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2024.05.11

「死にいたる事も」意外と知らない歯周病の"怖さ"|なぜ歯周病菌は普通の歯磨きでは死なないのか


虫歯菌と同様、歯周病菌をゼロにすることはできません。歯周病は、世界で最も蔓延している病気としてギネスブックにも載っています(写真:bee/PIXTA)

虫歯菌と同様、歯周病菌をゼロにすることはできません。歯周病は、世界で最も蔓延している病気としてギネスブックにも載っています(写真:bee/PIXTA)

口臭ケアだけでなく、重篤な病気のリスクを減らして健康な体を手に入れる。そのために必要な歯磨きについて新提案を行っている伊東材祐(さいゆう)さんは、「世の中の99%の人は歯磨きが間違っている」と話します。

目からウロコの新しい歯磨きの仕方を、同氏の著者『おとなの歯磨き』(フローラル出版)より一部抜粋、編集してお届けいたします。第1回は知っているようで知らない「歯周病の真実」です。

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歯周病菌という名の悪魔

口内に潜む、最大の恐怖。それが歯周病です。

実は、現代人は、ほぼ全員が歯周病に侵されています。そして、ストレス、現代食、加齢など、さまざまな要因で進行していきます。

口臭に悩む人も多いとは思いますが、その原因も歯周病菌です。

さらに、歯周病菌は、歯周ポケットと呼ばれる場所に多く繁殖していますが、歯周ポケットにしっかりアプローチして磨くという人は、ほとんどいないと思います。そのため、歯周病菌は虫歯菌と同じように安全地帯の中でぬくぬくと過ごしながら、人体に悪影響を及ぼしていくのです。

しかも、恐ろしいことに、歯周病は自覚症状なく進んでいきます。

そして、気づいたときにはすでに歯茎の腫れや痛みを繰り返し、やがて歯が抜けそうになり、ここでようやく歯周病を自覚する人も多いのです。

この自覚なく進行するというのが歯周病の恐ろしさなのですが、歯周病の進行は、歯周ポケットだけにとどまらず、体全体に悪影響を及します。その影響は最悪、死に至ることすらあります。

大げさに聞こえるかもしれません。でも、これが歯周病の真実です。

だからこそ、しっかりと対処していきましょう。

ちなみに、長い間、歯科医をしていた経験上「これまで虫歯なんてなったことがないの」と歯に自信を持っている人ほど、年を重ねたときに歯周病が進行しやすいように感じます。

ですから、歯に自信がある人でも油断をしないでください。

虫歯菌と同様、歯周病菌をゼロにすることはできません。つまり、現在、歯周病の症状が出ていない人でも、間違いなく歯周病菌のキャリアにはなっています。なにしろ歯周病は、世界でもっとも蔓延している病気としてギネスブックにも載っているくらいです。

そこで、今一度気を引き締めて、歯周病に対処していきましょう。

歯周病菌の住まい探し

本当は怖いのに、その正体を知らない人が多い歯周病。この病気の怖さは、どのように歯周病が進行していくかでわかっていただけます。

歯周病菌も虫歯菌と同様、生まれたときは口の中に存在せず、両親などから感染していくのですが、幼い頃から活発に働く虫歯菌と違い、歯周病菌は16歳くらいから、急激に増えるといわれています。また、歯周病菌は舌に集まりやすく、そこから歯に定着するというルートをたどると考えられています。

舌を経由し、歯へと定着する歯周病菌ですが、このときの定住先がプラークです。プラークの外では、歯周病菌はさほど活動しません。しかし、いざプラークの中に入り込むと、その数をどんどん増やし、人体に悪影響をもたらす活動を開始します。

なぜ、歯周病菌はプラークの中で活発になるのか。それは、歯周病菌が嫌気性という特徴を持つ菌だからです。

嫌気性とは読んで字のごとく、空気が嫌いな性質のこと。そのため、歯周病菌は、空気に触れている間はそれほど繁殖しません。

しかし、空気が入る隙間がないほど菌で密集しているプラーク内は、歯周病菌の嫌いな空気がグッと少なくなります。こうして安住の地を手に入れた歯周病菌は安心して繁殖し始めますが、口内にはさらに空気が入りづらい場所があります。

それが歯と歯茎の間にある2ミリほどの隙間、歯肉溝(しにくこう)です。ここにプラークが入り込むと、より空気は少なくなります。

歯周病菌はタンパク質が分解されたアミノ酸をエサにしていますが、歯肉溝には「歯肉溝浸出(しんしゅつ)液」というものが浸み出ていて、そこにアミノ酸が含まれているため、エサにも困らないのです。

こうして、最高の住処とエサ場にたどり着いた歯周病菌は、どんどん繁殖し、歯肉溝内を制圧していきます。この段階で歯茎は腫れ、歯肉溝が大きく広がり、歯周ポケットと呼ばれるようになり、歯肉炎と診断されます。

しかし、ここで終わらないのが歯周病菌の恐ろしいところ。

ここから、本格的に人体と歯周病菌の戦いの火ぶたが切って落とされ、さまざまな害へとつながっていくのです。

人体と歯周病菌の戦い

人体には、異物と戦うための免疫機能が存在します。さまざまな外敵を倒すための抗体、体の温度を上げ外敵を殺す発熱など、数々の体を守る仕組みによって、我々の健康は維持されています。

「炎症」。誰もがこの言葉を聞いたことがあるでしょう。言葉だけ聞くと悪いことのように思えますが、これは代表的な免疫反応の1つで、外敵が侵入してきた箇所や傷ついた箇所に血液を集めることで、免疫細胞を送り込み、戦いを有利に進めていきます。

歯茎で起こる戦いでも、当然この炎症反応が起こります。

軽い歯肉炎であれば、通常の免疫反応で治癒していくので心配ありません。しかし、ここに、食生活の乱れ、ストレス、加齢が加わることによって、歯周病が優位に立ってしまい、皆さんの体はどんどんむしばまれていきます。

歯茎が腫れ、歯肉溝は歯周ポケットとなり、どんどんポケットが広がっていく。こうして、歯周病は進行していくのです。

歯周病の初期、中期だと、むずかゆいなど些細な違和感が出る程度で、自覚症状はありません。そのため、多くの人が知らぬ間に歯周病を進行させてしまうのです。

自覚なく進行を進めることから、歯周病には「静かなる殺し屋(サイレントキラー)」という異名が付けられているのですが、もう1つ、歯周病には困った特色があります。それは、歯周病を生み出す歯周病菌が、他の菌と比べると、段違いの強さを持っているということ。

歯周病菌の強さ。その秘密は、身に付けている強力な武器にあります。

歯周病菌が歯周ポケットから体内に入り込むと、体は当然、歯周病菌を異物だと認識します。そのため、炎症反応を起こすのですが、歯周病菌の持つ「莢膜(きょうまく)」と呼ばれる防御壁は、免疫細胞の攻撃から身を守るだけでなく、免疫細胞から敵として認識されづらくするというステルス性も持っているのです。

守りだけではありません。

歯周病菌は攻撃にも優れており、ジンジパインと呼ばれる酵素を作り出します。この酵素はタンパク質分解酵素で、料理にも応用されることも多いのですが、これが人体というタンパク質の塊の中に入ってしまうのですから大変です。

しかも、ジンジパインの酵素はかなり強力です。肉がタンパク質なら、それを形作る細胞だってタンパク質。つまり、免疫細胞そのものを攻撃することもできるのです。

さらに、攻撃性の高い一部の歯周病菌は人の血液が大好物。まるで吸血鬼のような性質を持つこの歯周病菌は、体内でさらに増殖していきます。

ただでさえ、攻撃力も防御力も高くてなかなか倒せないのに、拍車をかけるように増殖速度も上がる……。そのため、免疫細胞は終わることのない戦いを強いられることになるのです。

そして、戦っている間は、炎症反応が起こり続けます。

この長期に渡る炎症反応により、歯周病は歯肉炎だけに留まらず、数々の悪影響を及ぼし始めるのです……。

崩壊へのカウントダウン

歯周病と聞いて、最終的には歯茎がボロボロになって歯が抜け落ちると考える人も多いと思いますが、まさにそのとおりで、これは、歯周病による炎症の最終局面です。

まず、なぜ歯が抜けるのかというと、歯槽骨(しそうこつ)という歯を支える骨が減っていくから。70〜80%ほど、減ってしまうと歯を支えられなくなり、抜け落ちてしまうのです。

炎症で骨が減る?と不思議に思う人もいるかもしれませんが、これが長期化する炎症の恐ろしさなのです。

普段、意識することはありませんが、骨は、常に壊れては生み出される、破壊と生成を繰り返しています。

骨を破壊するのが破骨細胞、骨を生成するのが骨芽細胞で、この2つの細胞がバランス良く働くことで、骨は現状の形を維持するのですが、炎症が長期化すると、破骨細胞の働きが強くなってしまいます。

歯周炎が起きると、マクロファージという悪い菌を食べる役割を持つ免疫細胞が出現しますが、彼らは、場所によってさまざまな形態に変化します。歯は、歯槽骨という骨によって支えられていますが、この近くにいるマクロファージは、破骨細胞へ変わってしまうのです。

歯周病は自覚症状がなく、歯周ポケットにアプローチする歯磨きをしなければ、歯周病菌を追い出すこともできません。

そのため、炎症は何十年も続き、その間、破骨細胞は歯槽骨を破壊し続けます。そして、とうとう歯が抜け落ちていくのですが、ここでようやく歯周病の自覚症状が表れます。

歯周病の後期にあたるこの段階では、食事のたびに歯の動揺による激しい痛みを感じる人も少なくないです。

残念なことに、この段階まで到達してしまっては、もはや手遅れ。破骨細胞によって壊された骨が再生することはないので、歯科医院に行っても、入れ歯を作るしかありません。しかも、骨が残されてないので、ぴったりと合う入れ歯を作ることができず、すぐに、外れてしまうような入れ歯になってしまうのです。 

しかし、ここで終わりではありません。体のさまざまな場所で歯周病菌は害を撒き散らしているのです。

歯周病から始まる悲劇の連鎖

歯周病の影響は口内だけでなく、体にも表れ始めます。まず、歯周病により引き起こされる代表的な病気が、糖尿病です。

本来であれば炎症が起きると、その場所に免疫細胞が集まり、入り込んだ敵と戦い菌を倒していきますが、相手は最強の歯周病菌であるため、なかなか倒すことができずに歯茎の炎症は慢性化します。

炎症では、マクロファージなどから生まれる「炎症性サイトカイン」という物質が放出されます。サイトカインは細胞に情報を伝達する「情報伝達物質」と呼ばれ、多くの炎症性サイトカインは、免疫細胞を活性化させる情報を送ります。

このように体内にとって非常に重要な役割を担っているものですが、薬も飲みすぎれば毒になるように、炎症性サイトカインも歯周病菌によって慢性的に放出され続けると、体にとって毒となります。

また、食事などで血液中の糖が多くなると、インスリンという物質を放出し、血液中の糖を取り込み、エネルギーへと変えてくれるのですが、炎症性サイトカインはインスリンの働きを妨げる作用を持っています。

こうして、血液中の糖が減りづらくなり、血糖値が高くなってしまうことで、糖尿病と診断される可能性が出るのです。

また、糖が血液に残ることにより血液がドロドロになります。免疫細胞もドロドロの血液の中で動きが鈍くなり、免疫力が低下します。

歯周炎が慢性化し、炎症性サイトカインが放出され続けることで、体内のインスリンの働きも妨げられ続け、それが結果的に糖尿病へとつながってしまうのです。

高血糖がもたらす悪影響

高血糖の状態が続いてしまうと、数多くの悪影響が生じます。

代表的なところでは、体の末端の血管が機能せず、四肢のしびれやまひなどにつながるというもの。末端だけでなく、主要な血管にもダメージを与えてしまうため、心筋梗塞や脳梗塞など、血管事故といわれる症状も引き起こしやすくなってしまいます。

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体というのは1つの臓器が独立して動いているわけではなく、すべてが連動して動き、体を健康に保っているのです。

歯周病はその名の通り、歯の周りの歯肉で起こっている炎症です。しかし、ここで起こった異常でも、放って置くとやがてその影響は体全体に広がり、さまざまな病気を引き起こすきっかけになってしまうのです。

多くの健康情報が世にあふれ、多くの人が健康に留意した生活を送っています。これはとても素晴らしいことですが、健康に生きるのならば、虫歯菌、歯周病菌の除去は絶対に行わなければいけません。

ご自身の健康のためにも、今までの健康意識に、もう1つ歯磨きのアップデートをしていきましょう。

(『おとなの歯磨き』より)

(『おとなの歯磨き』より)

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提供元:「死にいたる事も」意外と知らない歯周病の"怖さ"|東洋経済オンライン

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