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2023.11.02

「更年期障害」について正しく知っていますか?|疲れやすさやイライラ…「男性の更年期」とは


知っているようで知らない、更年期障害(写真:Ushico/PIXTA)

知っているようで知らない、更年期障害(写真:Ushico/PIXTA)

更年期障害と聞くと、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか? おそらく多くの方が、「40~50代の女性がホルモンバランスの変化によって、イライラしたり疲れやすくなったりすること」と答えられると思います。しかしこのような症状は、実は若い世代や、中年男性にも起こると言われています。今回は、そんな知っているようで知らない、更年期障害についてお伝えできればと思います。

一般的によく知られている、中年女性の更年期障害

まずは一般的によく知られている、中年女性の更年期障害についてお話ししたいと思います。更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた計10年間のことを指します。日本人の平均閉経年齢は50歳と言われているため、具体的に年齢で表せば約45~55歳が更年期にあてはまります。この時期は女性ホルモンが大きく波打つようにゆらぎながら減少するため、さまざまな症状(更年期症状)が起こります。そして、その中でも日常生活に支障をきたすような状態になったものを、更年期障害と呼びます。

症状はホットフラッシュというものが代表的で、これが起きると自律神経の調節がうまくいかずに急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりします。そのほか、めまいや動機、頭痛、肩こり、腰の痛み、冷えやすさといった身体の症状に加え、気分の落ち込みや意欲低下、イライラしやすくなるといった精神的な症状も現れます。

50歳前後の女性は管理職についている方も多く、気分の激しい変動が部下とのトラブルの原因になりうるほか、モチベーションが保てずにご自身の仕事がうまくいかなくなるケースも少なくありません。また先に挙げた症状を、単なる一時的な身体の不調だと思い込んで、更年期障害と気付かれずに放置している方も多くいらっしゃいます。

更年期障害の診断は、ほかの病気でないことを確認したうえでの診断となります。検査はホルモン値測定を含めた血液検査をはじめ子宮・卵巣などの超音波検査や細胞診も行うため、婦人科疾患がないかどうかを同時にチェックすることもできます。月経周期が以前と比べて不規則になり、かつめまいやイラつきなどの症状がある場合は一度、我慢せず早めに産婦人科を受診することをおすすめします。

更年期障害の治療法

更年期障害の治療は、ホルモン(エストロゲン)を補充する方法が一般的です。ホルモン剤は飲み薬、貼り薬などさまざまなタイプがあるためどのタイプの薬剤が良いかは担当の医師とよく相談しましょう。それ以外の治療法としては、冷えやのぼせなどの身体の不調には症状に合わせた漢方薬が、意欲低下や不眠などの精神の不調には抗うつ薬などの向精神薬が効果的とされています。また、ホルモン量の減少だけでなく強いストレスも更年期症状を増悪させる原因となりますので、規則正しい生活や、カウンセリング等による人間関係のトラブル解消も大切な治療のひとつといえるでしょう。

更年期障害は閉経前後の女性に特徴的な疾患ですが、若い世代で更年期に似た症状が出ることがあります。この原因は大きく分けて2つあります。ひとつは内科的な疾患が隠れている場合です。身体のほてりや動悸はバセドウ病(甲状腺機能亢進症)、気分の落ち込みはうつ病の可能性があります。前者は内分泌科、後者はお勤めの方であれば産業医面談などを行ったうえで精神科を受診し、それぞれの疾患に対する治療を行いましょう。

もうひとつは早期閉経と呼ばれる、40歳以下で閉経が起きてしまった場合です。原因は遺伝子的な異常や代謝疾患、自己免疫疾患など多岐にわたります。この状態は早期に妊娠が望めなくなるため、子どもを希望する女性にとっては精神的負担が大きいほか、女性ホルモンが低い状態がほかの方より長く続くため、骨粗しょう症や認知症、心血管疾患のリスクが高くなると言われています。したがって、更年期障害と同様、ホルモン補充療法がこれらの疾患の予防につながり、早期発見・早期治療が身体の健康のために重要といえます。

近年注目されている男性の更年期障害

また近年は、男性の更年期障害も注目されています。医学的には加齢性腺機能低下症またはLOH症候群と呼ばれ、40歳頃から男性ホルモン(テストステロン)が減少することに伴って疲れやすさやイライラ、性機能の低下といった症状が起こり、その多くは女性の更年期症状と共通しています。

診断は内科または泌尿器科でホルモン検査によって行うことができ、最近は男性更年期障害の専門外来クリニックもあります。治療法は基本的に対症療法であり、ホルモン補充療法は症状が重篤である場合に筋肉注射をする場合にしか保険適用がありません。しかしテストステロンが低い状態が続くと糖尿病や肥満骨粗しょう症、心血管疾患のリスクが高まるとの報告もあり、症状が大したことないと放置しているとじわじわとこれらの疾患が進行している場合があるため、対症療法であっても治療が大切です。

このように、ホルモンの変化による症状は、年代・性別を問わず誰にでも起こりうるものです。症状自体も疲れやすい、イライラするといった周囲にネガティブな印象を与えるものが多いですが、先にお伝えしたとおり、医療が助けになる場合も多いためぜひ気軽に近くのクリニックを受診していただければと思います。

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提供元:「更年期障害」について正しく知っていますか?|東洋経済オンライン

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