2023.09.26
低気圧で体調が崩れやすい人に見られがちな特徴|自律神経の名医が天気を味方につける方法を伝授
低気圧による不調は、なぜ起こるのでしょうか(写真:アン・デオール/PIXTA)
“天気が悪いと頭が痛い、体が重い、やる気も出ない……、なんとかしたいけど天気が相手だと、防ぎようがない”そんな低気圧不調の症状に悩む人が少なくありません。なぜ、低気圧不調は起こるのか。どういう人がどういうときに症状が出るのか。自律神経の名医と気象予報士が天気を味方につける方法を探った『天気に負けないカラダ大全』から一部抜粋、再構成してお届けします。
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低気圧がきても平気な日とそうじゃない日がある
「頭が痛くなるのは、決まって低気圧の日ばかり」と、気象病や天気痛が一般的になってきた今、低気圧不調に関するこんな会話もよく聞かれるようになりました。
日本の上空を通過する低気圧の数は、なんと年間およそ100個。単純計算で、3~4日に1回は低気圧がくることになります。しかし、年に100回も低気圧によって頭が痛くなったり、体調を崩したりはしないですよね。
なぜ、低気圧がきても平気な日とそうじゃない日があるのでしょう。
低気圧にはパラパラッと弱い雨を降らせて通りすぎるものから、バケツをひっくり返したような大雨を降らせるものまでさまざまあります。体調を悪くさせる要素のひとつは、間違いなく低気圧の強弱なのですが、大雨の日でも案外動けるし気分も落ち込まない、そんな日があるのも事実です。
体調が悪くなる日を深掘りしていくと、大雨で肌寒い日とか、シトシト雨が降り続いてじめっと湿度の高い日など、自分が苦手とする天気には、気圧だけではなく気温や湿度も大いに関係しているのです。
でも、苦手とする天気の日でも、やっぱり、ひどく体調を崩す日とそうでない日があるはず。その理由は、自律神経にあります。
自律神経は体の機能が正常に働くように365日休みなく働いています。しかし、強いストレスを受けたときなどにバランスを崩し、急な変化に対応できなくなることも。人間関係や環境の変化、急激な天気の変化、寒暖差も、自律神経にとっては強いストレスにあたります。
つまり、天気(季節、気圧、気温、湿度)と自律神経のバランスの掛け算で、低気圧不調の有無や強弱が変わってくるのです。
ここで注目したいのが、天気は変えられないけれど、自律神経の働きは自分の心がけ次第で変えられるという点です。自律神経の働きをよくすることができれば、天気などの変化に打たれ強い体を手に入れ、低気圧による不調を最小限に抑えられる可能性がとても高いのです。
自律神経を整えることが、健康につながり、健康な体=低気圧不調に悩まされない体につながる、というわけです。
なぜ、天気によって体調を崩してしまうのか
低気圧不調を招く最大の原因は、気温と気圧の急激な変化です。私たちの体には、気温が上昇しようが南の海上で台風が発達しようが、天候の変化に左右されることなく、体内の環境を一定に保とうとする力(ホメオスタシス)が備わっています。
このホメオスタシスの管理人が、自律神経です。夏でも冬でも、気温に関係なく、体温は約36度に保たれていますよね。これこそが、自律神経の働きです。
暑い夏は汗をいっぱいかいて、体から熱を逃すことで体温を約36度に保ち、寒い冬には血管をギュッと収縮させて、体から熱を逃さないようにして、平熱を保ってくれています。
つまり、気温の変化が大きい日ほど、自律神経はがんばって働いているというわけです。
同様に、気圧の変化にも、体は無意識下で対応しています。気圧について説明すると、気圧とは空気の重さによって押される力(圧力)のこと。日常生活で意識することはほとんどありませんが、私たちの体は常に、約15トンもの圧力を受けています。この圧力をただ受けているだけでは体はぺしゃんこにつぶれてしまうので、外側からかかっている圧力と同じだけの力で、体の内側から押し返しています。
低気圧が接近すると、外側からかかる気圧は下がります。すると、外の環境に呼応するように、内側から押し返す力も下がります。もし、外側と内側の圧力のバランスが崩れたとしたら、その都度、人間の体はしぼんだり膨らんだりすることでしょう。そうならないのは、ホメオスタシスの働きによるもの。これも自律神経が圧力の調整を担っているからなのです。
気温や気圧が緩やかに変化している間は、自律神経も余裕を持って対応できます。しかし、日中の麗らかな春の陽気から一転、夜には10度以上も気温が下がって急激に冷え込むような日や、ゲリラ豪雨のように急に強い雨が降ったとき、気温と気圧は急激に変化します。これが、要注意。
血糖値が乱高下を繰り返すと血管にダメージを与えたり、急上昇と急降下が繰り返されるとインスリンの働きが悪くなって糖尿病になったりすることはよく知られていますよね。
同じように自律神経も乱高下がとっても苦手です。
秋晴れの日に爽快に過ごせる理由
気圧や気温の変化があまりにも急激だと自律神経の働きが追いつかず、それでもどうにか対応しようとがんばって働き続けている間に疲弊してしまい、最終的には体内を一定に保つ調整力もダウンしてしまいます。その結果、頭痛やだるさなどの低気圧不調に悩まされるのです。
思い返してみてください。雲ひとつない青い空が広がる秋晴れの一日。暑すぎず、寒すぎず、屋外でも屋内でも快適に過ごせるような日は、気温や気圧の変化が少ないので自律神経の働きが安定し、心身ともに健やかに過ごせるはずです。青空の清々しさや肌に当たる心地よい風もまた、自律神経の働きを底上げしてくれるので、より一層、快適に過ごせるのです。
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自律神経は、五感からの影響を強く受けます。雨の日に体調を崩しやすいのは、低気圧のせいだけではなく、肌にまとわりつく湿気や不快感、濡れた靴から伝わってくる冷たい感触などがストレスとなり交感神経を過度に働かせてしまうからという側面があることを覚えておきましょう。
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚。五感で受け取った感覚が心地よければ副交感神経が引き上げられ、自律神経のバランスは整いやすくなります。
天気を味方につけるということは、自律神経がよく働く状況を作るということとイコール。
その日の天気によって、いかに五感を不快にさせないか。その視点を持つだけでも低気圧不調を遠ざけることができることでしょう。
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提供元:低気圧で体調が崩れやすい人に見られがちな特徴|東洋経済オンライン