2024.01.16
「筋トレで挫折する人」が無意識にやる「悪習慣」|「30秒スクワット」で今年こそ運動不足を解消
今年こそ筋トレを習慣にして、運動不足を解消する方法を紹介します(写真:Kostiantyn Postumitenko/PIXTA)
「今年は絶対に運動をする!」「毎日筋トレをする!」年始にそう誓ったはずなのに、結局続けられなかった……。心当たりがある人も多いのでは。「『絶対にやろう!休んだらいけない』と、強く誓い、口ぐせのように言っている人ほど、実は筋トレが続きにくいのです」と言うのは、フィットネストレーナーとしても活躍する整形外科専門医の吉原潔さん。今年こそ筋トレを習慣にして、運動不足を解消する方法はあるのか。吉原さんの著書『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』より、一部引用・再編集してご紹介します。
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「言い訳をする人」と「まじめな人」挫折しやすいのは?
さて、筋トレで挫折しやすいのは、どちらの人でしょうか?
(1)「今日は時間がないからできない」と言い訳をする人
(2)「絶対に休んではいけない」とまじめに実践する人
答えは、両方。
実は、どちらのタイプも筋トレが続きにくいのです。
どういうことなのか、私自身の体験もご紹介しながらお話ししましょう。
まず、(1)「今日は時間がないからできない」と言い訳をする人。まさしく、私自身がこのタイプでした。
今でこそ、フィットネストレーナーとしても活動している私ですが、実は長らく運動不足でした。学生時代は筋トレをしていたのですが、医師になってからは忙しさにかまけて運動はゼロ。
その結果、お腹がポッコリ出た、いわゆる「メタボ体形」になってしまったのです。当然、健康診断の数値は悪くなり、中性脂肪値は正常値の2〜3倍ありました……。
ある日、鏡に映る自分を見て、これはまずい! そう思い、スポーツクラブに入り、筋トレを再開することにしたのです。
ところが、です。一念発起はしたものの、「今日は仕事が多くて帰りが遅くなったから、スポーツクラブに行く時間がない」などと言い訳をして、足が遠のきがちに。
リハビリのために運動を勧めた患者さんからもよく、「仕事や家事が忙しくて、運動の時間がなかなか取れない」という声を聞きます。
毎日運動できない原因は「ハードルの高さ」
なんとかならないか……。言い訳の原因がどこにあるのか考えたところ、私が毎日運動できないのは「運動のハードルが高い」ということでした。
それまでは、スポーツクラブに行かないと運動をした日としてカウントしていませんでした。でも、仕事の合間を縫って、スポーツクラブに行って、着替えて、トレーニングをして、また着替えて、帰宅して……。どうしても、おっくうに感じてしまいます。
そこで、「運動をした日」の基準を低くしてみたのです。「短時間でもOK、1日1回でも体を動かせば、その日は運動をした」とし、スポーツクラブに行けない日は、自宅でスクワットを行い、毎日続けることを目標にしました。
すると、どうでしょうか、徐々に運動が生活のなかに定着してきて、体形も変わってきて、もっと運動をしたいと思うようになったのです。
さて、(2)「絶対に休んではいけない」とまじめに実践する人も挫折しやすい、というのは意外かもしれませんね。でも実は、言い訳をする人よりも、まじめなタイプのほうが挫折の可能性は高いといえます。
トレーナーとして指導をしていると、「絶対に休んではいけない」と、トレーニングをなかば義務的に行っている方に出会うことがあります。まじめなのはいいことですが、こういう方ほどそれが何らかの理由で途絶えたときに一気に挫折するということを何度も見てきました。
知っておいていただきたいのは、筋トレを数日休んだからといって、今までの努力が水の泡になるなんてことはありえません。どうしても体がつらくて休みたいというときには無理せず休んでください。
運動は、楽しくなければ続きません。「キツいときは無理をしない」という心がけも、習慣化するうえでとても大切なことです。
とくに40歳を超えたら無理は禁物。若いうちは体力的に多少無理をしてもケガをしづらいですが、40歳を超えるとそうはいきません。回復力も衰えるのでケガで運動できない期間が長くなると、結果的に運動をやめてしまうことにもなりかねません。
100回より30秒のスクワットが有効
これまでお話ししたことを踏まえると、挫折しない筋トレとはこのようなものになります。
●短時間でよい
●無理をする必要がない
まず時間ですが、「長い」と感じない時間を自分でいろいろ試してみました。忙しいときは「長い」「めんどうだ」と感じることが習慣化の障害になるからです。
その結果導き出したのが30秒です。
1日のうちで「30秒だけください」と言われて、忙しくて時間がないと答える方はいないと思います。
そして、無理をしなくてよい筋トレは何かということですが、それは「スクワット」。よりによって、もっともきつそうなスクワット!?と思われるかもしれません。でも、スクワットほど、筋肉を一度に効率よく鍛えられる運動は、ほかにないのです。
そこで編み出したのが、「30秒スクワット」です。
●1日1回30秒
●「しゃがむ」「立つ」2つのポーズをくり返すだけ
30秒スクワットの基本はこれだけです。このスクワットは、一般的なスクワットのように直立した状態から腰を落とすものではなく、しゃがんだところから立ち上がるという、「逆スクワット」です。
このようにした理由は、運動に慣れていない人でも逆スクワットなら自然と正しいフォームで行え、期待どおりの健康効果が得られるからです。
そのうえで留意したのは、筋肉に「適度な負荷」を与えられるという点です。筋トレ全般にいえることなのですが、負荷が強すぎると腰やひざを痛めるリスクが高まってしまいます。それより何より、キツすぎるとつらさが先に立って、続ける意欲が失せてしまいませんか?
とはいえ、まったくキツさを感じないような運動では効果は期待できません。そこで私自身がいろいろなトレーニング方法を試した末に考案したのが、キツすぎない、でも適度な負荷がかけられて効果を得られる30秒スクワットでした。
30秒スクワットを患者さんも含めて、いろいろな人に試してもらったところ、簡単で時間も短くて済むので楽に続けられると、とても好評です。
「ながら」を口ぐせにして運動を習慣化
30秒スクワットをするときに、ぜひ実行していただきたいのは、「時間がない」「絶対に休んではいけない」と言う代わりに、「ながら」を口ぐせにすることです。
具体的には、毎日行う行動のついでにドクターズスクワットの動きを取り入れるのです。「〇〇をする=ドクターズスクワットをする」と、脳内で特定の行動と紐づけられれば、忘れることもなくなりますし、めんどうくさいという気持ちも薄れるはずです。
たとえば、こんな「ながら」があります。
●CMを見ながら30秒スクワット
一般的に、テレビコマーシャルは15秒または30秒の長さです。1〜2本のCMを見ながら行えば、それで1日のノルマは終了。
●電子レンジの待ち時間に30秒スクワット
時間がしっかり確認できるので、やりやすいと思います。鍋で何かをゆでているときなど、料理をしているときの待ち時間に行うのもおすすめです。
●スマートフォンを使うときに30秒スクワット
スマートフォンを見る機会は頻繁にあると思うので、たとえ1回忘れたとしてもチャンスは何度も訪れます。これなら、忘れやすい人でも続けられるのではないでしょうか。
ちなみに、私の著書の担当編集者は、「時計の秒針を見ながらスクワット」と決めて実践しました。仕事中に時計を見て、秒針が12のところにあればその場で30秒スクワットをしたそうです。
半年以上続いていますが、たるんだ下腹が引き締まり、猫背が改善されて姿勢がよくなったので、ショーウィンドウに映る自分の姿を見るのが楽しみになったと言っています。
30秒スクワットのやり方
『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』(アスコム) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
30秒スクワットのやり方は、驚くほど簡単です。
しゃがんだ状態から立ち上がる、という動作を30秒でくり返すだけです。しゃがんでいて立ち上がる、というのは日常でよく行う動作なので、迷うことが少ないでしょう。まっすぐに立ち上がるだけで、自然に正しい方法になります。
なお、30秒間で、何回やるかにこだわる必要もありません。回数をこなそうとするよりは、1回1回を丁寧にゆっくりやるほうがよいでしょう。30秒スクワットは1日30秒行うことを目標にします。
やり方は、こちらから確認できます。
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提供元:「筋トレで挫折する人」が無意識にやる「悪習慣」|東洋経済オンライン