に抜けるまで入浴は避けるようにしましょう。体調が悪い時に入浴をすることはもちろん良くないですが、普段から薬を飲んでいる方もなるべく服用後に入浴することは避けることが大切です[1]。
5. お湯の温度は41度以下、浸かる時間は10分まで
42度のお湯で10分入浴すると体温が38度に達し、体温が高くなりすぎることによって意識障害が起こりやすいと言われています。意識障害により、浴槽から出られなくなったり、しゃがみ込むことによって溺れる恐れがあるため、注意が必要です。
お湯の温度は、41度以下で10分以内に出ることがヒートショック予防に重要です。つい長風呂してしまうという方は、タイマーを活用すると良いでしょう[1]。
6. 入浴前に同居人に一声かける
入浴前に誰かに声をかけて体調に異変があった場合、すぐに助けてもらうようにすることも大切です。高齢者の入浴中は長時間入浴している、 音がしない、突然大きな音がした、などの異常に気付いた場合には、ためらわずに声を掛けるようにしましょう[1]。
7. 浴槽から急に立ち上がらない
浴槽から急に立ち上がることで体にかかっていた水圧がなくなり、脳に流れる血液量が減ることで脳が貧血状態になります。そのため、一過性の意識障害を起こす恐れがあるため、注意が必要です。浴槽から出る時は、手すりなどにつかまり、ゆっくり立ち上がることを心がけましょう。また、浴槽内で意識が朦朧としたら、浴槽の栓を抜いて溺れないようにすることも大切です[1]。
少しの工夫でヒートショックの予防を!
寒い季節に多発するヒートショックは、命に関わる怖い症状です。しかし、さまざまな予防法があることも事実です。まずは、部屋と部屋の寒暖差をなるべく無くすなど、できそうな予防法から始めてみましょう。
【参考文献】(すべて2024年10月19日閲覧)※外部サイトへ遷移します。
[3] 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター:冬場の住居内の温度管理と健康について
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局で栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。栄養指導を行う中で間違った健康情報に振り回されている人が多いことを実感し、危機感を感じていた。その経験から現在は、世の中の人々が間違った健康情報に振り回されることなく、正しい健康情報を入手できるように科学的根拠のある健康情報を分かりやすい言葉で発信するライターとして活動している。
記事提供:株式会社Wellmira
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