2024.11.19
肝臓から脂肪を落とす「朝のみそ汁」有効な摂り方|医師が解説「やせない人は肝機能に問題あり」
毎朝、具だくさんのみそ汁を最低1杯飲むだけで、代謝のよいやせる体が手に入ります(写真:takeuchi masato/PIXTA)
みそ汁で“やせスイッチ”がONになる!
肝臓は代謝を司る臓器です。代謝とは、食事から取り入れた栄養をエネルギーに変換し、体内で燃やす働きのこと。肝機能が低下すると代謝が促されず、栄養は脂肪としてどんどん蓄積されていきます。「最近やせにくくなった」「食べたぶんだけ太る」と感じる人は、肝機能が落ちている可能性が高いのです。
肝臓専門医、栗原毅医師が監修した『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁 - 肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘まで、丸ごと解決!』から、一部抜粋してお届けします。
人はなぜ永遠にやせられないのか
糖質制限や脂質カット、過激な筋トレ、絶食など、巷には数多くのダイエット法がありますが、こうした体や心に負担を強いるダイエットは、リバウンドしやすく、健康を損なうおそれもあるため、決して正しい方法とはいえません。
一生もののスリムで健康な体を手に入れるために必要なのは、血のにじむような努力や強靭な忍耐力ではなく、体の構造やしくみを知り、効率的にアプローチをすることです。
やせるうえで最も注目したい体の臓器、それが肝臓です。なぜなら、肝臓は人の代謝と解毒をつかさどる、ダイエットのキーマンともいえる臓器だから。
代謝とは、食事として体に取り入れた栄養を分解し、体を動かすエネルギーなど、人が生きるために必要な物質に作り変えることをいいます。つまり、肝臓の働きが悪いと代謝が促されず、食事で取り入れた糖や脂質はどんどん体に脂肪として蓄積されていきます。
反対に、肝臓が正しく機能していれば、糖や脂肪はどんどんエネルギーなどに変換され、自然にやせていくというわけです。
また、肝臓は体の中に生じる有害物質を無毒化して尿や胆汁として排出する、解毒の役割も担っています。ほかにもさまざまな役割がありますが、まずは、「やせるためには、肝臓を正常に働かせることが何より重要」ということを覚えておきましょう。
肝臓に起こる異常のうち、最も多くを占める「脂肪肝」は、その名の通り、肝臓に中性脂肪が溜まった状態です。
脂肪肝になると、肝臓の機能は衰え、代謝が落ちて太りやすくなります。今や成人の3人に1人が脂肪肝ともいわれるため、早めの対策が肝心です。
肝臓の脂肪を減らすためには、糖質と脂質を適正量に抑えながら、代謝のスイッチを入れるタンパク質をしっかりと摂取し、代謝を促すために必要なビタミンやミネラルを過不足なく摂る必要があります。
さらに、肝臓と密接に関わっている腸内環境を整えるため、食物繊維も摂るよう心がけなくてはいけません。
これらすべてを満たしてくれる魔法のような食べ物が「やせみそ汁」なのです。毎朝、具だくさんのみそ汁を最低1杯飲むだけで、肝機能は自然と回復し、代謝のよいやせる体が手に入ります。
具たっぷりが、脂肪を増やさないコツ
肝臓太りの最大の原因は糖質の摂りすぎによるもの。
ごはん、パン、麺類といった主食や甘いお菓子など、糖質に偏った食生活を続けていると、肝臓で代謝しきれず余ったブドウ糖が、脂肪として肝臓に蓄積されてしまいます。それにより肝機能が衰えると、代謝の働きも低下し、さらに太りやすくなるという悪循環に陥ってしまうのです。
みそ汁に肉や魚、野菜などの具材をたっぷり入れると、お腹が自然と満たされて主食の量が減り、糖質の取りすぎを防いでくれます。
さらに、食後血糖値の上昇がゆるやかになり、脂肪を溜め込む原因となるインスリンの分泌量も抑えられるので、太りにくくなります。
(画像:『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁 - 肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘まで、丸ごと解決!』より)
代謝を上げるためにタンパク質をプラス!
肝臓は、アルコールを分解して解毒する働きがあります。その働きを担う物質がタンパク質です。また、傷ついた肝臓を修復するときにもタンパク質は必要です。
タンパク質は体に溜めておくことができないので、適量をできるだけ毎食摂る必要があります。
そのときに特に意識してほしいのが、朝食で摂るタンパク質。1日のはじまりにタンパク質を摂ることで肝臓にある代謝のスイッチが入り、1日中、効率よく糖質や脂質をエネルギーへと変換してくれます。
しかし、忙しい現代人は、朝ごはんを抜いてしまったり、食パン1枚だけで済ませてしまったりと、朝食でのタンパク質が不足しがちです。このような状態で1日をスタートさせてしまうと、1日中代謝の働きが鈍くなり、その結果、太りやすくやせにくいデブ体質へとまっしぐら。
そこで私がおすすめしているのが、朝にみそ汁を飲むことです。
具だくさんのみそ汁を毎朝1杯飲めば、不足しがちなタンパク質が補え、毎朝きちんと代謝スイッチが入るので、体のリズムも整ってやせやすくなります。
タンパク質は、肉、魚、卵、大豆、乳製品のどれか1つに偏らず、できるだけいろいろな組み合わせで摂るといいでしょう。朝であれば包丁を使わず調理できる豆腐や卵、魚介の缶詰などがおすすめ。それらのタンパク質食品に、野菜や海藻、きのこ類などをできる範囲で組み合わせてください。
大切なのは毎日継続すること。できるだけ無理をせず、ラクに続けられるマイ定番タンパク質を、冷蔵庫に常備しておきましょう。
(画像:『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁 - 肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘まで、丸ごと解決!』より)
腸が整うと、肝臓が元気になる
肝臓と腸に密接な関わりがあることをご存じでしょうか? 肝臓は、門脈という器官を通して腸とつながっています。そのため、腸内細菌の影響をダイレクトに受けることになります。
腸内環境が乱れて増えた悪玉菌が毒素を作り出すと、毒素は血流にのって肝臓に到達し、肝臓の解毒作用によって無毒化されます。毒素が増えれば増えるほど、肝臓は「解毒」に力を注がなくてはならないため、そのぶん「代謝」の働きは低下し、太りやすくなるというわけです。
肝臓に「解毒」という余計な仕事をさせず、「代謝」に専念してもらうためには、腸内環境を整えることが何より大切。
そのために必要なのが食物繊維です。食物繊維は善玉菌のエサとなり、悪玉菌を減らして善玉菌を増やしてくれます。また、便の量や硬さを調節して便通を促す働きもあります。
脂肪肝を予防・改善する働きも
つまり、便通を促すことで、悪玉菌が増えるのを防いでくれるのです。
さらに、食物繊維は腸での糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を抑えて脂肪肝を予防・改善する働きもあります。
食物繊維には水溶性と不溶性があります。それぞれ異なる働きがあるので、どちらもバランスよく摂るといいでしょう。水溶性は、わかめやこんにゃく、いも類などに多く含まれ、不溶性は、穀類や大豆、ごぼうなどに多く含まれます。
いずれもみそ汁と相性のよい食材ばかりなので、その日の気分で具材を変えて楽しむことができます。
(画像:『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁 - 肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘まで、丸ごと解決!』より)
『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁 - 肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘まで、丸ごと解決!』(ワニブックス)
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提供元:肝臓から脂肪を落とす「朝のみそ汁」有効な摂り方│東洋経済オンライン