2024.11.18
命に関わる心疾患は、予防が大切!今すぐできる生活習慣改善とは?
命に関わる心疾患の発症を予防したいと考えている方は多いのではないでしょうか。心疾患の中でも特に、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は、生活習慣との関わりが深い病気です。
ここでは、生活習慣の改善で予防が可能な狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の予防に着目して解説します。
心疾患の発症リスクを上げる原因とは?
虚血性心疾患は、主に2種類に分けられます。
1つ目は、動脈硬化によって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液の流れが悪くなることで発症する狭心症です。
2つ目は、動脈硬化によって心臓の血管に血栓ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう心筋梗塞です。
心疾患の発症リスクを上げる危険因子として、喫煙、LDLコレステロールの高値、高血圧、肥満、運動不足やストレスなどがあるといわれています[1]。
心疾患の予防のための食事のポイント
ここでは、心疾患の発症予防のために今すぐできる食事のポイントを4つご紹介します。
1. 食べすぎ、飲み過ぎに気を付ける
肥満の方は、動脈硬化性疾患の発症リスクが高いことが分かっています。適正体重を維持するためには、食べすぎ、飲み過ぎに気を付けて腹8分目を意識することが大切です。気が付かないうちにエネルギーの過剰摂取につながりやすい間食やお酒などの量は特に注意するようにしましょう[2,3]。
2. 食塩摂取量を減らす
心疾患発症のリスク因子の中に高血圧があります。血圧を下げることが心疾患の発症リスクを下げることに繋がることが、これまで多くの研究で明らかにされているのです。
高血圧の方が減塩をすることで収縮期血圧、拡張期血圧が低下することが明らかになっています。日本人の食塩摂取源のおよそ70%は調味料であるといわれているため、醤油やソースなどの調味料の使用量や味が濃い加工食品を減らすことが大切です。また、麺類の汁を残すなど日々の食事で工夫をしてみると良いでしょう[2]。
3. 飲酒はほどほどに
多量のアルコール摂取(純アルコール換算およそ46~60 g/日以上)は、心疾患発症のリスクを上げるといわれています。心疾患発症予防のためには、アルコールの摂取は25 g/日以下またはできるだけ減らすことが重要です。純アルコール換算量は、お酒の量(mL)×[アルコール度数(%)÷ 100]× 0.8で計算できます。例えば、純アルコール20gの場合、アルコール度数5%のビール500mlまたは12.5%のワイン200ml程度です[2,4]。
4. 食物繊維の摂取量を増やす
食物繊維の摂取量を増やすと心疾患発症のリスクが低下することが明らかにされています。『日本人の食事摂取基準(2020年版)』では、食物繊維の目標量を18歳~64歳の男性は21g以上、女性は18g以上、65歳以上の男性は20g以上、女性は17g以上と定められていますが、現代の日本人は不足傾向です。
食物繊維は、野菜類、果実類、きのこ類などさまざまな食品に含まれていますが、1回の摂取量が多い主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えると、効率良く摂取できるでしょう[2,5,6]。
心疾患の発症予防のためには少しでも身体を動かすことが大切!
運動不足の人や座っている時間が長い人は、心疾患の発症リスクが高くなることが分かっています。まずは、運動初心者でも比較的負荷が軽く取り組みやすい有酸素運動を行うと良いでしょう。
有酸素運動は、大きな筋肉を一定期間リズミカルに動かす運動であり、ウォーキングやランニング、水泳やサイクリングなどが当てはまります。
有酸素運動は、中等度以上(3メッツ以上)で1日30分以上、週3回以上(可能であれば毎日)または、週150分以上の実施が目安です。
少しでも身体を動かすことで、心疾患の予防につながるため、運動がなかなかできない場合は、家事や職場で低強度でも身体を動かすことを意識してみましょう [2]。
上手にストレス発散を!
心疾患の発症はストレスとも関係していることが分かっています。
ストレスをすべて無くすことはできませんが、上手に発散することが大切です。ストレスを感じている状態では、眠れない、お腹の調子が悪くなる、怒りっぽくなるなどのストレスサインが出ていることがあります。ストレスサインを感じたら休息をとり、自分が好きなことをして気分転換をするなど、早めにセルフケアをするようにしましょう[1,7]。
生活習慣の改善で命に関わる心疾患を予防しよう!
心疾患は、命に関わる怖い病気ですが、日々の生活習慣を改善することで予防をすることが可能です。まずは、心疾患の予防のために自分の生活習慣を振り返り、改善できることがないか確認することから始めてみると良いでしょう。
【参考文献】(すべて2024年08月14日閲覧)※外部サイトへ遷移します。
[1]厚生労働省:e-ヘルスネット|狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)
[2]一般社団法人日本循環器学会:2023年改訂版 冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン
[7]厚生労働省:こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|ストレスのサイン
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局で栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。栄養指導を行う中で間違った健康情報に振り回されている人が多いことを実感し、危機感を感じていた。その経験から現在は、世の中の人々が間違った健康情報に振り回されることなく、正しい健康情報を入手できるように科学的根拠のある健康情報を分かりやすい言葉で発信するライターとして活動している。
記事提供:株式会社Wellmira
『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
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