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2024.01.18

冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法|大切な家族を守るための「血流改善」習慣とは


「冬の浴室」は、交通事故以上に多くの危険がひそんでいるといいます(写真:おんせん/PIXTA)

「冬の浴室」は、交通事故以上に多くの危険がひそんでいるといいます(写真:おんせん/PIXTA)

寒い冬は、とくに血流に気をつけることが大切です。のべ2万人の臨床麻酔実績で、全身の血流について詳しい富永喜代医師の著書『血流がすべて 血流コントロールの名医が教える わずか1分でできる「すごい血流改善法」』より一部引用・再編集し、全身を元気にし、突然死も防ぐことができる入浴方法をご紹介します。

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交通事故よりもこわい「冬の浴室」

寒い日は、早く家に帰って温まりたい。そう思いますが、家の中に思わぬ危険があります。それは、浴室。

厚生労働省の統計によると、浴室で亡くなる高齢者の数は、交通事故で亡くなる人の約2倍。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く、毎年11月から4月にかけて多く発生しているそうです。

ピンピンコロリがいいとはよく言われますが、まだやりたいことがあったのに、伝えたいことがあったのに、本意ではないタイミングで大切な人に会えなくなってしまったら、それはとても切ないことですよね。

防げるものなら、防ぎたい。そう願うあなたに。そして、突然いなくなってほしくない大切な人がいるあなたのために、知っておいてほしいお風呂での血流対策をお伝えします。

まずお話ししたいのは、「お湯の量」についてです。

体をどこまでお湯につけるか。これがとても重要なんです。

子どものころ、両親からこんなふうに言われたことはないでしょうか?

「肩までしっかりつかりなさい!」

「100数えてから上がりなさい!」

もしかすると、今はあなたがお子さんにそう言い聞かせているかもしれません。

心臓に無理をさせないために「お湯の量」が大切

じつはこの入浴方法、血流改善の観点から考えると、とっても危険。

悪い入浴方法の代表例なんですよ。

理由はかんたん。肩までつかると、血管が、水圧によってギューッと押さえつけられてしまうからなんです。

心臓よりも高い位置まで湯につかってしまうと、静脈の圧よりも水圧が高くなります。それによって、手足や内臓の静脈がギュッと圧迫され、血液が心臓に向かって一気に移動。すると、心臓は増えた分の血液をくみ出すために、無理して働くようになります。

肩までつかっている本人は、「いい湯だな」と思っていても、体は心臓に負担がかかるという「緊急事態」への対応に大わらわとなっているわけです。

仮にこの状態のまま長風呂をしてしまうと、血流が落ちていき、心臓や肺に大きな負担がかかります。

そして、さらに大きな問題が、「お湯から上がるとき」に起こります。

浴室での「立ちくらみ」が命をうばう

水圧でぐっと収縮し、心臓へ血液を戻していた手や足の静脈は水圧から解放され、一気に弛緩します。しかも立ち上がりますから、重力によって下半身に向かって血液が勢いよく流れ出していく。

すると、一時的に脳へ送られる血液量が減り、目の前が暗くなります。起立性低血圧症といって、いわゆる立ちくらみが起き、フラフラと倒れてしまうわけです。

これは、大変危険です。

もし、昔ながらの深い湯船だった場合、倒れた拍子に頭を打ち、意識を失い、溺れてしまうといった最悪のケースにおちいる可能性もあります。

最初にお伝えしたように、自宅で亡くなる人が命を落としている場所は、圧倒的に「浴室」です。特に高齢の方は、加齢によって血管のやわらかさが失われているため、リスクが高まるのです。

また、医師から心臓が弱いと指摘を受けている方、高血圧の方は肩までしっかりつかってはいけません。立ちくらみ、脳虚血、失神の原因になります。

おすすめは、みぞおちまでつかる半身浴。これを守るためにも「湯量は腰まで」をルールにしましょう。

あなたは毎日、何℃のお風呂に入っていますか?

血流を整える入浴法で湯量と並んで大切なのが、「お湯の温度」です。

入浴に関する全国調査によると、日本人のお風呂の平均湯温は「41℃」だそうです。

この数字を目にして、「ぬるめだな」と思った人は要注意。きっと、あなたが入っているお風呂は熱すぎます。

高齢者ほど「熱すぎてキケン」なお湯につかってしまう

とりわけ、高齢者になればなるほど、熱いお風呂を好む傾向があります。これは皮膚の「温熱感受性」の劣化によるもの。

皮膚の表面に温点、冷点と呼ばれる熱い、冷たいを感じとるセンサーがあります。じつはこの温点、冷点の数は、年齢を重ねるごとに減っていきます。

最新の研究によると、温点・冷点は、20代と70代を比べると約半分になってしまうというデータもあります。なかでも湯船に入るとき、最初にお湯に触れる足先の温点・冷点は、20代に比べ、70代では3分の1ほどに。

その結果、熱い、冷たい、の識別が鈍くなり、子どもなら「絶対ムリ!」と飛び出すような湯温でも、おじいちゃんおばあちゃんは「ほぉう」と吐息をもらしながら肩までつかることができるわけです。

しかも、とくに冬場はついつい長風呂になってしまいがち。そのとき湯温が高いと、疲労、脱水、血管虚脱(血管がひろがりすぎて、血流が落ち、脳へ必要な酸素や栄養素が届かなくなる)といった症状を引き起こす可能性があり、かなり危険な状態です。

湯温は自分の肌感覚だけではなく、「数値」で見て把握しておくべきです。

また、高温のお湯につかることは、入浴のメリットであるリラックス効果を妨げてしまいます。お風呂でリラックスするかどうかは「交感神経」と「副交感神経」の働きと深く関連し、湯温がその切り替えスイッチのような働きを果たしています。

副交感神経の働きが高まれば、精神的に落ち着き、末梢血管も拡張し、血圧は下がっていき、血流が向上。心臓の負担も軽くなります。

一方、交感神経の働きが過度に高まると末梢血管が収縮。末梢の血流が落ちるため、心臓はより多くの血液を循環させようと負担を強いられながら、働くようになります。当然、血圧は上昇してしまいます。

お湯がぬるめか、熱めかによって、入浴時に交感神経と副交感神経のどちらの働きが高まるかが決まるわけですね。

私のおすすめは、断然ぬるめです。

ぬるめの湯温とは、冬なら40℃、夏なら38℃。一方、41℃以上が熱めの湯温です。

体が疲れているときは、ぬるめのお湯に10分ほどゆっくりつかりましょう。

これで副交感神経が働き、末梢血管が拡張。入浴から5分経過すると、白血球、リンパ球、がん細胞を倒すNK細胞など免疫力を支える免疫細胞が増えることがわかっています。

もちろん、血流も整い、体のすみずみまで栄養と酸素が行き届き、疲労物質も回収・排出されるので、疲れが軽くなります。

第二の心臓を動かす「足先クイクイ体操」

みぞおちまでの湯量、ぬるめの湯温と入浴時のポイントをお伝えしてきましたが、最後に、お風呂でできる「血流アップ体操」をご紹介します。

その名も、「足先クイクイ体操」。

湯船につかり、足を伸ばして(伸ばせない浴槽なら、入浴後に行ってもOK)、つま先を上、前、上、前と、クイ、ストン、クイ、ストンと前後に10回ずつ動かします。

そうすると、すぐに「第二の心臓」と言われるふくらはぎの筋肉がググッと動いているのを感じるはず。温まり、血流のアップしている体に対して、さらなる刺激を加え、すっきりと疲労物質を洗い流す効果が期待できます。

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ちなみに、この「足先クイクイ体操」には中高年の女性に多い「深部静脈血栓症」を予防する効果があります。深部静脈血栓症は、別名「エコノミークラス症候群」と呼ばれ、亡くなる方も少なくない怖い病気です。

飛行機や自動車などの狭い座席に長時間座り、立ち上がって歩き出したときに呼吸困難に襲われ、倒れてしまう。飛行機の乗客だけでなく、タクシードライバーなど、座りっぱなしの状態が続いた方が多くこの症状に見舞われています。

同じ症状は、手術後に入院する場合があるICU(集中治療室)でも発生しやすく、医療関係者は大いに注意を払っています。特に、しばらく寝たきりで過ごす患者さんの足には、電動でふくらはぎをもみあげていくフットポンプと呼ばれる機器を取りつけることも。

血液がスムーズに流れることは、体にとってそれだけ大切なことなんです。

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提供元:冬場の「浴室での突然死」を防ぐ超シンプルな方法|東洋経済オンライン

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