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2024.05.30

仕事や人間関係で「引きずらない」ための"思考法"|禅僧・枡野俊明さん「たくましく生きるヒント」


「妙なプライド」は無用の長物でしかありません(写真:mits/PIXTA)

「妙なプライド」は無用の長物でしかありません(写真:mits/PIXTA)

怒り、焦り、嫉妬、不安、後悔……マイナス感情というのは、自然と湧いてくるものであり、それを止めることはできない。けれどもその感情をいつまでも「引きずる」のはよくない――。

新著『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力』では、禅僧であり、世界的な庭園デザイナーであり、ベストセラー作家でもある枡野俊明さんが、禅には「引きずらない力」を磨き、日々を明るく、たくましく生きるためのヒントがたくさんある、と説きます。

本稿では、同書から一部を抜粋してお届けします。

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「妙なプライド」は無用の長物

妙なプライドは捨てる――その成功は「過去」のもの

自分自身や自分の行為・仕事にプライドを持つことは、非常に大事です。プライドがあればこそ、自分に恥じない生き方ができます。世のため人のために誠心誠意、仕事に取り組むこともできます。

しかし「妙なプライド」は無用の長物でしかありません。

たとえば家柄を笠に着て「庶民とはつき合えないよ」といわんばかりに偉そうにふるまう。実力もないのに学歴をひけらかして「それは自分のやる仕事じゃないね」などとうそぶく。

あるいは高齢者だと、リタイアしたあとも若い世代に「私はこのやり方ですごい数字を上げてきたんだ。一大プロジェクトをモノにしたんだ」などと過去のやり方を押しつける。

そういったプライドは誇りではなく、傲り(おごり)でしかないのです。

その辺をごっちゃにしないよう、妙なプライドが顔を出しそうになったら、こう自分に問いかけてみてください。

「いまのその気持ち、プライドですか? いま誇ろうとしているその成功、過去のものではありませんか?」と。

「正論を吐く」人は嫌われる

自分の「正義」に溺れない​――「正しいこと」を言うときほど慎重に

誰もが「道理にかなっている」と思える、いわゆる「正論」でさえ、ときに受け入れられないことがあります。

「君のいっていることは正論だ。ただ少し現実離れしてるね」というふうに。実際問題、「正論を吐く」人は嫌われることがけっこうあるのです。

ましてや自分が個人的に「正しい、これこそが正義だ」と思っている考えや意見など、周囲がどう判断するかはまったくわかりません。正義の解釈は人の数だけあるといっても過言ではないでしょう。

それなのに自分の「正義」を一方的に声高に主張すれば、方々から反感を買うこと必至。争いの火種を投げ込むようなものです。そんな事態を招かないためには、自分にとっての「正義」を疑ってかかることが重要です。

まずは「自分はこう考える」「こんないいアイデアを思いついた」と簡単に説明し、「みんなはどう思う?」と意見を求めるのです。

そのほうが素直に聞いてもらえるし、ほかの考え方やアイデアも出やすくなるでしょう。何事も多彩な視点から活発に意見交換をするほうが、結果的にいいものが仕上がるのではないでしょうか。

もっと「やさしい目」を持つ――「和顔施」に努めよう

自分の短所や弱点を指摘されるのは、あまり気持ちのいいものではありません。とくにそこに悪意がひそんでいると、いわれたほうはひどく落ち込みます。

相手の身になれば、いかに好感を持てない相手であっても、いちいち目くじらを立てるのは控えるべき。もっとやさしい目で長所を見つけてあげるのがいいかと思います。

とはいえ、指摘してあげたほうが親切な場合もあります。

自分の弱みに気づくことが、後々の成長に結びつくかもしれませんから。見出しの「やさしい目を持つ」とは、相手を正当に評価することでもあるのです。

問題は「言い方」でしょう。同じ言葉を投げかけるにしても、笑顔で語りかけるのか、苦虫をかみつぶしたような顔をしていうのかで、受ける印象はまったく違ってきます。

笑顔を見れば、相手は心を開きます。逆に仏頂面や怒った顔を向けられると、相手は心を閉ざします。笑顔でないと、せっかくの親切心も伝わらないのです。

仏教では、和顔施(わがんせ:笑顔)は「無財の七施(しちせ)」、つまりお金のかからないお布施の1つに数えられています。人間関係において“笑顔の出し惜しみ”は御法度ですよ。

私は“素顔の私”をつらぬく

「いい人」の仮面を外す――そのほうが人間関係はラクになる

あなたはみんなに「いい人」だと思われたいですか? だとしたら、それはやめたほうがいい。なぜなら「誰にとってもいい人」になろうとして、接する人ごとに「いい人」を演じ分けなければならなくなるからです。

十人いれば十人、百人いれば百人、千人いれば千人……それぞれにとっての「いい人」は異なります。そんなに大勢の人にとって都合のいいように自分を変えていくなんて、想像しただけでものすごく疲れます。

「怪人二十面相」よろしく、相手に合わせて“いい人仮面”をかぶっていると、やがて自分自身を見失ってしまうのです。

すでに複数の“いい人仮面”を有している自覚のある人は、すぐにすべての仮面を捨てるべし。そして「私は“素顔の私”をつらぬく」と、心を切り替えましょう。

周囲だって、しっかりとキャラの立ったあなたと向き合うほうが、「この人はこういう考え方をするんだな。こんな好みがあるんだな。これが得意なんだな」と理解を深めてくれるはずです。

小さなことは“放念”する――“心の天気”の晴らし方 

不平不満ばかりいっていると、心に暗雲が広がります。

視界がどんどん狭まり、先行きがまったく見通せない、そんな状況に陥るでしょう。広く開放された心持ちを取り戻さないと、ずーっと冴えない気持ちで暮らすことになります。

では、どうすれば“心の天気”を曇りから晴れへと切り替えられるのか。とっておきの方法があります。それは、どこまでも続く広大な青い空を見上げることです。

私たちはふだん歩くときには足元を見ているし、仕事のときには目線をまっすぐパソコンの画面に向けていることが多いですよね。最近は1日中スマホの画面を見ている人も少なくないでしょう。そう、1日に一度も空を見上げない人が大多数なのです。

そんなふうだから心持ちがどんどん縮こまる一方なのです。

だまされたと思って、空を見上げてみてください。「自分はなんてちっぽけな心持ちでいることか。もっと広い心を持たねば」と再認識させられます。

と同時に、ぶつぶつと不平・不満をもらしていたことがどうでもいいことのように思えてくるでしょう。

空を見上げることには、心をカラリと浄化する作用があるのです。

過去に心を注がない――大事なのは「いま」しかない 

人はよく「ああすればよかった、こうすればよかった、あんなことをいわなきゃよかった」と悩みます。どんなに悔いたり、悩んだりしたところで、過去に戻ってやり直すことはできないのに、いつまでも自らの過去の所業に傷つけられてしまうのです。

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『仕事も人間関係もうまくいく引きずらない力:もっと「鈍感」でいい、99の理由』(知的生きかた文庫) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

そんなふうに過去への執着が断ち切れない人は、「自分は毎日死ぬ」という考え方を取り入れてはいかがでしょうか。

室町時代だったか、ある高名な禅僧に「毎晩、自分のお葬式を営んだ」方がおられます。「今日の自分は死にました」と、毎夜毎夜、今日の自分を葬ってあげることによって、過去をも“亡き者”にしたわけです。

ここまでやると、過去への執着が断ち切れるのではないでしょうか。

禅では常に「いまを生き抜く」ことだけを考えます。「過去は過ぎ去るのみ。人はいましか生きられない」とし、いまを生きることを「一大事」と表現します。

誰しも、いろいろ失敗したり、後悔したりすることはあるでしょうけど、反省することで過去を弔えば、その経験が将来の糧になるのです。

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提供元:仕事や人間関係で「引きずらない」ための"思考法"|東洋経済オンライン

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