2024.06.24
雨でも快適?「ゴアテックス」シューズの履き心地|スーツもカジュアルもオールラウンドで活躍
多くのフットウェアブランドがゴアテックス搭載の靴を手掛けるようになり、愛用者が増えている(写真:SamEdwards / Getty Images Plus)
間もなく梅雨が到来し、雨が多くなることが予想されます。この時季の通勤には傘やレインウェアが不可欠ですが、皆さん足元の装備はどうしていますか?
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雨に濡れたシューズや靴下を履いたまま仕事をするのは不快ですし、連日の雨続きとなると靴を乾かすのもひと苦労です。撥水スプレーや防水スプレーもうまく活用したいところですが、繰り返しスプレーしなければならず、シミになる素材もあるので注意が必要です。
そんな中、雨の日でも快適に過ごせると「ゴアテックス」を搭載したシューズが注目を集めています。今日では実に多くのフットウェアブランドが手掛け、愛用者が増えています。
水滴や風は通さないのに水蒸気は通す
アウトドアスポーツやキャンプを親しまれる方なら、「ゴアテックス」は知っているはず。そうでなくとも、名前やロゴマークを見聞きしたことはあるのではないでしょうか。
簡単に説明すると、いわゆる高機能マテリアルの中でも50年以上の歴史を有するパイオニアであり、代名詞となっている素材です。
【写真】ビジネス靴の基本、ブラックに絞って、スーツからカジュアルまであらゆるスタイルに合うゴアテックスシューズを紹介 ※外部サイトに遷移します
「ゴアテックスメンブレン(膜)」と呼ばれる極薄のフィルムに超微細な孔が無数に開いており、これには水滴や風は通さないのに水蒸気は通すという特性があります。すなわち雨や風の浸入をブロックしながらも、汗の湿気を逃して不快な蒸れを抑えるといった相反する性能を併せ持っているのです。
左:「ゴアテックスメンブレン」は約0.01mmと非常に薄く、補強のため表地&裏地を貼り合わせて3層構造の「ゴアテックスファブリクス」で使用する。ウェアでは2層で使用する場合もある。右:「ゴアテックスメンブレン」の拡大写真。1インチ平方に90億もの孔があり、この隙間は水滴の2万分の1の小ささ、蒸気分子の700倍以上の大きさのため、水を通さず湿気を逃す(写真提供:日本ゴア)
防水・防風・透湿性を兼ね備え、しかも薄くて軽量なゴアテックス素材は、過酷な自然環境と対峙するためのアウトドアウェアを筆頭に、南極探検隊の防寒着、またNASAの宇宙服にも採用されてきました。
持ち前の機能がタウンユースにも重宝
現在では、他社の類似素材もさまざま登場していますが、ゴアテックスの知名度は高く、世界中の一流ブランドからラブコールが絶えないのは、非常に優れたクオリティと徹底した品質管理があるからこそ。
防水・防風・透湿性が保証されたゴアテックス製品には、ロゴマークの下げ札が付属するほか、ネームタグやプリントが必ずあしらわれているので、購入時の目印になる(筆者撮影)
いかなるブランドであっても、ウェアやシューズの最終製品がゴア社による厳しい品質テストに合格しなければ本生産は許可されず、これをクリアしたプロダクトだけがゴアテックス製品として晴れて世に出ることを認められます。
そんなゴアテックス素材が靴にも導入されたのは、何も最近ではありません。1970年代、メンブレンを足袋のような形状にした「ゴアテックスブーティ」が開発され、これを内蔵したトレッキングブーツが誕生しました。
足を包み込むようにゴアテックス素材を成形した「ゴアテックスブーティ」。これがシューズの中に組み込まれている。※ブーティを使用しない製法もあり(写真提供:日本ゴア)
以降も主にアウトドア向けに使われてきたものの、持ち前の “ 濡れない・蒸れない ” といった機能はフィールドにとどまらずタウンユースにも有用なことから、徐々に普段履きのシューズにも搭載されるようになったのです。
雨や雪、どんなに足元が悪くても仕事に向かわなければならないビジネスパーソンにとって、ゴアテックスシューズは心強い存在です。ここでは、使いやすいブラックに絞り、テイストの異なる5足を紹介します。
やはりブラックは仕事靴の基本カラーであり、あらゆるスーツやパンツに合わせやすい万能色なので1足目として重宝します。また雨天での着用が前提なので、シミや泥汚れが見立ちにくいのもメリットです。
正統なスーツスタイルには革靴タイプ
仕事服のカジュアル化が進む昨今とはいえ、スーツやジャケパン(共生地ではないジャケット&パンツの組み合わせ)にネクタイが求められる職業やシチュエーションも少なくありません。
そうした正統派のビズスタイルには「アシックスランウォーク」が最適です。どこからどう見ても紛れもない本格ドレスシューズですが、しっかりゴアテックス素材が内蔵されています。
アシックスランウォーク「ランウォーク ゴアテックスシリーズWR819P」3万3000円/アシックス商事 お客様相談室 tel. 0120-777-591(写真提供:アシックス商事)
そのためアッパーは水に強い合成皮革ではなく、伸縮性と通気性を得られるリアルレザーにこだわることが可能となっており、見た目にも上質感たっぷり。この佇まいなら、ビジネスだけでなくフォーマルな場でも着用できます。
一方、中敷にはスポーツシューズにも使われるクッション材のオーソライト、踵には歩行時の負荷を軽減するアシックス自慢の衝撃緩衝機能GEL(ゲル)、さらにミッドソールにもクッション性と反発性を両立したスピーバを搭載するなど、同社がランニングシューズで培ったテクノロジーが落とし込まれており、履き心地はスニーカーライク。ドレス靴とスポーツ靴のオイシイとこ取りが叶う、いわば “ 革靴スニーカー ” なのです。
この「アシックスランウォーク」には、お仕事カジュアルに似合うゴアテックススニーカーも。近年は、スポーツ庁による奨励と働き方改革を契機に職場におけるドレスコードが緩和され、ビジネスカジュアルやオフィスカジュアル、スニーカー通勤を推奨する企業も随分と増えました。
アシックスランウォーク「ランウォークトラッドスニーカー1231A227」3万5200円/アシックス商事 お客様相談室 tel. 0120-777-591(写真提供:アシックス商事)
こちらはクラシカルなランニングシューズを思わせるアスレチックなルックスで、前述のGELやスピーバのほか、同社のスポーツ工学を応用したハイテクソールを装着。それでいてリッチなレザー&ベロアからなるアッパーがシックな雰囲気を醸すためラフに映る心配はなく、ビジネスシーンでも浮いて見えません。
お次はビジネススニーカーの大定番、オーセンティックなテニスシューズのタイプです。紳士のスポーツをルーツとするためか、どこか上品なムードが漂い、スッキリとしたアッパーとスマートなフォルムが相まって、お仕事カジュアルにも素直に馴染みます。
デンマーク発の「エコー」は、そこにゴアテックス素材を投入。北欧ブランドらしいシンプル&クリーンなデザインもさることながら、特筆すべきは革のなめしからシューズ作りまでを一貫する世界でも珍しい生産体制にあります。
エコー「ストリート トレイ ゴアテックス」3万800円/エコー・ジャパン tel. 0120-974-010(写真提供:エコー・ジャパン)
自社タンナー製造のプレミアムレザーは有名ラグジュアリーメゾンにも納入されており、品質は折り紙付き。スニーカーであっても大人の格を薫らせる高級感があり、またラバーソールにして驚きの軽さと柔軟性に富む履き心地のよさでもファンを魅了しています。
カリスマデザイナー愛用のブランドも
本格スーツほど硬すぎず、適度にキチンと装えるカジュアル仕立てのセットアップも、ここ数年で完全に市民権を得たビジネススタイルです。
先進的なファブリックやスポーツ素材によってフィジカルもビジュアルも軽快に着られるそれには、よりハイテクでアクティブ感のある「サロモン」がベストマッチ。
サロモン「エックスエー プロ 3D V9 ゴアテックス」2万2000円/サロモン コールセンター tel. 03-6825-2134(写真提供:アメア スポーツ ジャパン)
スノー&マウンテンスポーツで名を馳せるフランスの老舗ですが、同社のシューズは高感度なショップでもセレクトされるほか、ラルフ・ローレン氏やコム デ ギャルソンの川久保玲氏といったカリスマデザイナーも愛用。モードのトップブランドとのコラボも即完売となるなど、ファッションシーンでも人気絶大です。
写真はトレイルランナーにも支持されるアウトドアシューズの代表作であり、その最新版にゴアテックス素材を搭載したバージョン。本来は山道や岩場のオフロードを走るためのモデルなので、アスファルトでは少しゴツゴツとした硬めの接地感ですが、雨で濡れた路面でも確かなグリップ力を発揮します。
最後は、言わずと知れた「コンバース」の傑作です。昔ながらの見慣れたローテクスニーカーと思いきや、こちらもゴアテックス素材による進化版。流行に左右されず、幅広いコーディネートに寄り添うタイムレスで安心感あるデザインはそのままに、中敷に高性能カップインソールのリアクト2.0を配備するなど、履き心地も格段にアップデートされています。
コンバース「オールスター Ⓡ ゴアテックス HI」2万350円/コンバースインフォメーションセンター tel. 0120-819-217(写真提供:コンバースジャパン)
今回紹介したシューズの中でも特にカジュアルな面持ちは、チノパンやジーンズをはじめとするコットン地のボトムスと相性このうえなし。キレイなウールスラックスとのコンビも、こなれた印象に仕上がります。撥水キャンバス生地がもたらす爽やかな表情と併せて、トゥとソール、シューレースやステッチなど随所が白なので、黒スニーカーでも重厚に見えず、足元を軽やかに演出してくれます。
天候&季節、オン・オフ不問の最強靴
ゴアテックスシューズが従来の雨靴と決定的に違うのは、完全防水なだけでなく透湿性にも秀でている点にあります。つまり内側の湿気を発散してくれるので、雨天に限らず、晴れた暑い日にも蒸れにくく快適な全天候対応なんです。
朝は降っていない晴れのち雨、その逆パターン、夏の夕立ち、発生予測が難しいゲリラ豪雨など、1日のうちに空模様が変わって靴選びに迷うときも、とりあえずコレを履いて出発すれば万全。
だから梅雨はもちろん季節に関係なく、しかもスニーカーは休日もOKと、オールウェザー&オールシーズン、オン・オフ兼用のオールラウンドで大活躍。この最強の逸品を取り入れない手、いや、取り入れない “ 足 ” はありません。
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提供元:雨でも快適?「ゴアテックス」シューズの履き心地|東洋経済オンライン