2023.09.21
あきらめない!大人になっても身長は伸ばせる|キーワードは「代謝」「成長ホルモン」「骨格」
鍼灸師・柔道整復師の高林氏は「大人になっても身長を伸ばすことはできる」と断言します。その根拠とは?(写真:kei.channel/PIXTA)
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「170センチの壁」という言葉をご存じでしょうか? これは、税金や社会保険料の関係から、年収が130万円を超えたときの目標収入である「160万円の壁」をもじった造語です。男性にとって身長が160センチ台か170センチ台かはそれほど大きな問題で、身長168〜169センチの男性が「170センチです」と盛っていうことはめずらしくありません。
しかしながら、一般的に身長は成長期を過ぎると止まるといわれています。ということは、すでに成長期を終えて身長が170センチに達していない男性に未来はないのでしょうか?
アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長の高林孝光氏は「大人になっても確実に身長を伸ばすことはできる」と断言します。その理由と方法について、高林氏の著書『身長は伸びる!──子どもはもちろん!大人になっても』より一部抜粋、編集して解説します。
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背が伸びるということは骨が伸びるということ
私たちの体には206個の骨があります。このうち、身長に直接的に関係する骨は、脊椎、大腿骨、脛骨、腓骨です。
成長期の骨の両端には、骨と骨とのつなぎ目に当たる骨端線があります。この骨端線の端から骨が伸びていく部分を骨端軟骨といいます。骨端軟骨の細胞である軟骨芽細胞は、ホルモンの働きや栄養が豊富な血液を受け取ることによって増殖・成長し、層のように積み重なって縦に伸びていくのです。
(『身長は伸びる!──子どもはもちろん!大人になっても』より)
したがって、成長期が終わるまでの間に、ホルモンや血液の循環をよくして、軟骨芽細胞の増殖・成長を促せば、身長は自然に伸びていきます。
成長期が終わりを迎える17〜18歳になると、軟骨芽細胞の働きがしだいに衰え始め、軟らかい軟骨層が硬い骨に変わっていきます。やがて骨端線が閉じて軟骨層がなくなると、骨の成長が止まり、身長はその時点で止まります。
それでは、成長期を終えると、身長がこれ以上伸びることはないのでしょうか。医学的には、それが定説となっていますが、私は3つの理由から「大人になっても身長が伸びる可能性はじゅうぶんにある」と考えています。
大人になっても身長が伸びる3つの可能性
まず1つめの理由は、「骨端線が閉じても、骨全体に散らばっている骨芽細胞の働きによって骨全体がランダムに伸びる」という説があることです。
骨は、軟骨をへて骨に置き変わるものと、骨芽細胞によって直接形成されるものとによって形成されています。したがって、軟骨芽細胞がなくなっても、身長が伸びる可能性はあるのではないかと考えられるのです。
2つめの理由は、「骨が全体的に大きくなることがある」からです。
前述したように、身長に直接的に関係する骨は、脊椎、大腿骨、脛骨、腓骨で、これらが縦に伸びることによって、身長は伸びます。しかし、私たちの体は206個もの骨で構成されています。脊椎、大腿骨、脛骨、腓骨以外のさまざまな骨が、たとえ縦に伸びなくても全体的に大きくなれば、その結果として身長が高くなると考えられます。
3つめの理由は、「骨格の改善で伸長効果が望める」からです。
パソコンやスマホを操作している時間が極端に長い現代人は、慢性的な運動不足のために全身の筋力が不足しています。筋力が不足した状態でパソコンやスマホの画面を見るために前かがみの姿勢を続けていると、頭が前方に傾いて肩も内側に巻く「巻き肩」になります。すると、背中が徐々に丸まってネコ背になります。ネコ背になると、固く萎縮した大臀筋やハムストリングスに引っぱられて、本来は垂直に立っているべき骨盤が後傾して、ネコ背が固定してしまいます。
(『身長は伸びる!──子どもはもちろん!大人になっても』より)
その逆に、骨盤が前傾している人も多くいます。とくに、腹筋や大腿四頭筋が衰えて固く萎縮すると、骨盤がそれらに引っぱられて前傾します。すると、内転筋(ないてんきん)も衰え、ひざが外側に開いてO脚になります。
こうしたネコ背やO脚を柔道整復の手技で改善して、脊椎や脛骨、腓骨が真っすぐ伸びれば、その分、身長は伸びるわけです。
また、骨格を正すということは、骨に付着した筋肉も正すことにつながります。筋肉がしっかりとして大きくなれば、やはりその分、身長は伸びます。
キーワードは「代謝」「成長ホルモン」「骨格」
以上のことから、私は大人になってからも身長を伸ばすキーワードとして「代謝」「成長ホルモン」「骨格」の3つをあげています。
●代謝
前述したように、軟骨芽細胞は、ホルモンの働きや栄養が豊富な血液を受けることによって増殖・成長し、層のように積み重なって縦に伸びていきます。ということは、ホルモンや血液の循環をよくして全身の代謝を促すことが、身長を伸ばすためにはとても重要になります。
これは、軟骨芽細胞に限った話、すなわち、成長期を終える前の子どもに限った話ではありません。すでに成長期を終えた大人の場合も、代謝を促せば全身の関節に関節液がいきわたり、丈夫で大きな骨をつくるのに役立ちます。骨が全体的に大きくなれば、その分、身長も伸びるのは前述したとおりです。
●成長ホルモン
成長ホルモンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンの1つで、文字どおり成長に関する作用と、代謝をコントロールする作用があります。軟骨芽細胞の増殖・成長と大きく関係するホルモンとして有名ですが、大人の骨や筋肉を強くて丈夫にする働きもあり、生涯にわたって必要なホルモンとされています。
したがって、大人も子どもも成長ホルモンの分泌を促すことは、身長を伸ばすうえで欠かすことができません。
●骨格
ゆがんだ骨格を本来の正しい姿に矯正すれば、その分、身長が伸びるのは前述したとおりです。この点についてもう少しくわしくお話ししましょう。
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実は、柔道整復師の世界では、ネコ背やO脚を改善して、その分、身長を高くするのは、よく知られた方法です。即効性があり、その場で身長が1〜2センチ伸びることがめずらしくないため、テレビのバラエティー番組などでも取り上げられることがよくあります。
ただし、その状態を維持するのはきわめてむずかしく、ある程度の時間が経過すると、元の身長に戻ってしまうという欠点がつきまとっていました。
そこで私は、ネコ背やO脚、つまり、脊椎や脛骨・腓骨だけでなく、全身の骨格を矯正し、なおかつその状態を維持できる方法を考案しました。しかも、その方法は、骨格だけでなく、代謝と成長ホルモンにも深くリンクしています。
次回は、そのエクササイズについてくわしく解説します。
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提供元:あきらめない!大人になっても身長は伸ばせる|東洋経済オンライン