2024.08.06
相次ぐ40℃超え「この暑さ、いつまで続くのか?」|「過去最も暑い夏になるかもしれない」理由とは
今年の猛暑はいつまで続くのか。気象予報士が解説します(写真:スムース/PIXTA)
昨年の夏は、統計史上最も気温が高くなりましたが、今年は、それを上回る暑さになるおそれがあります。
この暑さ、いつまで続くのでしょうか。気温が高くなるメカニズムとともに解説します。
日本最高記録に迫る暑さ
7月29日、佐野(栃木県)で最高気温41.0℃を観測しました。
日本の歴代最も高い気温は、2018年に熊谷(埼玉県)、2020年に浜松(静岡県)で観測された41.1℃です。あと0.1℃高ければ、歴代1位タイでした。
【(1)7月29日の最高気温】出典:weathermap
この日は、館林(群馬県)と天竜(静岡県)で40.2℃、伊勢崎(群馬県)40.1℃、熊谷(埼玉県)と古河(茨城県)では40.0℃まで上がっています。全国6地点で40度以上になったのです。
東京は37.3℃で、今年最も高い気温でした。
7月29日は、日本の南にある太平洋高気圧の勢力が強く、上空に暖気が流れ込み、各地で気温が高くなりました。
特に関東で気温が上がったのには、もう1つ理由があります。それは、フェーン現象です。風は等圧線(図の白線)に沿って吹くので、この日は北西風でした。関東は、北西風のときにフェーン現象が発生します。
【(2)7月29日の天気図】出典:weathermap
フェーン現象とは、山を越えた暑い風が吹き下ろし、風下側で気温が上がることです。山との位置関係によって、どの風向きでフェーン現象になるかは異なります。
例えば、今年7月7日は静岡で最高気温40.0℃になりましたが、静岡は西風のときに暑くなります。
今年の暑さは長く続く?
今年は7月上旬から猛烈な暑さに見舞われ、日本は1898年の統計開始以来、7月としては最も気温が高くなりました。記録的な暑さとなった昨年7月は平年より1.91℃高かったですが、今年7月は平年より2.16℃高く、昨年を超えたのです。
【(3)日本の7月平均気温平年差】出典:気象庁HP
そして、この先も暑さが続きそうなので、フェーン現象が重なれば、最高気温40度以上が観測されてもおかしくありません。
気象庁の1か月予報では、9月2日にかけて全国的に平年より気温が高い予想です。
【(4)1か月予報(平均気温)】出典:気象庁HP
9月、10月の気温の予報は?
特に、8月16日頃までは、平年よりかなり高くなるおそれがあります。
さらに、残暑も厳しくなりそうです。
【(5)3か月予報(9月の平均気温)】出典:weathermap
9月の気温は北海道から沖縄まで赤色、全国的に平年より高いでしょう。
【(6)3か月予報(10月の平均気温)】出典:weathermap
10月になると、北海道は平年並みか高い見込みですが、東北から沖縄では高いと予想されています。
秋にかけてラニーニャ現象が発生する可能性が高いです。
【(7)ラニーニャ現象】出典:気象庁HP
「W高気圧」で猛烈な暑さが続く
ラニーニャ現象は、貿易風が強まることによって、南米・ペルー沖の海面水温がいつもより低くなることをいいます。一方、インドネシア近海の海面水温は高いため、雲が多く発生します。その影響で、太平洋高気圧の張り出しが強まるのです。
さらに、インド洋の東部も海面水温が高く、雲が多く発生するため、チベット高気圧が平年より北に偏ります。
太平洋高気圧とチベット高気圧、2つの高気圧によって、日本は暑い空気に覆われやすくなります。
そして、上空の偏西風が日本付近では平年より北を流れることで、日本に暑い空気が流れ込みやすいです。複数の要因が重なり、この先も暑くなるでしょう。
【(8)予想される海洋と大気の特徴】出典:気象庁HP
厳しい暑さや長引く暑さによって体調を崩さないためにも、環境省と気象庁が出している「熱中症警戒アラート」を1つの目安にしてください。
暑さというと気温に注目しがちですが、気温だけでなく、湿度が高いと熱中症の危険度が上がります。熱中症警戒アラートが発表されているときは、湿度も高いので、いつも以上に熱中症対策を万全にしましょう。
【(9)熱中症予防のポイント】出典:weathermap
喉が渇く前に水分補給をするようにして、適度に塩分もとるようにしましょう。風通しがよく、汗をよく吸って乾かす、涼しい服を着ることも大切です。
家の中でも油断できないので、エアコンを使うようにしてくださいね。
夜間に熱中症になる人も多いため、寝る前にコップ1杯の水を飲んだり、目を覚ましたときにすぐ水分補給ができるよう、枕元に水を置いておいたりしておくとよいでしょう。また、寝ている間もエアコンをつけっぱなしにしておくことが大事です。
夏休みの旅行や帰省で普段と違う場所で過ごしたり、屋外で過ごす時間が長くなったりするときは、いつも以上に熱中症に気をつけてください。
夏休みの後半は「暑熱順化」を!
また、夏休みをずっと涼しい屋内で過ごすと、体が暑さや汗のかき方を忘れてしまい、休み明けに熱中症になってしまうこともあります。日常生活に戻る前に、もう一度「暑熱順化(入浴などで体を暑さに慣らすこと)」をするのがオススメです。
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提供元:相次ぐ40℃超え「この暑さ、いつまで続くのか?」|東洋経済オンライン