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2023.12.20

「歩く百億円」88歳社長のさみしさとの付き合い方|歳をとっても毎日楽しそうな人がしていること


88歳、まだまだ現役社長の吉川社長の目標は、「90歳で一番イケてる自分を作る」(写真:吉川さん提供)

88歳、まだまだ現役社長の吉川社長の目標は、「90歳で一番イケてる自分を作る」(写真:吉川さん提供)

「さみしいなら、自分からアクションを起こす。自分で自分を満たすための術を持つ。それができなかったら、人に依存してグチるばかりの困った年寄りになってしまうわよ!」と喝を入れるのは、かつて「¥マネーの虎」などのテレビ番組で人気者になり、「歩く百億円」と呼ばれている吉川幸枝さん。88歳となった現在も、超健康体(骨年齢20歳、臓器年齢20代前半、虫歯なし等)を保ちながら、現役で社長業をこなしています。

驚異的な若さと活力を今なおみなぎらせる吉川社長に、型破りでユニークな「自分で自分を楽しませる」コツを語っていただきました。

本稿は、『人生は80歳からがおもしろい』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。

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活力の源は「非常識の窓」にあり

「●●は、こうあるべきだ」「◎◎は、こんなふうにすべきなのに」

みなさん、こういう常識はとてもよく身につけていらっしゃいます。

進んで勉強もしているかもしれません。

自ら「常識の窓」を、つねに開け放っていますね。

でも、その常識の窓全開のせいで、人生損をしているかもしれません。

「こうでなきゃ」という常識の牢獄に囚われて、人目を気にして、自分の好きなことよりも本当はやりたくないことばかり優先してやっていませんか。

そんな人は、ぜひ「非常識の窓」を開け放ってみてほしいんです。

非常識というと、「常識がないこと」だと思うかもしれませんが、違います。

「当たり前」と思っていることから、少し考えを変えましょう、ということです。

常識的な枠組みの中で生活していれば、ある意味ラクです。まわりとそんなに違うこともないから、目立って人からどうこう言われることもありません。

でも、それで楽しいでしょうか。

「どんぐりの背比べ」で人生終わっていいでしょうか。

もっと自由に、思うままに、やりたいことや考えたことをやってみて、笑ったり、泣いたり、怒ったり、もっとあなたらしく人生を過ごしてみてはどうでしょう。

歳をとると、どうしても行動の範囲が狭まったり、思考パターンが決まってきてしまったりします。

だからこそ、意識的に生活に新しい風を送るのです。

「非常識の窓」を開けてきて得られたもの

私は、子どものころから「非常識の窓」ばかり開けてきました。

まわりと同じようにしなければいけないなんて、考えたこともありません。

うちはまだ私が幼いころに父が亡くなって、母が女手1つで子どもたちを育てなければならなかったから、食べるものも満足になくて、私たちはつねにお腹を空かせているような状態でした。

そこで私は、街に出て、お店屋さんに行って、捨てようとしていた野菜の残りやお客さんの食べ残しをくれるようお願いしたんです。

お店の人は「持っていきな」って、タダでくれたんですけど、そこで食べるものだけじゃなく、ちょっとした別の知恵ももらいました。

八百屋さんは野菜をシャキッとさせるために、野菜に水を吹きかけます。すると、萎れていたキャベツもほうれん草も、また元どおりみずみずしくなります。

これを見て、家に帰ってマネをして、野菜の端切れを井戸水に漬けたら、ゴミ同然だった野菜が見事にシャキシャキに! それに味をしめて、その後も捨てる野菜や残り物をまたもらいに行きました。

こんなこと、普通はしませんよね。店の人に方便言って、残り物をもらって食費を浮かせるなんて、そんな非常識なこと、考えもしないと思います。

でも、私はそのおかげで、非常識の窓を開けたおかげで、食いつなぐことができた。知恵もついた、家族を喜ばせることができた。

「常識の窓」ばかり開けていたら、決して得られなかった幸せです。

常識なんかいらないと言っているわけではないんです。

でも、常識を捨て非常識を取ることが、幸せにつながることもある。

だからみなさんも、思い切って非常識の窓を、パッと開け放ってみてください。

非常識になるには知恵や勇気もいるけれど、あなたの今の生活に、ちょっとした彩りを加えてくれるはずです。

1人でも「自分を支えられる人」になる

私のように、80歳にもなると、友人や連れ合いが病気になったり、亡くなったり、子どもが独立したり……ふと「さみしいな」と感じる機会が増えてきます。

これは80代に限った話ではなく、50代でも60代でもある話ですよね。

「さみしいな」と感じたときは、なぜさみしいかを、ちょっと考えてみましょう。

「お茶友だちが入院してしまった。もう誰も私とお茶を飲んでくれない」

「正月、盆くらいしか、子どもが家に寄りつかなくなった」

これ、よく考えると、全部「受け身」の考え方ではないでしょうか。

仲良しの友だちが入院したなら会いに行けばいい。

子どもが家に寄りつかないなら、自分から電話すればいい。

SNSでつながることだってできる。

こちらからつながればいいじゃないですか。

「さみしい」という気持ちは「会いたい」と思う気持ちの裏返し。そういう気持ちを放置しておくのはよくありません。自分からアクションを起こしましょう。

足が頭まで届く吉川さん(写真:吉川さん提供)

足が頭まで届く吉川さん(写真:吉川さん提供)

年齢を重ねて、若さや体力は失ったかもしれないですが、得たものもあります。

時間です。

仕事がある人ならともかく、シニアに差し掛かってくれば、若いときよりも、きっと時間はあるはずです。

その時間を使って、気持ちが満たされるような方法を考えてみましょうよ。

「ずっと家に1人でいる人は孤独」「家族や友だちと会えないのはつまらない」

そんな満たされない気持ちになるのは、おそらく自分で自分を楽しませる術を持っていないからだと思うんです。

誰か人を頼らなければ、自分で自分の機嫌を取ることもできない。

さみしいと思う自分を、どう癒したらいいかわからない。

要するに、自分で自分を支えられない、「自分のために生きる術」を身につけていないということだと思うんですね。

「自分は、ずっと家族のために生きてきた。だから自分のために生きる術を、自分を楽しませるものを持てと言われても、想像がつかない」

そういう人もいるでしょうけれど、自分のために生きる術を見つけられなかったら、これから先も家族や周囲に寄りかかり、人生を他人に依存して生きることになってしまいます。

衰えていく自分を持て余して、やれ「腰が痛い、足が痛い」のと周囲にグチを言い、「生きていたってロクなことがない」とこぼすだけの人生になってしまう。

かつては60年くらいだった人生が、今では100歳まで生きられるんです。

そこに感謝しながら精一杯生きて、心から楽しめること、笑っちゃうことを一緒に見つけましょうよ。

なかなか見つけられない場合は、「あなたが喜ぶものは何?」って、自分で自分に問いかけてみてもいいと思いますよ。

好きなドラマを見てワクワクするとか、お笑い番組を見て大笑いするとか、これくらいのことなら、いろいろ出てくるんじゃないかしら。

テレビと会話しよう

好きなドラマやお笑い番組を見るといいっていいましたけど、もう1つ、テレビのとっておきのいい使い道があります。

それはテレビと会話すること。出てくる人物に向かって、話しかけるんです。

よくヒマつぶしで、ボーッとテレビを観る人がいますけど、あれはダメ。

脳を老化させたくないなら、ヒマな時間は作っちゃいけません。

テレビを観ることも、ヒマつぶしに仕方なく観るのではなく、「観たいから観る」という行動にしてほしいのです。

そしてどうせ観るなら、その世界にどっぷり浸って、入り込む。

そのためには、テレビと会話するといいよってことなんです。

私のお気に入りは『暴れん坊将軍』の吉宗公。

馬に乗って走ってくる姿を見て、「待ってました!」と声をかけるの。

身分を明かして、悪い奴らをバッサバッサと叩っ斬る無双のシーンでは、「まいりました〜」って頭を下げたりして。

これがやってみると、結構楽しいんですよ。

「テレビに話しかけるなんて、孤独でみじめだ」と思うかもしれませんけど、そんなことはありません。

1人で黙って観るより、声をかけたほうがずっと楽しく観られるし、その世界にグッと入り込めるから、悩みをずっと消しやすくなるんです。

そもそも私たちの脳みそちゃんは、人と話すとものすごく活性化します。

だから、話し相手がテレビの中にいる人だって、構いません。

言ってみれば、テレビの中の人になったつもりで、演技をするわけです。

相手が「美しいですね」って言ってきたら、「あら、ありがとう」なんてお礼を言って。

何か命令されたら、「はっ、かしこまりました!」って頭を下げたりする。

そういうことをしていると、なんだかその気になって、わがことのようにドキドキしたり、悲しい場面では泣けてきたり、現実の悩みから遠ざかることができる。

テレビ相手にしゃべって芝居していると、自然と悩みが脳みその外に追い出されていくわけですよ。

自分で自分を楽しませられる人になる習慣

芝居が苦手という人は、歌番組で一緒に歌を歌うのもいいと思います。

私もテレビで好きな曲が流れてきたら、一緒に歌っちゃいます。

歌に自信がなくても、ノリノリで歌えば、悩みも不安も吹き飛んじゃいますよ!

そのためには、ドラマ、バラエティー、歌番組……今のうちに好きなものを増やしておくといいわ。

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『人生は80歳からがおもしろい』(アスコム) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

芝居でも歌でも、自分のお気に入りをいくつか持っておいて、いざってときに自分の気分に合うものを引っ張り出してきて、演技したり歌ったりする。

こういう習慣が身につくと、自分で自分を楽しませられる人に、いつでも機嫌の良い人になっていけるんじゃないかしら。

「テレビ相手に会話や歌うなんて、できそうにない」という人は、ぬいぐるみや人形相手に会話するのでもいいと思います。

孤独というのは、ともすればズブズブとハマり込んでしまうもの。

一度ハマったら、這い上がるには大変な気力、体力が要るものです。

普段から対策をしておいて、孤独にハマり込まないよう、ブレーキをかけてくれるものを持っておくに越したことはありません。

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提供元:「歩く百億円」88歳社長のさみしさとの付き合い方|東洋経済オンライン

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