2024.04.07
緊張をほぐすには?~体とこころをほぐして新生活を迎えよう~
当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師 石倉美希が担当しました。 ※外部サイトに遷移します
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初対面の人との会話や大勢の前での挨拶など、想像するだけで緊張する方もいらっしゃるのではないでしょうか?
新生活を迎える方が多い時期は、とくに緊張する場面に遭遇しがちですよね。
緊張は体やこころを守るために大切な役割を果たしていますが、緊張が続くと疲れてしまうことも。
今回は緊張をほぐす方法について、体とこころに焦点をあててまとめました。
ご自身にあった方法をぜひ探してみましょう。
緊張は自分の身を守るための機能
緊張は「いつもの力が発揮できない」などネガティブなイメージが強いですが、実は自分の身を守るために大切な役割があります。
ストレスがかかったとき、ストレスに対抗しようとして交感神経が優位になります。交感神経が活発になるとアドレナリンというホルモンが分泌され、心拍数が上昇したり、血液の循環がよくなるのです。アドレナリンによって、危険を避けたり、物事にすばやく対応するなど体を動かす準備ができます。緊張は身を守るための本能であるといえますね。
適度な緊張はよいパフォーマンスを生む
緊張に関する法則にヤーキーズ・ドットソンの法則があります。適度な緊張がある時に最も高いパフォーマンスを発揮できるという法則です。
緊張が強すぎると、いつも通りの力を発揮できませんし、逆に緊張感がなさすぎるとモチベーションが低下します。
「緊張は悪者」と決めつけず、うまく付き合うのが大切ですね。
緊張しやすい場面ってあるの?
人それぞれ緊張を感じやすい場面は異なりますが、一般的に緊張しやすい場面としては以下のようなものがあります。
他者からの注目を集める、人からの評価を受ける、予測が立てにくいといった場面は緊張してしまう人が多いようですね。
体の緊張をほぐす方法
緊張すると、交感神経の働きから筋肉が収縮し、体がこわばります。筋肉の緊張と弛緩は同時に起こらないため、体のこわばりをほぐすと緊張を緩和できますよ。
呼吸を整える
緊張に対して呼吸を整えるのは効果的です。ぜひ呼吸は腹式呼吸で行いましょう。
腹式呼吸のポイントは以下の通りです。
呼吸に注目すると、つい息を吸うことを意識してしまいますが、息をたっぷり吸うためにはまず吐ききることが大切です。
上記のポイントをふまえ、緊張場面で使ってみましょう。
筋肉の緊張を緩める「筋弛緩法」
緊張を緩めたいときは、筋弛緩法というリラクゼーション法を取り入れてみましょう。
筋弛緩法は「力を入れて、抜く」を繰り返し、体の力が抜ける感覚を味わう方法です。
体のさまざまな部位で順番に行うと、より効果が高まりますが、ここでは座ったまま簡単に取り組める肩の筋弛緩法をご紹介します。
(1)椅子に浅めに座り、両足は肩幅程度に開く
膝の角度は約90度で、足の裏を床にしっかりつける
(2)5秒間力を入れ、力を抜いたあとは20秒ほどその感覚を味わい、数回繰り返す
寝る前にベッドで横になった状態で行うと、寝つきをよくする効果もあります。
緊張で寝つけないときにも、ぜひお試しください。
緊張に効くオススメのストレッチ
ストレッチをすると副交感神経が優位になります。副交感神経は体をリラックスさせる役割があります。
緊張すると、とくに肩や首など上半身に力が入りやすいので、上半身のストレッチがオススメです。
ストレッチの効果や、他のストレッチについては関連記事もご参照ください。
関連記事:ストレッチのもたらす効果が知れる〜運動の専門家がポイントまで詳しく解説〜 ※外部サイトに遷移します
ツボを押す
緊張をほぐすツボはいくつかありますが、他の人に気づかれにくく押しやすいのは「労宮」と「大陵」です。
労宮は手を握ったときに、てのひらに中指の先端が当たる位置にあります。
大陵はてのひらを自分に向けたときに、手首の曲がるしわの中心にあります。
押すときは強く押しすぎず、気持ちがいいと感じる程度にしましょう。
こころの緊張をほぐす方法
「失敗したらどうしよう」という想像力が、こころの緊張を強めているときはこちらの方法を試してみてください。
緊張の原因を知る
緊張は不安や心配など、悪いイメージを想像すると起きやすいといわれています。不安や心配の中身を一度整理してみると、「そんなことはめったに起こらない」「失敗しても致命的なものではない」と冷静になれます。
まずは上記2つの質問の答えを考えてみましょう。あなたの緊張の原因が見えてくるかもしれません。
成功するイメージを明確にする
成功のイメージを具体的に頭に描けると、実現できる確率も上がるといわれています。スポーツ選手でも「イメージトレーニング」として取り入れられています。
成功のイメージを作るには、リハーサルが効果的です。できるだけ本番に近い状況でリハーサルを繰り返すことで成功した感覚が刷り込まれます。
おまじないを決めておく
緊張したときは「〇〇と唱える」「手を組む」というようにルーティンを決めておくと緊張緩和に効果的です。
昔から緊張したら人という字を手に書いて飲むというようなおまじないがありますが、ある意味、ルーティンの行動であるといえます。
自分なりのおまじないを決めておくと、落ち着いて物事に対処できるでしょう。
まとめ
今回は緊張をほぐす方法を体とこころの視点からまとめました。
緊張は適度であれば、ストレスから身を守り、高いパフォーマンスにつながります。
過度な緊張を和らげる方法として、体の緊張には
がオススメです。
どれも短時間で手軽にできるものばかりですので、緊張を感じたときにすぐ実施してみましょう。
こころの緊張には
という方法があります。
周りの人が全然緊張していないように見えるのは、緊張とうまく付き合っているからかもしれません。今回ご紹介した方法が体やこころをリラックスさせ、緊張を味方につけるのに役立つと幸いです。
参考文献 ※外部サイトに遷移します
相川他(2022). イメージトレーニングがイメージ能力と パフォーマンスに及ぼす影響 スポーツ心理学研究 49(2). 169-183
厚生労働省 こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
厚生労働省 からだ1 緊張してからだがこわばっている|リラクセーションYOGA|ポジシェア
佐々木(2023). 日本人大学生の対面会話における 「不安」感情とその関連要因の検討——初対面会話と友人会話における比較— 日本コミュニケーション研究 52(1). 41-64.
執筆者:臨床心理士・公認心理師 石倉美希
早稲田大学人間科学部卒業、東京家政大学大学院人間生活学総合研究科臨床心理学専攻修了。 在学中に認知行動療法や健康心理学を学び、糖尿病患者が抱える不安や食行動変容について研究。 卒業後は医療機関にて臨床心理業務に従事し、主に働く人のメンタルヘルスのサポートを担う。 「心身の健康を通じてその人らしい生き方をサポートしたい」という思いからシンクヘルス株式会社に入社。
記事提供:シンクヘルス株式会社
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