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2024.07.17

安眠を妨げる「寝る直前が当たり前」の意外な習慣|できれば「就寝1時間前」には済ませておくこと


「ぐっすり」と眠るために気をつけたいポイントを解説します(写真:foly/PIXTA)

「ぐっすり」と眠るために気をつけたいポイントを解説します(写真:foly/PIXTA)

「暑くて寝苦しい」「朝早いうちに目が覚めてしまう」――。そんな睡眠の悩みを解消するには睡眠の質を高めることが必要だと、睡眠専門医の白濱龍太郎氏はいいます。気持ちよく「ぐっすり」と眠るために気をつけるべきポイントと、寝る前のNG習慣について白濱氏が解説します。

※本稿は、白濱氏の著書『朝までぐっすり眠れる 深睡眠スープ』から、一部を抜粋・再編集してお届けします。

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ランチの「メニュー選び」も睡眠に影響を及ぼす

睡眠を整える際にまず気をつけたいのは、食事です。ここでは、ランチメニューについて解説していきましょう。

睡眠の面で避けたいランチは、パスタ・うどん・菓子パンのような「炭水化物のみ」のメニューです。

糖質が多いので、血糖値が急激に上がって日中に眠気を催し、長すぎる昼寝で夜の睡眠に悪影響を与えてしまう恐れがあります。もちろん、食事バランスや血管の健康の面でも、糖質の摂りすぎはよくありません。

また、香辛料をたっぷり使った「激辛メニュー」や、鍋物・汁物のような「熱いメニュー」も避けましょう。こうしたメニューは深部体温を上げるので、午後の眠気を誘って体内時計のリズムを乱してしまうためです。

おすすめのランチメニューは、体の材料となる「タンパク質」が豊富なものです。血糖値が上がりにくいので日中の活動に集中しやすくなり、結果的に夜の熟睡につながります。

食べる順番も、野菜や肉・魚から先に食べて、ご飯や麺はあとに食べるようにすると、血糖値の急上昇を防ぐのに効果的です。

また、辛いものや熱いものを食べたいときは夕食に摂るようにすると、上がった深部体温が寝るタイミングで下がるので、眠りやすくなっておすすめです。

ぜひランチメニューに気をつけることから始めてみてください。

眠るときは「深部体温」を下げる姿勢を意識して

気をつけたいことの2つめは、眠るときの姿勢です。ぐっすり眠るためには深部体温を下げる必要があるのですが、それを効果的にするおすすめの姿勢があるのです。

それは、「仰向けの大の字」の姿勢。手足を広げると体を圧迫しないので、血流がさまたげられず、熱を放散しやすくなるのです。

さらに血流を促すためには、足元にクッションや畳んだタオルなどを置いて、心臓より高くしてもよいでしょう。血液が心臓に戻りやすくなり、血流が滞りがちな中高年〜シニア世代にはとくに効果的です。

また、いびきに悩んでいる場合、寝る姿勢を横向きに変えてみましょう。いびきは睡眠中に気道がふさがって空気が通りにくくなっているために音が出ている現象なので、ほうっておくと睡眠の質が低下してしまいます。

気道を広げるためにも、横向きで眠れば舌が喉の奥へ沈んで気道が狭くなる「舌根沈下(ぜっこんちんか)」を防ぐことができます。横向きの姿勢をキープするには、抱き枕を使うとよいでしょう。

3つめのポイントは、朝に日光を浴びることです。

毎日ぐっすり眠るためには、「眠りに向けた1日のリズム」を作ることが大切です。なぜなら私たちの体は、意識的にリズムを決めてそれをキープしないと、しだいに夜型になっていってしまうからです。

人間には「体内時計」というものが備わっていて、一定の周期で体内環境を変化させる機能があります。体温、ホルモン分泌、免疫機能などのほか、「夜になると眠くなり、朝になると目が覚める」という睡眠の周期も、この体内時計によってコントロールされているのです。

この周期が、じつは24時間より長く、約25時間周期であることがわかっています。

つまり、その「ズレ」を意識的に毎日リセットしないと、自然と1時間ずつ夜型になっていってしまうのです。

朝の光がすべてのスイッチを入れてくれる

このリズムのズレをリセットしてくれるのが、朝の光です。私たちの体内時計は、規則正しい時間に強い太陽光を浴びることで調節されます。

その理由は、太陽光を感知すると「セロトニン」というホルモンが分泌されるためです。

日中に分泌されたセロトニンは、夜にかけてゆっくりと眠気を生み出す「メラトニン」へと変化していきます。つまり、規則正しく朝の光を浴びれば、夜は自然と眠くなるリズムをキープできるわけです。

そこで毎日の習慣の基本として、起きたらすぐにカーテンを開けて朝の光を浴びることをおすすめします。

可能であれば、散歩やウォーキングに出るのもおすすめです。セロトニンは「2500ルクス以上の光を浴びながら、一定のリズム運動を5分以上続けること」で、分泌されやすくなるためです。

室内の明るさは500ルクス程度ですが、窓際に寄れば3000ルクス程度、屋外へ出れば曇りの日でも1万ルクス程度の光を得られます。

また、睡眠改善と聞いて、サプリメントを思い浮かべる人もいらっしゃることでしょう。実際に私も、「睡眠改善のためにサプリメントを飲んでもいいですか?」と患者さんから質問されることがあります。たしかに、近頃は睡眠にいい栄養素を含んだサプリメントが多く販売されています。

もちろん、摂取の目安を守ればサプリメントを摂取してもかまいません。イライラしやすく落ち着きがない人には、不眠を改善する効果のあるGABAや、覚醒状態を保つための物質をブロックしてくれるテアニンが配合されたものがおすすめです。

また、睡眠のリズムを整えたい人には、ビタミンB12やラフマ葉エキス配合のサプリがよいとされています。

ただし、サプリメントには成分を濃縮しているものも多くあるため、副作用が出てしまう可能性もゼロではありません。とくに持病を抱えている人、高齢者や子ども、妊娠中の人、アレルギー体質の人などは摂取に注意が必要です。

実は安眠を妨げている、寝る直前の「NG習慣」

一方で、絶対に避けたい習慣は、寝る直前の食事、喫煙、歯磨きです。なぜいけないのか、ひとつずつ説明していきましょう。

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まず、寝る直前に食事をとると、消化が睡眠をさまたげてしまいます。消化活動のために内臓が動いている状態では、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が下がったりするためです。

食べ物を消化するには一般的に2~3時間ほどかかり、お肉や揚げ物など脂肪分の多いものでは4~5時間ほどかかるといわれます。そのため、夕食は寝る4時間前までに済ませるのが理想的です。

つぎに、タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があります。吸うと目が冴えてくるうえ、覚醒作用は1時間ほど続くことも特徴です。

寝る前に1本吸ったために睡眠不足に陥り、日中に眠気を感じる→タバコで紛らわせる→眠りにくい体になる→夜中に起きて吸う→さらに寝不足になる……といった「喫煙スパイラル」に陥らないためにも、まず寝る前の1本を我慢することから始めてみてください。

そして、意外に思われるかもしれませんが、夜の歯磨きにも注意が必要です。歯ぐきへの刺激で脳が刺激されるため、寝る直前に歯を磨くとせっかく訪れた眠気が飛び、覚醒してしまう可能性があるのです。

さらに歯磨きの際に明るい光を浴びることで、メラトニン分泌が減ってしまうことも考えられます。ぜひ、寝る1時間前までに歯磨きを済ませるようにしましょう。

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提供元:安眠を妨げる「寝る直前が当たり前」の意外な習慣|東洋経済オンライン

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