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2024.04.04

たらスパの爆食で高校生を襲ったまさかの"激痛"|近所の医者が彼に下した「意外な病気」の正体


ほぼ「たらこ」スパを食べ続けた高校生を襲ったトラブルとは?(写真:アマノ ヤスヒロ/PIXTA)

ほぼ「たらこ」スパを食べ続けた高校生を襲ったトラブルとは?(写真:アマノ ヤスヒロ/PIXTA)

出版社に勤務する33歳の男性は、高校1年生のときに発症した「まさかの病気」がきっかけとなり、今でも、「たらこスパゲッティ」が苦手だ。もともとは大好物だったたらスパ。男性の食の嗜好を変えてしまったできごととは――。

男性の名前を鈴木雄一さん(仮名)としよう。

それは鈴木さんが高校1年のときのことだった。関西地方の中高一貫校に通っていた鈴木さん、中学時代は野球部に所属、3年生で引退したが、その反動で10キロ太ってしまったという。

部活をやめたら10キロ太った

「見ての通り、私は162センチで48キロと細身。野球部時代もこんな体型だったんです」

ところが、野球部を引退して3カ月ほど経つと、体重が増えて58キロに。ぽっちゃりとした見た目になった。

半年後、ひざに違和感が

ランニングを開始して半年後。右ひざに違和感と痛みが出始める。だが、これも「走りすぎだろう」ぐらいで、深く考えなかった。

近所の整形外科に行ったのも、「走れなくなると困るから、念のため、診察をしてもらっておくか」くらいの気持ちだった。実際、レントゲン写真では異常はなく、診察した医師も鈴木さんの話を聞いて、「ちょっと走りすぎだよね」。

湿布薬とサポーターを処方され、しばらく安静にするように言われた。

ところが、よくなるどころではなく、2日ほど経つと今度は右足の親指が腫れてきた。「ひざと同じような鈍い痛みで、とても不快でした」と鈴木さん。ひらめくものがあったのか、今度はなぜか近くの内科を受診した。

そして、内科医にひざと足指を見せた。医師は「あっ、これ痛風だね!」。――まさかの診断名だった。

「『えーっ!?』と、声を出して驚いたのを、今でも覚えています」と鈴木さん。

なぜ、誰もが認める健康的な生活をしていた彼が「痛風」になったのか。医師から食生活について聞かれた鈴木さんには1つ、思い当たるふしがあった。「たらスパです」。

「実は、好きな食べ物や飲み物があると、そればかりを続けるクセが小さい頃からありました。実はランニングを始めた時期から、たらスパのうまさにはまり、毎食欠かさず食べるようになっていたんです」

その量は誰もが驚くほどで――。

「学校から空腹で帰ると、まず『たらスパ』を一皿。ランニングをした後の夜ごはんにも『たらスパ』、週末には昼ごはんでも食べるので、1日3食ということもありました。学校に持っていくお弁当にもほぼ毎日入っていました」

たらこのスパゲッティあえ

鈴木さんによると、このたらスパはレトルトではなく、母親が作ってくれた自家製。スーパーマーケットで買ったたらこだが、その量が半端ない。
「『たらスパ』というより、『たらこのスパゲッティあえ』みたいな感じでしたねー」。

鈴木さんの母親は料理が得意だったという。

「だから、私の『食べたい』というリクエストに応じて、毎日、作ってくれていたんです」

まさに親心だ。しかも、走った後のたらスパは最高にうまい。

「いくら食べても、そのぶん毎日走っているし、健康に影響があるなんて思いませんでしたね」

しかし、医師は「原因は間違いなくたらスパです」と断言した。「痩せていても、若くても、食生活によっては痛風になる人がいます」と。ちなみに、その医師も30代くらいで若かったが、「あ、僕も痛風です。まあ、この通り、太っていますけどね、ははは」と笑っていた。

鈴木さんは、医師からたらスパをしばらく禁止することと、薬(痛風の治療薬)を服用し、水をたくさん飲むように言われた。その結果、「痛みも腫れも数日できれいに消えた」という。

これがAさんが食べていたという痛風の原因となった「たらスパ」。母親にウン十年ぶりに作ってもらった(写真:鈴木さん撮影)

これがAさんが食べていたという痛風の原因となった「たらスパ」。母親にウン十年ぶりに作ってもらった(写真:鈴木さん撮影)

「実は、診察時に痛風と聞いた瞬間、痛みが2倍くらいになったんです。帰りは歩くのもやっとでした。たらスパ熱はこの一件以来、急激に冷めてしまいました。飲み会ではウケるネタなので語り続けていますが、食事のバランスには気を付けているので、以後、発作は起こっていません」

総合診療医・菊池医師の見解は?

総合診療医で、きくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師は、「たらこも食べすぎれば痛風になることはある」と話す。

痛風は、体内に尿酸が蓄積され、結晶となって関節にたまるのが原因で発症する。

尿酸はプリン体という物質が分解されてできる老廃物。通常は尿とともに体外に排出されるが、何らかの理由で排泄が追いつかなくなると、関節にたまってしまう。

「尿酸の80%は体内から、20%は食事から作られます。正常な状態では尿酸の『作られる量』と『排泄される量』のバランスがとれていますが、鈴木さんのように、たらこなど、プリン体が多く含まれる食事を取りすぎると、体にたまって痛風が起こるのです」

1日あたりのプリン体摂取量は多くて400mgまで。

たらこに含まれるプリン体は100g(ひと腹分)あたり約120mgと、含有量が多い。ほかにもソーセージなどの加工品やカツオやマグロ、イワシなどの青魚、レバー、鶏のささみやももなどに多く含まれている。

なお、痛風の痛みが最も出やすいのは足の親指の付け根だが、足関節や足の甲、アキレス腱の付け根、ひざ関節や手関節にも出ることがある。「関節の中では酷使している部分には特に出やすい。鈴木さんの痛風がひざにも発症したのは、ランニングの影響もあると考えられます」(菊池医師)

また、「痛風が若者に起こらない」という理解は誤りだ。

菊池医師によれば、「高校生で発症した人は見たことがありませんが、20代、30代の患者さんはよく見る」という。「多くは会社員の男性です。肥満で『暴飲暴食』の自覚がある人がほとんどですね」。

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尿酸値は7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」で、痛風のリスクが高まる。尿路結石や腎臓障害を引き起こすことがあるので、注意が必要だ。

高尿酸血症・痛風の予防は、「バランスのとれた食事をすること」「アルコールを適量にすること」「水分を多めに取ること」だ。食生活の改善が難しい人は、医療機関などで食事指導を受けたほうがいいそうだ。

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提供元:たらスパの爆食で高校生を襲ったまさかの"激痛"|東洋経済オンライン

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