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2023.10.28

ゴルフで「記憶力UP・健康寿命が延びる」は本当か|5000件超の論文検証などでわかった健康効果


ゴルフのトーナメントの観戦では1日1万歩以上歩くともいわれます。実はゴルフは健康にもいいって知っていましたか?(写真:筆者撮影)

ゴルフのトーナメントの観戦では1日1万歩以上歩くともいわれます。実はゴルフは健康にもいいって知っていましたか?(写真:筆者撮影)

ゴルフは健康によいといわれ、「ゴルファーはゴルフをしていない人より寿命が長い」との報告もあるらしい。

8月下旬、都内で「R&Aジャパンゴルフサミット」が開催された。

主催のR&A(Royal and Ancient Golf Club of St. Andrews)は、スコットランドのセントアンドリューズに本拠地を置く組織で、USGA(United States Golf Association:アメリカゴルフ協会)とともに世界共通のゴルフ規則を制定している。

R&Aのもう1つの重要課題は、ゴルフの普及だ。「ゴルフをアクセスしやすく、魅力的で、取り入れやすいスポーツにして、これからの50年もゴルフを繁栄させるために存在すること」を目指し、活動を進めている。

ゴルフの健康メリットとは?

そんなR&Aが設定したのがこのサミットである。日本ゴルフ協会、ツアー関係者、ゴルフメーカー、ゴルフ場運営会社、メディアなど幅広い分野のメンバー約80人が参加した。

サミットは7つのセッションに分かれていて、その1つが「ゴルフと健康のメリット」だった。実はこの健康こそ、世界のゴルフ界がゴルフの活性化の切り札にしているテーマだ。

ゴルフサミットの様子(写真:筆者撮影)

ゴルフサミットの様子(写真:筆者撮影)

サミットで、R&Aはゴルフにおける健康上のメリットについて、エジンバラ大学のアンドリュー・マリー博士による研究を紹介。ゴルフと健康に関する5000件以上の研究を考察した論文で、メリットについて次のように説明をした。

<ゴルフの健康上のメリット>

■平均すると、ゴルファーは非ゴルファーより5年間ほど長生きする
■ゴルフは40の主要な慢性疾患の予防と治療に役立つ
■メンタルヘルスを改善し、社会的ウェルビーイング(個人や社会のよい状態。健康と同じように日常生活の一要素であり、社会的、経済的、環境的な状況によって決まる) を高める
■ゴルフは筋力とバランスを助け、生活の質を向上させ、有酸素運動を提供する
■通常の18ホールコースでは、ほとんどのプレーヤーは4~5マイル(6~8km) を歩き、最大2000カロリーを消費する(ゴルフカートに乗っていない場合)
■週に少なくとも150分間(1ラウンドは4~5時間、150分はハーフラウンドのおよその時間)ゴルフをする場合は、WHO(世界保健機関)の世界的な運動ガイドラインを満たしている

「記憶力が良い」という健康効果も

また、このセッションでは、東京都健康長寿医療センター理事の鳥羽研二医学博士が、ゴルフをする人は「歩くスポードが速く、骨量が多い」「うつになりにくく、よく眠り、生活の質が高い」「理由付けした記憶力が良く、情報処理能力や実行機能に優れている」などの健康効果があることを発表した。

この、理由付けした記憶力というのは「いくつかの情報を論理的に整理して、関連性のある情報を結びつける能力」をいい、実はゴルフには欠かせない要素の1つだ。

というのも、ゴルフではホールごとに条件が違うため、「このホールは右に池があり、風が左から右に吹いているので、ボールは左側に向かって打ったほうがいい」「グリーンは砲台(高いところ)なので、いつもより飛ぶクラブを持ったほうがいい」といった情報処理が都度、必要になるからだ。

興味深いことに、イギリスのウェールズでは「ゴルフをすると幸福な気持ちになる、心臓に良い、筋力維持に役立つ、平衡感覚の維持に効果的」などのメリットを掲げた訴求キャンペーンを実施したところ、「ゴルフをしたことがない人が、将来的にゴルフをしようとする割合は58%にのぼる」との報告があった。

それだけ、ゴルフと健康のメリットを訴求することで、ゴルフへの関心が高まる、というわけだ。

日本でも、2022年度に日本ゴルフ協会(JGA)が組織の中にゴルフ振興推進本部を立ち上げ、今年から本格的に活動している。その本部であるゴルフと健康部会の今年初のイベントとして、9月の日本シニアオープンの週を「ゴルフ健康週間(9月11日~17日)」とし、さまざまな活動を行った。

このゴルフ健康週間について、JGAの山中博史専務理事に日本シニアオープンの会場の能登カントリークラブでお話を伺った。

なぜこの週にしたのか。

その理由ついて山中氏は、「9月は厚生労働省が『健康増進普及月間』と定め、生活習慣病の特性や運動・食事・禁煙など、個人の生活習慣の改善の重要性について、国民1人ひとりが理解を深め、健康づくりの実践を促進する期間」とした。

JGAの山中博史専務理事(写真:筆者撮影)

JGAの山中博史専務理事(写真:筆者撮影)

そのうえで、「これに合わせ、9月開催の日本シニアオープンの週をゴルフ健康週間とした。シニア選手も元気にプレーしているので、なにかできればよいのではと考えた」と話す。

健康維持のためのゴルフイベント

9月14~17日は能登カントリークラブで「ゴルフで健康寿命をのばそう!プロジェクトin NOTO CC」が開催。16日には「JGA WAG(ウィズ・エイジングゴルフ)スクール1Dayプログラム」が開かれた。

JGA WAGスクール1DAYプログラム(能登カントリークラブ)(写真:JGA提供)

JGA WAGスクール1DAYプログラム(能登カントリークラブ)(写真:JGA提供)

このプログラムは、ゴルフを経験したことのない人でも参加できる健康維持増進のためのゴルフスクールで、頭と体を使って、ゴルフの知識の学習やストレッチ、コースプレーなどを体験する。

これによって、ゴルフは生活習慣病の予防や、精神的な健康も増進させるスポーツであることを体感できるという。ちなみに、このプログラムは、ゴルフ健康週間に合わせて全国24カ所のゴルフ場、1カ所の練習場でも開催されたそうだ。

参加者の女性(50代) は「子育てがひと段落し、30年ぶりにゴルフを再開しようと思い応募した。まわりにゴルフをする人がいないので、仲間づくりにも期待して来た。内容も楽しく気軽にできるので、再開するにはちょうど良い内容だった」と話す。「楽しかった」「ゴルフに触れて健康に良いことを再認識した」などの声も出ていた。

さらに大会期間中には、御朱印ならぬ「ごる印めぐり」と題したスタンプラリーを実施した。シニアオープンの観戦をしながらコース内をめぐり、18カ所の歴代優勝者のスタンプなどを集めれば、商品がもらえる。

「ごる印」スタンプラリーで商品をゲットした参加者(写真:JGA提供)

「ごる印」スタンプラリーで商品をゲットした参加者(写真:JGA提供)

ゴルフ観戦では1日1万歩以上歩くので、観戦を楽しみながら緑の芝生を歩き、心身の健康にもつながる。参加した40代のご夫婦 に聞いてみると、「スタンプを集めながら歩くので、楽しくまわれ、商品もゲットできるのでまた参加したい」と好評だった。

4日間の大会期間中に、シニアオープンを観戦しに来たギャラリーの数は3991人。そのうち814人がスタンプラリーに参加していた。これはギャラリーの2割以上が参加した計算になる。

また、9月15日は「快眠とゴルフと健康長寿」というテーマで、赤坂おだやかクリニックの名誉院長、成井浩司医師のトークショーも開催された。前出の山中氏によると、ゴルフ健康週間は来年も実施するとのことである。

生き生きとゴルフを楽しむシニア

コロナ禍以降、特に若い世代や女性を中心に、新たにゴルフを始めたり再開したりする人が増えてきた。

矢野経済研究所の「コロナ参入・リタイアゴルファー実態調査2022」によると、新規参入ゴルファー38万人、ゴルフ休眠復活ゴルファーが43万人、合わせて81万人がゴルフを始めている。

一方で、日本生産性本部の『レジャー白書 2022』によると、日本人のゴルフ実施率は全体で5.8%しかなく、ゴルフをしない人が大多数である。

また、ゴルフをする人の年代別の構成比は、10代2.1%、20代6.6%、30代9.8%、40代11.4%、50代20.7%、60代21.7%、70代27.7%で、60~70代がゴルフのコア世代といえる。

筆者もゴルフ場で70代以上のゴルファーをよく見かけるが、みんな生き生きと楽しくゴルフを楽しんでいる。姿勢もシャンとしていて、歩き方も若々しい。ゴルフをしているから健康になったというより、健康だからゴルフ場を楽しめているのかもしれない。あるいはその両方だろう。

2019年時点で、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、男性は平均寿命81.41歳に対し健康寿命は72.68歳、女性は同87.45歳に対し同75.38歳だ。

後期高齢者といわれる75歳を過ぎると、健康上の問題が多かれ少なかれ発生しているのが現状である。ただ、先に述べたとおりゴルファーの寿命は未実施者よりも5年長いとのデータもある。

今までゴルフを経験したことがない人も今後ゴルフを始めたり、ゴルフを続けたりすることが、健康寿命を少しでも延ばし、健康的な生活を楽しむことに役立つのではないだろうか。

日本シニアオープンを制した藤田寛之プロ。シニアのツアーに出る資格が得られるのは50歳以上。藤田プロは54歳だ(写真:筆者撮影)

日本シニアオープンを制した藤田寛之プロ。シニアのツアーに出る資格が得られるのは50歳以上。藤田プロは54歳だ(写真:筆者撮影)

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提供元:ゴルフで「記憶力UP・健康寿命が延びる」は本当か|東洋経済オンライン

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