2023.11.23
おさんぽで50kg減の医師が伝授「飽きない歩き方」|コース設定の仕方など、続けられるコツとは?
おさんぽダイエットの最大のメリットは、「ながら有酸素運動」ができることにあります(写真:buritora/PIXTA)
京都で産婦人科・内科専門のクリニックを経営する医師の石原広章氏は、かつてコロナ禍で“出前生活”になり一気に体重が加速。50歳を目前に「123kg」を記録したことでダイエットを決意。「毎日おさんぽするだけ」で、51kg(123kg→72kg)の減量に成功しました。
なぜ「歩くだけ」でやせられるのか。その正しいノウハウをまとめた一冊『おさんぽダイエット』が先日発売され注目を集めています。楽しく有酸素運動が継続でき、失敗続きだったダイエッターも簡単にやせられる「おさんぽ」の秘訣を、一部公開いたします(3回にわたって紹介。今回は2回目)。
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「ながら有酸素運動」ができる
私もさまざまなダイエット方法を試してきましたが、ダイエットが長続きしないのは、つらい、飽きる、時間がない……といったことが原因でした。
しかし、おさんぽダイエットを1年間続けることができたのは、「ながら有酸素運動」ができるということが大きな理由の1つです。
医師の仕事は、毎日の診察以外にも最新の医学知識をアップデートするため、休診日には学会に行ったり研修会に参加したり何かと忙しく、ついついそれをダイエットが続かない言い訳にしていました。
ところがコロナ禍になり、リアルな学会が一切なくなってオンライン配信に切り替わりました。リアルタイムで聞くことができなくても、一定期間はパスワードを入力すれば学会を視聴できるシステムになったのです。
そこで、おさんぽをするときに、スマホで学会の講演会や研修会の音声を聞くことにしました。
本来であれば資料なども映し出されるのでスマホで画面を見たほうがよいのですが、さすがに歩きながらスマホを見るのは危ないので、試しに音声だけにしてみたところ、意外と聞くだけでも知識になることがわかりました。
また、学会では海外の先生が日本に招き、講演をすることもあります。そこで英語学習を兼ねて、海外の先生の招請講演も聴くようにしました。
慣れてくると倍速で聞けるようになり、おさんぽ時間で、ダイエットをしながら医学知識を手に入れて、さらに英語も学べてしまうという、欲張りマルチタスクです。
医学英語は専門用語が多いのですが、分野が限られているので範囲を絞って勉強しやすいのと、ヨーロッパやアジア出身の医師はネイティブでないので英語がわかりやすく、TOEICの試験や海外ドラマや映画のほうが、むしろ言い回しが難しかったり、聞き取れなかったりします。
ちなみに、有酸素運動は脳の活性化をうながすので、運動しながら勉強をすると、記憶力がアップするという研究もあります。資格勉強などでダイエットの時間が取れないという人こそ、勉強+運動のマルチタスクがおすすめです。
もちろん「勉強をしながらおさんぽするのは憂鬱」と思う人もいるでしょう。そんな方は、好きな音楽を聴くのもいいですね。私自身も、おさんぽを始めたころは、音楽を聴きながら歩いていました。
また、最近ではVoicyという、インターネットで音声コンテンツをサービスするもの利用し、番組をスマホにダウンロードして聴いています。1番組10分や20分といった長さで、いろんな有識者が番組を配信しているので、おさんぽ中も楽しく、4~5番組再生するころには家についています。
みなさんも自分が好きなジャンルや、「推しメン」関係の番組をピックアップしてプレイリストを作っておくといいでしょう。時間を有効活用できるだけでなく、なによりも自分の興味のある話や、好きな人の声を聞きながら歩くので、ダイエットのモチベーションにもなって、楽しく長続きすることができますよ。
20分以上歩くコースを設計せよ
「有酸素運動は、20分以上続けないと脂肪が燃えない」とよく言われます。しかし、厳密にいうと間違いで、最初から脂肪は燃焼されています。
運動直後は体に貯められているグリコーゲン(糖分)が優先的に使われ、それが枯渇すると脂肪の燃焼が効率よく始まるため、20分以上の運動が推奨されています。
そこで効果的にダイエットをするなら、まずは20分以上のコース設計をすることから始めましょう。一般的な場合、歩く速さは時速4kmなので、距離でいうと1kmちょっとが目安です。
話は少しそれますが、私は子どものころ、よく親に「やみくもに勉強するのではなく、まず計画を立てなさい」と言われました。そして、「今日はどこまでやるかをメモに書き、達成したらハンコを1つずつ押していきなさい」と教えられました。
もちろん達成できない日もありましたが、計画通りに進まなかった場合は、再び計画を立て直せばいいのです。そうやって親の言いつけをある程度守ってきたので、なんとか医者になれたのかなと思っています(笑)。
ダイエットも勉強と同じです。「やみくもに歩くのではなく、まずはコース設計を立てること」が大切です。
そして、ここで重要なのは、コース設計を複数作るということです。1日何十kmも歩けば当然体重は減りますが、仕事が忙しい日があったり、疲れ度合いも違うので、毎日同じ距離を歩けるとは限りません。また、おさんぽは天候にも左右されます。
「雨が降ってきたから、ショートカットして帰ろう」という日や、「今日は時間もあるし、気分が乗っているから20km歩けそう」という日がありますが、やみくもに歩いていると、自分が何km歩いたかわからなくなってしまいます。
そこでコース設計のバリエーションをたくさん作っておけば、「今日は時間がないので3kmのコースにしよう」とか、「10km歩けると思っていたけど、疲れてきたのでショートカットして8kmのコースに変更しよう」など、途中で計画を変更することもできます。
コース設計をするときは、遊歩道や公園の外周など、キロ数が書いてあるものを目安にしたり、Googleマップでも距離を測定することができます。川沿いの土手を歩いて1番目の橋で折り返すと何km、橋を渡って大回りをすると何kmというように、マップ上で測っておくといいでしょう。
コース設計もダイエットのうち
また、自分でコースを考えるのが面倒な人は、Trail Routerというアプリ(ウェブサイトでも利用可能)なら、5kmや10km、もしくは任意の距離を選択すると、いくつかモデルコースが示されるので、それらをストックしておくのもおすすめです。
頭の中にコースがいくつか入っていれば、その日の調子に合わせて歩くことができます。
「おさんぽ」というと、全行程を歩かないといけないと思っているかもしれませんが、そんなことはありません。歩けるところまで歩いて帰りはバスや電車に乗ったり、おさんぽをする場所まで自転車で行くというのもOKです。
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また、おさんぽコースは平坦である必要はありません。人間の骨格上、登りの傾斜がついているほうが足に負担が少なくなります。
これは単純に、足を上げておろしたときに、登りのほうが速く足を着地できるからです。急すぎると、今度は体を持ち上げないといけないので逆にキツくなりますが、だいたい3度ぐらいの勾配が一番歩きやすいため、私はジムに行くときは、ルームランナーの傾斜を3度に設定しています。
ちょうどよい傾斜がある坂道を探すのは難しいですが、私がおさんぽコースに利用していた伏見稲荷は、鳥居から山門に行くときに傾斜がついていました。
フラットの道を歩いて神社にたどりつき、最後に鳥居から山門へ向かうと、ゆるやかな登り坂で心拍数が上がるので、脳が、気分が高揚したと認識し、ワクワクしてきます。
実はディズニーランドの入り口が登り坂になっているのも、ワクワクする仕掛けの1つと聞いたことがあります。
山門の場合は、帰りは下り坂になりますが、公共交通機関や自転車などを利用したコースの場合は、ところどころに上り坂を設定すると、モチベーションアップにもつながります。
提供元:おさんぽで50kg減の医師が伝授「飽きない歩き方」|東洋経済オンライン