2024.01.23
医師推薦「発酵食品の産地」を変えると腸が整う|異なる菌が腸内で働き、善玉菌が競い合う?
菌食材を食べて腸をきれいにすることを「菌活」といいますが、唯一、菌だけでできている食材がきのこです(写真:ささざわ/PIXTA)
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細菌やウイルスから体を守ってくれるうえに、脳との関連もわかり始めてきた腸。病気を遠ざけ、脳を働かせ、いくつになっても健康で元気でいるためには、腸の健康が欠かせません。健康・長生きの要ともいえる腸を元気にする秘訣は、何を食べるか、どう食べるか。医師の鎌田實先生の著作『医師のぼくが50年かけてたどりついた 鎌田式 長生き食事術』より、腸を健康にする食事術を一部抜粋してお届けいたします。
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2つ以上当てはまったら要注意!
腸は言うまでもなく栄養を消化・吸収する臓器ですが、免疫細胞の約7割が集中していて、体内に侵入した病原菌などから体を守る働きもしています。
さらに近年は、腸には約1億個の神経細胞があり、自律神経を介して脳とつながっていることがわかってきました。これを「脳腸相関(のうちょうそうかん)」といって、ストレスでお腹が痛くなったり、腸の調子が悪いとうつうつとしたりするのはこのためです。
いわば腸は「第二の脳」。
腸を整えることで、脳の健康にもつながります。
また、腸内の悪玉菌が増えると炎症を起こし、睡眠障害や認知機能の低下、大腸がんなどの原因に。
まさに腸は、「長生きの要」なのです。
そんな腸を健康にする食べ方を紹介する前に、まずは「鎌田式 腸の健康チェック」で、あなたの腸の状態をチェックしてみましょう。
□下痢や便秘が続いている
□以前より便が細くなった
□便の色が黒っぽい
□朝ごはんを食べない
□食事の時間が不規則
2つ以上当てはまる場合は、腸内環境の悪化を疑いましょう。
自分の便の状況で確認できるので、不調を感じたら、今すぐに、腸にやさしい食事術を実践してください。
また、食事の時間が決まっていない人も要注意。毎日同じリズムで食事することも、腸の健康には欠かせません。
善玉菌が腸内で競い合う発酵食品の食べ方とは?
ぼくは腸内の善玉菌を増やすために、毎日発酵食品を食べています。
納豆、みそ、ヨーグルト、こうじなど、発酵食品には腸内環境を整えてくれるパワーがあります。とくに、中高年以降になると、腸内の善玉菌がどんどん減ってしまうので、積極的に発酵食品を食べましょう。
オックスフォード大学の論文では、いろんな産地の発酵食品を食べると、腸の中で善玉菌が競い合い、腸内環境をよくすると発表されました。
たとえば納豆は、産地やメーカーで菌のタイプが変わります。
納豆といえば「水戸」が有名ですが、北海道や宮城県も名産地。
ときどき産地やメーカーを変えると、いろんな種類の善玉菌が腸の中で働き、免疫力を高めてくれます。
ぼくは、北海道の十勝豆を使ったやまぐち醗酵食品の納豆をよく取りよせています。
ヨーグルトもいろんなメーカーから出ていますが、認知機能を維持することが報告された、世界初のビフィズス菌を配合したヨーグルトやドリンクが森永乳業から発売されているので、試してみてもいいですね。
また、発酵食品を組み合わせることもおすすめです。
納豆とキムチなんかは相性バツグンだし、ぼくは納豆にもろみ酢をまぜたものがお気に入り。
ぼくは地方の納豆を取りよせたり、いろんなメーカーのヨーグルトを食べたりしています。たまには、ローカルな「〇〇牧場」のヨーグルトを取りよせるのも楽しいです。
異なる菌同士の組み合わせは、腸内の善玉菌を活性化させるし、なにより味のバリエーションが増えて楽しくなり、腸活を続ける原動力になります!
善玉菌をとることを「菌活」といいます。より効率を高めるなら、菌の組み合わせも考えたいところ。菌同士が競い合って腸活効果がさらにアップする3パターンを紹介しましょう。ぜひ今日から試してみてください。
納豆(納豆菌)×もろみ酢(こうじ菌)
(『医師のぼくが50年かけてたどりついた 鎌田式 長生き食事術』より)
納豆は納豆菌、もろみ酢はこうじ菌。いつもの納豆の味を変化させるのにもおすすめの組み合わせ。
みそ(こうじ菌)×チーズ(乳酸菌)
(『医師のぼくが50年かけてたどりついた 鎌田式 長生き食事術』より)
みそはこうじ菌、チーズは乳酸菌。チーズをみそ漬けにしたり、みそ汁にチーズを入れたりするのも手。
ヨーグルト(乳酸菌)×甘酒(オリゴ糖)
(『医師のぼくが50年かけてたどりついた 鎌田式 長生き食事術』より)
甘酒のオリゴ糖がヨーグルトの乳酸菌のエサになるので、一緒にとるのが◎。
冷凍きのこミックスで楽に毎日「スーパー菌活」
菌食材を食べて腸をきれいにすることを「菌活」といいますが、唯一、菌だけでできている食材がきのこです。
最近では、毎日きのこを食べることで、腸内を整えて免疫力を高める酪酸菌が増えることもわかってきました。
きのこはどれも食物繊維が多く、β−グルカンという成分には、免疫力を高めて、細菌やウイルスなどの異物を排除してくれる作用もあります。
カルシウムの吸収をうながすビタミンDも豊富なため、骨を強くする強力な応援団にもなってくれます。
そんなきのこの栄養を最大限に引き出すコツは、冷凍保存。
冷凍すると、きのこの水分がふくらんで細胞壁がこわれ、細胞内のうまみ成分や栄養素が出やすくなるためです。
ぼくのおすすめは、しいたけ、しめじ、エリンギ、まいたけなど、お好みのきのこを適当な大きさにカットして作る「冷凍きのこミックス」。
みそ汁や炒め物などにパラッと入れれば、きのこ料理に早変わり!
1カ月は保存できます。
(『医師のぼくが50年かけてたどりついた 鎌田式 長生き食事術』より)
レシピのいらない食べ方「厚揚げと冷凍きのこあんかけ」
(『医師のぼくが50年かけてたどりついた 鎌田式 長生き食事術』より)
自作の冷凍きのこミックスをサッと炒め、しんなりしてきたら4等分にした厚揚げを入れる。そこにめんつゆ、みりん、砂糖、水を入れ、中火で5~10分。しょうがチューブ、水溶き片栗粉を加えてとろみをつけたら完成です。お好みでねぎをちらしましょう。厚揚げにはカルシウムも豊富なため、冷凍効果でパワーアップしたきのこのビタミンDと一緒に食べれば、効率よくカルシウムを吸収できます。
分量の目安(2人分)
冷凍きのこミックス…160g程度、厚揚げ…1丁、2倍濃縮めんつゆ・みりん…各大さじ2、砂糖…大さじ1、水…150ml、しょうがチューブ…小さじ1、片栗粉…小さじ2
ヨーグルトは朝より夜!
ヨーグルトを食べると、乳酸菌やビフィズス菌の力によって腸が整います。
排便もスムーズになり、やせ体質になり、肌や髪がよみがえるし、もちろんメタボ対策にも力を発揮してくれます。
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ぼくはそんなヨーグルトのパワーに注目して、「ヨーグルトダイエット」を取り入れています。
方法はとても簡単で、夕食後にヨーグルトを食べるだけ。
腸が一番活発になるゴールデンタイムは、朝起きてから15~19時間後です。
朝7時起床なら、腸のゴールデンタイムは22時~深夜2時。
夕食後にヨーグルトを食べれば、このゴールデンタイムにしっかり善玉菌が働いて、腸を整えてくれます。
空腹時は胃酸が強いため、食後に食べるのがお勧めです。
食べた乳酸菌は体内にとどまることができないため、たくさん食べるよりも、毎日続けることが大切です。1回あたり100~200gを目安にしましょう。
できれば無糖のものがおすすめですが、飽きてしまいますよね。
はちみつを少しかけたり、小さく切ったりんごをのせたり、ごまをかけたり……、飽きのこない工夫をすることが続けるコツです。
また、乳酸菌には、人によって合う・合わないがあります。合わない乳酸菌をとり続けると、逆に肌あれや便秘の原因になってしまうことも。
しばらく食べ続けてみて、どうもお腹や肌の調子がよくないと感じたら、違うメーカーのヨーグルトを試してみましょう。
がまんしない、がんばらない。
なにより、「おいしいものを食べたもん勝ち」という考え方が鎌田式食事術の極意。
でもそのためには、ちょっとだけ工夫することが大切です。
ぜひ鎌田式食事術を毎日の食事に取り入れて、腸を健康にし、免疫力を高め、年齢の壁にとらわれない、元気な体をつくってください。
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提供元:医師推薦「発酵食品の産地」を変えると腸が整う|東洋経済オンライン