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2024.02.02

冬場の心筋梗塞「家の中での寒暖差」に要注意|浴室だけでなく「トイレ」にも気を配りたい


季節の変わり目は体調を崩しやすいものですが、冬は特に心臓への負担が大きくなるといわれています(写真:Graphs/PIXTA)

季節の変わり目は体調を崩しやすいものですが、冬は特に心臓への負担が大きくなるといわれています(写真:Graphs/PIXTA)

古くから「季節の変わり目には体調に気をつけて」といわれます。これは、季節が変わるときに気温や湿度などの気候が変化して、体に変調をきたすことが多いということです。

「冬に気をつけたいのは、家の中での寒暖差です」。そう警鐘を鳴らすのは、東北大学名誉教授で医師の上月正博氏。心臓病を予防するうえで、季節ごとにどんなことに気をつけていけばいいのでしょうか。上月氏の著書『弱った心臓を元気にする方法』より、心臓病になりやすい人のタイプを、一部抜粋・再構成してお届けします。

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ストレスを溜め込むと負のスパイラルに陥る

ストレスには、急激な変化がもたらす突発的なものや、日々の不安や悩みによって少しずつ蓄積されるものがありますが、いずれも心臓にとっていい影響は与えません。ストレスが心疾患の引き金となり、重篤な症状をもたらすこともあります。ストレスとは、暑さや寒さ、けが、人間関係の悩み、将来への不安、疲労、空腹などがもたらす、精神的緊張や体の防衛反応のことです。その原因となるものを「ストレッサー」と呼びます。

ストレッサーは「悪いもの」だけではなく、結婚式のスピーチに望む緊張感や宝くじを当てたときの興奮など、めでたいことやうれしいことでもなり得ます。人間の心や体に強いストレスがかかると、自律神経のバランスが乱れて交感神経の働きが活発になります。交感神経が過度に働くと、血管が収縮して心拍数を高め、血圧が上昇して心臓への負荷を強めます。ひどくなると不整脈を起こしたり、最悪の場合は突然死をまねいたりします。

心臓だけでなく、いたるところに悪影響を及ぼすのが強いストレスの怖いところです。副腎皮質ホルモンの分泌が増加し、動脈硬化を促したり、免疫力を下げて感染症にかかりやすくなったり、胃や十二指腸に潰瘍ができやすくなったりと、悪いことずくめです。そして、強いストレスは不眠をはじめとする生活習慣の悪化を助長し、それが新たなストレスを生む要因になるという、悪循環を引き起こします。喫煙者の方はタバコの量が増えたり、お酒好きの方は飲みすぎてしまったり……。

あらゆる不調の原因となるストレス

もちろん、そんな状況に陥りたくはないですよね。ものすごくシンプルな話ですが、ストレスを強く感じないようにするためには、ストレスを受けにくい環境に身を置き、なるべくストレスがかからないような行動をとることが必要になります。

大きなものから小さなものまで、私たちの日常生活はストレスだらけです。ストレスを、完全にゼロにすることはできません。そこで、「ストレスをできるだけ減らすことを心がけよう」「ストレスとうまく付き合って、悪循環に陥らないようにしよう」と考えていくようにしましょう。

「無理をせず、マイペースで」が、キーワードになります。じゅうぶんな睡眠。栄養バランスのとれた3度の食事。適度な運動。こうした規則正しい生活を送ることが、基本にして最大のストレス解消法なのです。何かと忙しい日常でこれを維持するのは難しいかもしれませんが、まずはこの基本中の基本を意識するようにしてください。

さらに、良好な人間関係を築くことも大切です。家族、パートナー、友人、会社の同僚や上司などの身近な人たちと、しっかりコミュニケーションをとるようにしましょう。その際、相手がストレスに感じるような言動や行動を控えることが重要です。自分自身の感情に流されることなく、心にゆとりを持って相手と接したいものです。

人間関係が良くなると自律神経のバランスが整い、心臓に負荷がかかりにくくなります。そのうえで、趣味に興じたり、旅行に出掛けたり、カラオケで大声を出したり、ご自身が楽しいと感じることに取り組んで、心身ともにリラックスさせてあげましょう。おのずと心と体にかかるストレスは軽減されていくはずです。

冬はほかの季節よりも心臓のことを気にかけよう

冬に気をつけたいのは、「家の中での寒暖差」です。暖かいリビングから、寒い浴室へと移動し、温かいお湯につかったときに起こりやすい「ヒートショック」は、みなさんもご存じでしょう。ヒートショックとは、気温の変化によって血圧が乱高下を起こし、心臓や血管の疾患が起こること。最悪の場合、脳血管疾患、心筋梗塞、大動脈解離などを発症し、そのまま死に至ることもある、とても恐ろしい現象です。

冬のヒートショックで特に気をつけたいのが、入浴時です。暖房の利いた部屋から寒い脱衣所へと移動した際に血圧が上昇し、裸になって浴室に入るとさらに血圧が上がります。そして、お湯につかると体が一気に温まるため、血圧が急下降します。このときにヒートショックを起こしてしまうのです。高齢者、高血圧の方、肥満気味の方はとくに注意が必要なので、万全の対策をとるようにしてください。

徹底したいのは、以下の4点です。

(1)脱衣所と浴室内を暖めておくこと

(2)お湯の温度を低め(40度以下)に設定すること

(3)長風呂をしないこと

(4)お風呂からゆっくりあがること

浴室と脱衣所と同様に、リビングとの寒暖差で心臓の発作を誘発しやすくなるのがトイレです。入浴時のヒートショックは、いろいろなメディアでその危険性が叫ばれていますが、実はトイレでも注意が必要です。対策としては、トイレを使わないときでもドアを開けておき、気温差を和らげておくのもいいでしょう。ヒートショックは、起こると命にかかわります。多発する冬場は、警戒を怠らないようにしましょう。

冬は、夏よりも急性心筋梗塞の発症率が高まる最も危険なシーズン。その理由は、寒さにさらされることで起こる血圧上昇によって、心筋の仕事量が増加したり冠血流が低下したりすることに加え、呼吸器感染にともなう心筋虚血の増悪などが強く誘発されるからです。

(画像:『弱った心臓を元気にする方法』)

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とにかく冬は心臓にやさしい生活を

これは、夏と冬を比較した心筋梗塞発症の増加率のグラフです。北半球は、1月を中心とした冬季が、急性心筋梗塞に注意すべき季節であることが一目瞭然です。また、急性心筋梗塞に限らず、虚血性心疾患による死亡や心筋梗塞の発症、病院外での心停止、冠動脈疾患による突然死など、冬は心臓に対する多くのリスクを増加させる傾向にあります。

家の中でも、暖かいリビングから寒い浴室やトイレなどに移動したときには、その気温の変化に気をつけること。また、「ちょっと新聞を取りに行くだけだから……」と薄着で外に出るのも、ヒートショックを引き起こす条件が整うため、厳禁です。短時間でも、上着を羽織るなどして寒暖差が大きくならないようにしましょう。冬場は、いつも以上に心臓のことを気にかけた生活を心がけましょう。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

交通事故死よりも多い「ヒートショック」の恐怖

「ストレスに弱い人」に教えたい3つの対処法

漢方が伝授「寒暖差疲労」を根本解決するツボ2つ

提供元:冬場の心筋梗塞「家の中での寒暖差」に要注意|東洋経済オンライン

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