2024.02.22
家で簡単、定番中華「トマトと卵炒め」美味に作る技|知っておきたい卵料理をおいしくするポイント
今回は「トマトと卵の炒めもの」の作り方を伝授します(以下、写真はすべて筆者撮影)
料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は「トマトと卵の炒めもの」です。
酸味があることで味わいがふくらむ
卵料理をおいしくするポイントは「酸味」。コクのある卵に酸味を組み合わせるパターンはフランスのウフマヨ(ゆで卵のマヨネーズかけ)から卵かけご飯(しょう油にも酸味が含まれている)まで定番。酸味があることで料理全体の味わいがふくらみます。
今日は中国の家庭料理の定番「トマトと卵の炒めもの(番茄炒蛋)」を紹介します。トマトの形状を保ったまま提供されるのが一般的ですが、この作り方ではある程度トマトを崩し、煮詰めます。その理由は後ほど説明するのでまずは材料のご紹介から。
<材料>
トマト 200g(小2個〜大1個)
塩 小さじ1/4(1.5g)
砂糖 小さじ1(3g)
太白ごま油またはサラダ油 大さじ1
トマトジュース 50ml
オイスターソース 小さじ1
卵 3個
ネギ 10g
太白ごま油またはサラダ油 大さじ1
日本のトマトは生食用がほとんど。生食用のトマトは水分量が多めなので、さっと炒めるだけだと味わいが物足りない場合があります。そこで水分を飛ばして味を凝縮させるのがこのレシピの特徴です。
トマトジュースは無塩のものを選んでください
トマトのヘタを包丁で取り除きます。この後、お湯に10秒ほど浸けて、皮を剥くと口当たりがよくなるのですが、今回は省略しています。日本のトマトは皮が薄く、食べられないことはないからですが、もちろん湯剥きしてもかまいませんし、そのほうが丁寧でしょう。
先のとがった小さなナイフがあると便利です
1個のトマトを6等分のクシ型にし、その後、半分に切ります。
トマトは果肉側からカットすると身がつぶれにくいです
ボウルに移し、塩と砂糖を加え、10分置きます。この工程には味付けと水分を抜く意味があります。ポイントはここで加える砂糖です。砂糖を加えることでトマトの味わいを補い、塩辛くせずに水分を引き出せます。
塩と砂糖を加えたらさっくりと和えましょう
10分置くとトマトから水分が出てきます。これはいわばトマトの出汁で、うま味、糖、酸が含まれているので使わない手はありません。卵に加えておきましょう。
卵に水分を加えてから加熱すると水蒸気の力でふんわりします
サラダ油、または太白ごま油大さじ1をしいたフライパンを中火にかけ、トマトを炒めていきます。
トマトの形を残したい場合は1/4の量を仕上げに加えてください
全体が熱くなったらトマトジュースを加えます。味が安定しているトマトジュースを加えることで、濃厚なトマトの味わいが加わります。
トマトジュースは固形分が沈殿しているので振ってから計量しましょう
中火でそのまま煮詰めつつ、オイスターソースでさらにうま味を補強します。
好みでうま味調味料(分量外)を加えるのであればこの段階で一振り程度です
トマトの形状をある程度保つためにあまりさわらず加熱を続け、ゴムベラや木べらでなぞったとき、こんなふうに鍋底が見える状態まで水分が飛んだら、加熱終了のサインです。
このトマトのソースは麺料理にも使えます
いったん、ボウルに移しておきましょう。フライパンを洗ってきれいにしたら、いよいよ卵を炒める工程に入ります。
トマトソースは2〜3日冷蔵保存もできます
フライパンにサラダ油または太白ごま油大さじ1をしき、中火にかけます。長ネギのみじんぎりをさっと炒めましょう。
ここで油の量を大さじ2に増やすと卵がさらにふんわりします
長ネギが香ばしく炒める温度になったら卵を投入してもいい状態です。熱くなったフライパンに一気に卵を注ぐと加熱された卵の水分が蒸気となって膨らみ、卵がふんわりとします。ざっくりと混ぜて半熟卵をつくります。
この状態で卵とネギの炒めものとして食べてもおいしいでしょう
卵が半熟状態のうちにトマトソースを加えます。
半熟状態の卵にトマトソースを加えることで味に一体感が出ます
ざっくりと和えながらさらに加熱を続けましょう。半熟状態の卵がトマトソースに絡み、火が通ることで一体感が出ます。
耐熱ゴムベラが便利です
盛り付けたら出来上がり。強い火加減でトマトの水分を飛ばし、卵を炒めるので調理時間自体は短いのが特徴。トマトと卵の炒めものにもさまざまな作り方がありますが、これはご飯にもよく合う濃厚タイプのレシピです。
全体が混ざりあった一体感が特徴
トマトの旬は夏と思われがちですが、冬春と夏秋の2種類のトマトが栽培されているので年中入手可能。しかし、トマトは暑さに弱いので、おいしい時期は春と秋です。
春と秋のトマトはゆっくりと生長する分、糖分が多いのが特徴。このレシピではトマトジュースを加えているので水っぽいトマトに当たってしまっても問題ありませんが、トマトがおいしい時期に作っていただきたいものです。
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提供元:家で簡単、定番中華「トマトと卵炒め」美味に作る技|東洋経済オンライン