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2024.10.02

「太ってないのに糖尿病」の人に足りない栄養素|「健康診断の数値」が正常でも安心できない


最近は、やせているのに糖尿病になる人が増えてきたという(写真:kou/PIXTA)

最近は、やせているのに糖尿病になる人が増えてきたという(写真:kou/PIXTA)

多くの人にとって「糖尿病は太っている人がかかる病気」というイメージが強いと思いますが、糖尿病専門医の矢野宏行氏によれば、じつは「やせている人、とくに女性は油断禁物」だそうです。
血糖値や糖尿病について、まだまだ誤った知識が蔓延している中、健康診断の数値を鵜呑みにしてはいけない理由について矢野氏が解説します。

※本稿は、矢野氏の著書『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』から、一部を抜粋・編集してお届けします。 ※外部サイトに遷移します

「やせているのに糖尿病」になる人は意外と多い

糖尿病の患者さんに太っている人は多い。これは事実です。

肥満の原因は糖質の過剰摂取がもたらす高血糖ですからね。糖尿病と直結しています。

しかし最近は、やせているのに糖尿病になる人が増えてきました。とくに外見を気にしている女性に多いです。なぜそういうことが起こっているのか。理由を説明していきます。

やせている人でも、たんぱく質をしっかり摂っていたり、トレーニングをしていたりするのであれば問題ありません。危険なのは、そもそも小食の人や、食事制限のダイエットをしてやせた人です。

たんぱく質を摂らずにやせると、もちろん脂肪は減りますが、同時に筋肉も減ってしまいます。ただ減るだけでなく、質も落ちてきます。エネルギー源のブドウ糖を取り込んで消費するという能力自体が、減退してしまうのです。

すると、消費されなかったブドウ糖は中性脂肪となり、脂肪細胞に蓄えられます。これが、見た目はやせているのに、体の中は内臓脂肪と皮下脂肪だらけという状態をつくります。脂肪肝になる人も少なくありません。

脂肪肝になると、肥満か否かにかかわらず、インスリン抵抗性が増し、血糖値が上昇していきます。そしていつの間にか、糖尿病になってしまうのです。

ならば、しっかり食べて体重を元に戻せばいいかというと、なかなかそういうわけにもいきません。極端なダイエットをした人が食事の量を増やすと、最初に脂肪がついてきて、筋肉が後回しになるからです。そうすると、やせる前よりもさらに代謝が悪い状態になり、筋肉の割合が増えてこないにもかかわらず脂肪だけが増えてくる、というスーパー悪循環に陥ってしまいます。やせている人、とくに女性は油断禁物です。

「健康診断の数値」が正常でも安心できない

「毎年健康診断を受けているけど、血糖値はつねに正常です。だから、今のところ糖尿病の心配はないし、血糖値スパイク(生活習慣の影響を受けて血糖値が乱高下すること)とも無縁でしょう」

このように考えている人は大勢いると思いますが、果たして本当に「心配無用」なのでしょうか。じつは「そうではない」ということを、ここでみなさんにお伝えします。

もちろん、健康診断で異常値を示している人よりははるかにリスクは低いですし、何も問題がないという可能性もじゅうぶんにあります。しかし、健康診断の数値だけでは安心できません。理由は、健康診断前の食事は控えることが推奨されているから。つまり、血糖値は原則的に空腹時のみにしか測っていないからです。

食後に血糖値が急上昇することは、よく知られている話です。私はこれまで、空腹時血糖値は正常かつヘモグロビンA1cが5%台で糖尿病ではないにもかかわらず、食後血糖値が正常値の140以下を超え、200近くにまで爆上がりするタイプの患者さんを何人も見てきました。

これはいわば「糖尿病予備軍」あるいは「隠れ糖尿病」です。当然、血糖値スパイクは起こっているでしょう。だから私は、体温や体重を測るのと同じ感覚で、どなたにも食後血糖値を測ることを勧めています。

医療機関を受診せず、自分で血糖値を測定する方法は多種多様に存在します。必要なときに小さな穿刺具で採血して測るお手軽な測定器もありますが、私がベストと考えているのは、スマートフォンのアプリに連動させて24時間、断続的に血糖値やヘモグロビンA1cを測定することにできる「フリースタイルリブレ」という器具です。このフリースタイルリブレについて詳しく説明します。

血糖値を24時間、断続的に自分で測定できる

血糖値は1日中めまぐるしく上下動しており、個人差があります。もちろん、糖尿病患者と健康的な人とでは、その波形は大きく変わってきます。

空腹時血糖値と食後血糖値の差(上昇度)をチェックするのは大事。ではあるものの、あくまでそれは点と点の比較をしたにすぎません。みなさんの体の状態を正確に見極めるためには、血糖値の動きを線で把握することが求められます。

そんなとき、強い味方になってくれるのが「フリースタイルリブレ」です。これを体に装着しておくと、皮膚に刺した針状のセンサーが分単位でグルコース値(≒血糖値)を測定し、推移をグラフで表示してくれます。スマートフォンのアプリにデータを転送することもでき、たいへん便利です。

センサーから皮下組織にカニューレという細い管を留置するかたちでグルコース値を測定しており、データとしての正確性が高いことは証明されています。血糖値スパイクが起こっているかどうかも、このデータを見れば一目瞭然です。

センサーを装着する際の痛みはほとんどなく、誰でもお手軽に使用することができます。ちょっとだけチクッとする程度です。

センサーの使用期間は2週間で、1回あたりだいたい6000~8000円の費用がかかります。1型もしくは2型の糖尿病と診断された人でインスリン注射を行っている場合は、2022年4月より、購入時に保険が適用されるようになりました。

みなさんの命を守るために、健康的に長生きするために、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

なお最近は、スマートウォッチなど体に装着する際に針を刺さない非侵襲の血糖値測定器が注目を集めていますが、実際の血糖値との乖離が大きすぎるという報告がなされています。

まだまだ研究開発段階ゆえに、正確性に欠けるということでしょう。今はまだ、信頼しないほうがいいと思います。

「血糖値の推移」でわかる3つの異常パターン

健康診断でいっさい異常が認められなかった人が、念のためフリースタイルリブレを装着して血糖値を測定したところ、空腹時血糖値も食後血糖値も正常値の範囲内で、血糖値スパイクが起こっている様子もない。

これが、最も望ましいパターンです。食事をはじめとする通常の生活スタイルにとくに問題はないのでしょう。油断は禁物ながら、とくに何かを意識したり、変えたりする必要はないと思います。しかし残念ながら、読者のほぼ全員がこれには該当しないはずです。本稿を読んでいる時点で、血糖値になんらかの不安を抱えている可能性が高いということですからね。

そこで、注意喚起の意味も込めて、血糖値の推移でわかる3つの異常パターンを紹介していきます。該当している人は、然るべき対応をとりましょう。

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糖尿病のリスクはまだ低いですが、ベースラインが高いので注意しましょう。

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糖尿病の予備軍、隠れ糖尿病の公算が大きいです。糖質のセーブを意識しつつ、ストレッチなどの運動に積極的に取り組んでください。

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糖尿病患者はほぼこのパターンに該当します。まだの人は真っ先に専門的な医療機関を受診してください。今のままの生活スタイルでは、体にダメージを与え続け、確実に寿命を縮めることになってしまいます。

いくら「カロリー制限」をしても意味がない

病院で糖尿病と診断され、通院して治療をするも、なかなか良くならない。こういう人は大勢います。考えられる理由はおもに3つです。

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『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』(アスコム)。 ※外部サイトに遷移します

まず、患者さんの体質的、あるいは症状の進行状況的に、現代の医学・医療技術では対処できない場合。続いて、患者さんが医師の指導(服薬の量や頻度を含む)をしっかり守っていない場合。そして、医療機関が適切な治療・指導を行っていない場合。

だいたいどれかに当てはまるのですが、ここでは3番目について、少し掘り下げて考えていきたいと思います。

糖尿病を治すためには、根本の原因にアプローチする必要があります。2型糖尿病の場合は、糖質の過剰摂取がもたらす高血糖です。これは食事や生活習慣などを見直すことによって改善されていきます。

しかし、現在の糖尿病治療は、ブドウ糖と結合して糖化するヘモグロビンの割合を示す「ヘモグロビンA1c」の数値を下げることに重きを置く風潮にあります。メインになるのは、薬に頼った治療です。

薬を飲めば、ヘモグロビンA1cも血糖値も下がるのですが、元の原因を解決できておらず、長期的に見て糖尿病の症状が劇的に良くなることはありません。投薬よりも食事指導に力を入れている医療機関においても、栄養素のバランスを考慮しつつ、カロリー制限を課すケースが多く見受けられます。ですが、じつはカロリーは血糖値に影響しないことがわかっていますので、糖質を気にしない限り、糖尿病は良くなりません。

だから、「医学のプロだから安心」と、決して思わないようにしてください。薬中心の治療、カロリー制限の食事を勧めてくる病院は、疑ってかかりましょう。

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提供元:「太ってないのに糖尿病」の人に足りない栄養素│東洋経済オンライン

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