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2024.06.17

「カラコンをつけると黒目に色が移る?」は本当か|まことしやかに囁かれる「都市伝説」の真偽


コンタクトレンズの「知られざる一面」について紹介します(写真:zon/PIXTA)

コンタクトレンズの「知られざる一面」について紹介します(写真:zon/PIXTA)

「カラコンは目に色が移る?」「レンズが目の裏側に入ってしまった」……。日ごろから「体の一部」として何の疑問も持たずに使っているコンタクトレンズには、まことしやかに囁かれるさまざまな「都市伝説」がありますが、いったい何が噓で、何が本当なのか――。そんなコンタクトレンズにまつわる疑問から、知られざる歴史、そして未来像までを、株式会社パレンテ代表取締役で、コンタクトレンズECサイト「レンズアップル」を運営する吉田忠史氏が解説します。

*本稿は吉田氏の著書『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない あなたの大切な目を守る40の方法』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

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カラコンの色素は黒目に移る可能性がある

コンタクトに関して、「あれ、これって本当?」と思うような情報もときどき入ってきます。

そこで、ここではそのような情報をまとめてみました。

まずは、カラコンをつけていると黒目に色が移るというもの。

ズバリ、カラコンの色素が黒目につくということは、可能性としてあります。と言っても、カラコンを購入するときにちょっとだけ注意すれば防ぐことができるので、安心してくださいね。

色素の付着を防ぐために意識すべきは、カラコンの着色方法です。カラコンの着色方法にはいくつか種類がありますが、最も安全性が高いとされているのが「サンドイッチ製法」と呼ばれる方式です。

名前の通り、透明なレンズ2枚の間に色素面が挟み込まれており、着色料が目に触れない構造になっています。

現在、日本で販売されているカラコンの多くがサンドイッチ製法を採用しているため、眼科医の先生いわく、黒目への色移りという症例は、実際のところほとんど見たことがないそうです。

(出所:『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない あなたの大切な目を守る40の方法』より)

(出所:『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない あなたの大切な目を守る40の方法』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

一方で、安価な海外製のカラコンには要注意。レンズ自体に色素を直接プリントしたものもあり、こうしたコンタクトは色素面がそのまま露出しているため、綿棒でこすると色が剥げてしまいます。私も実際に綿棒でこすってみたことがありますが、色が剥げました。

つまり、着色料が目の中で溶け出してしまう危険があるということですから、お勧めはできません。

色素が目に与える影響についてはまだ明確にはわかっていませんが、黒目への付着により痛みを感じることはあり得るので、信頼できる販売店でサンドイッチ製法のコンタクトを選ぶとよいでしょう。雑貨店などで売っている安価なカラコンには、くれぐれもご注意を。

ただし、サンドイッチ製法のコンタクトは構造的にやや厚みがあり、酸素を通しにくいという面も。コンタクトの使用は1日12時間までといわれていますが、カラコンの場合は普通のコンタクトよりも装着時間は短めを意識してみてください。

カラコンでおしゃれを長く楽しむためにも、色やデザインだけでなく、安全性にもこだわって、健康な目をキープしましょう。

コンタクトが目の裏側に入ってしまうことはない

「コンタクトが目の裏側に入って取れなくなった!」……どこかで聞いたことがある話かもしれません。想像するだけで怖いですよね。

しかし、目の構造上、コンタクトが目の裏側に入ってしまうことはありません!

白目の表面を覆っている結膜は、まぶたの裏側とつながって袋状になっています。そのため、それより奥にコンタクトが入り込むということはないのです。

(出所:『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない あなたの大切な目を守る40の方法』より)

(出所:『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない あなたの大切な目を守る40の方法』より)

つけていたはずのコンタクトが「目の中でなくなった!」「見つからない!」というときは、大抵気がつかないうちにはずれてしまっているもの。

まずはコンタクトが床に落ちていないか、服にくっついていないかなど、冷静に探してみましょう。慌てて指で眼球を触ったりすると黒目に傷をつけるかもしれないので、気をつけてくださいね。

コンタクトを探しても見つからない場合は、自分で見える範囲の外までずれていたり、折りたたまれて眼球とまぶたの間に挟まっていたりすることが考えられます。

いずれの場合も、まぶたをクルッとめくると隠れていたコンタクトが出てくるでしょう。ただ、自分でまぶたをめくるのは結構難しいので、眼科の受診をお勧めします。

なお、コンタクトを見失うと危険なケースもあります。それは、目の中でコンタクトが破れたときです。何度も強く目をこすったりすると、レンズが破損することもあるのです。

コンタクトの破れに気づいた場合は、すみやかに眼科へ。破片が結膜の袋の部分に残っていることもあり、トラブルの原因になりかねません。

眼科では生体染色によって、細かいものを発見し、取り残しがないようにします。

眼科医の先生によると、眼科では目から取り出した破れたコンタクトをパズルのように組み合わせ、目の中に残っている部分がないかを確認するのだそう。受診の際は、破片も含めて自分で取り出したコンタクトを全部持っていくようにしてください!

「ARコンタクト」って実現するの?

自分の目で見ている現実世界にさまざまなデジタル情報を重ね合わせて表示するAR(拡張現実)。スマートフォンのゲームやカメラアプリなどで実際に使ったことがある人も多いのではないでしょうか。

そして、現在世界中の企業や研究機関で研究開発が進められているのが「ARコンタクト」です。

ARコンタクトとは、コンタクトにディスプレイや無線通信機能、モーションセンサーなどを搭載し、一般的なコンタクトと同じように目に装着することで、視界に画像や文字などのデジタル情報を表示させることができるデバイスです。

視線を動かすことで操作ができ、画面のクリックやスワイプなどの操作が不要になるため、完全なハンドフリーが実現すると期待されています。

たとえば、運転やトレーニングの最中、あるいは災害救助などの緊急時にも、動作を中断することなく、ほしい情報にアクセスできるのです。

これまでARコンタクトの開発において先端を走ってきたのが、アメリカのMojo Vision社が2020年1月に発表した「Mojo Lens」です。2022年3月には、基本的な機能の開発と実装がおおかた完了したことが発表されましたが、残念ながら現在は資金難で開発が中断しています。今後の動向に注目しましょう。

また、次世代のコンタクトはARコンタクトのほかにもあります。近年注目されている手術要らずの近視の治療法「オルソケラトロジー」に用いられるのは特殊にデザインされたハードコンタクト「オルソケラトロジーレンズ」。

これを就寝時に装着すると、寝ている間にレンズが角膜を圧迫し、角膜を適切な形状に矯正してくれます。起床後レンズをはずしても角膜の形状は一定の間維持されるため、日中は裸眼で過ごすことができるのですから画期的です。

視力の矯正法としては、目の中に小さなコンタクトを埋め込む「ICL(眼内コンタクトレンズ)」の認知も広がりつつあります。

技術の進化は日進月歩ですから、今後もさまざまな形でコンタクトが活用されていくことでしょう。未来のコンタクトを楽しみにしたいと思います。

コンタクトはレオナルド・ダ・ヴィンチが発明した?

今や日常生活になくてはならないコンタクトですが、そもそもの誕生はいつなのかをご存じですか?

実は、コンタクトの開発につながる原理を発見したのは、レオナルド・ダ・ヴィンチだといわれています。

1508年、ダ・ヴィンチは水を満たしたガラスボールに顔をつけて目を見開くと、網膜にどのような像が映るか実験を行いました。

そして、外の景色が違って見える現象を発見。これがコンタクトのはじまりというのが通説です。コンタクトに500年以上もの歴史があるなんて、驚きますよね。

それでは、その後のコンタクトの歩みを簡単にご紹介します。

視力矯正用のコンタクトが誕生したのは、ダ・ヴィンチの発見から300年以上も経った1888年頃のこと。

スイスの眼科医、オーゲン・フィックがウサギの目で型をとったコンタクトを作製。近視である自身の目に装着し、視力の矯正を試みました。

コンタクトがガラス製だったため、重くて装着感もかなり悪かったようです。
 日本眼科学会が発刊した『コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)』によると、オーゲン・フィックが一連の研究成果をまとめた著書のタイトル『Eine Contactbrille』の「Contactbrille(接触眼鏡)」が、現在私たちが使っている「コンタクトレンズ」という名称の語源だとされています。

日本のコンタクト市場規模はアメリカに次ぐ世界第2位

その後、快適な装着感を実現するため、コンタクトはさまざまな形で改良されてきました。

1938年にPMMA(ポリメチルメタクリレート)というアクリル樹脂素材を用いた初代ハードコンタクトが登場。

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『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない あなたの大切な目を守る40の方法』(アスコム) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

1961年には、水分を含み、弾力性にも優れたやわらかい素材を使用したソフトコンタクトの製法が確立されました。

日本国内で初めてコンタクトが処方されたのは1951年。当時名古屋大学の講師であった眼科医の水谷豊氏が、角膜が突出してくる「円錐角膜」を患う高校生にPMMA製のハードコンタクトを作製し、国内で初めて視力矯正の臨床実験に成功しました。

当時のコンタクトは酸素透過性などの問題が多くあり、安全に装着できる時間は短かったそうです。それから70年超が経ち、今や日本のコンタクト市場規模はアメリカに次ぐ世界第2位です。

機能や種類が多様化し、ユーザー1人ひとりが自分のライフスタイルに合ったコンタクトを選ぶことができる時代になっています。

ここに至るまでには、多大な時間と数多くの先人たちの努力、たゆまぬ技術の進化があったのです。

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提供元:「カラコンをつけると黒目に色が移る?」は本当か|東洋経済オンライン

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