2023.09.06
痛みや不調を解消する「こわばり筋ほぐし」の効用|原因を踏まえ最適なほぐし方で体を回復モードに
慢性的な痛みや不調の原因になるこわばり筋。すばやく効き、体を回復モードに変える「こわばり筋ほぐし」を紹介します(写真:EKAKI/PIXTA)
肩や首のこり、腰痛、頭痛などの痛み、生理痛やPMSなどの女性の悩みは、なかなか解消されず、しかも慢性的につらい症状の代表格です。
ベストセラー『「やせたい」なんてひと言もいってないのにやせた1分ねじれ筋のばし』の著者である今村匡子さんは、こうした体の痛みや不調と20年以上向き合い続けることで、その場で症状を軽くし、継続することで症状が出にくい体質に変えるセルフケア「こわばり筋ほぐし」を開発しました。その理論と実践法を1冊にまとめた『大丈夫なふりして生きてる人の体に効く こわばり筋ほぐし』の一部を改変し、第1回の記事に続いてご紹介します。
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つらい痛みや不調の原因部位がわかる
痛みや不調の多くは原因を特定できないケースが散見され、それが治療を難しくしています。私は慢性的な痛みや不調を抱える患者さんたちの筋肉のこわばりやゆるみに着目し、それが症状を起こす原因になっていることを確認してきました。そのこわばり筋は、筋肉や関節に動きに関して専門的な知識がないとなかなか見つけるのが難しいのですが「こわばり筋ほぐし」をお伝えする際には、誰でも見つけられる方法をお伝えしています。
それが「うまくできない動作」です。
高いところにあるものを取る、立ったまま前屈する、イスに腰かけたまま後ろを振り返る、……以前は確かにできたはずのことが、うまくできない。これは体を大きく動かさないことで、どこかの筋肉がこわばり、それが邪魔をして体が動かなくなったということです。
試しに両腕を真上に上げてみてください。これができたら、とても優秀。
来院される方のほとんどは、腕が前のほうにしか上がりません。これは、肩が本来動くはずのところまで動かなくなったからです。肩甲骨と肩甲骨のあいだにある菱形筋や胸の筋肉などが、こわばり筋になっています。
前屈も振り返る動きも、できなかったからといって日常生活で困ることはありません。逆に困らないからこそ、そうした動きができなくなるのですが、どうでもよさそうな動きでも、それができないと、どこかに過労状態のこわばり筋が生じて痛みや不調の原因をつくります。
こうしてできたこわばり筋が日常生活で自然に解消されることは、残念ながらありません。ピンポイントで刺激しないかぎり、こわばった筋肉はこわばったまま。だから痛みや不調が消えないのです。
最短10秒、厳選されたほぐし方で痛みや不調にすぐ効く
こわばり筋は日常生活では自然にほぐれないと申し上げましたが、ではいったい、何をすればいいのでしょうか。
こわばり筋の困ったところの1つが、痛みや不調を抱えた部位に原因があるとはかぎらない点です。たとえば「生理痛がしんどい……」とおっしゃって来院された方の多くは、太ももにある大腿四頭筋がこわばり筋になっていました。たとえ患部とこわばり筋が同じ部位だったとしても、のばすのか、押すのか、引っぱるのか、最適な刺激法を選択しないと、うまくほぐれません。
しかもセルフケアの場合、筋肉や骨、神経や血管などの位置を踏まえて的確に刺激するのはなかなか困難です。もちろん、複雑な動きがあったり準備が必要だったりすると、やる気すら起きないでしょう。
こわばり筋ほぐしの多くが10秒でも痛みや不調にすばやく効くのは、短時間でひとりでもラクにできる、最も効果的な刺激法を見つけ出したからです。痛みや不調でしんどいときは、疲れることやめんどうなこと、時間のかかることなんてできませんよね。そういった患者さんの事情も踏まえて磨き上げたセルフケアが、こわばり筋ほぐしなのです。
来院された方のなかでも、大丈夫なふりをして生きてきた方ほど、症状の詳細を説明できません。おっしゃるのは「肩がこるんです」「腰が痛い」くらい。
しかも長期間患っていたことで、治ることを半ばあきらめていたり否定的な態度だったりします。とくに高齢の方ほど、その傾向にありました。
「治らない」「悪くなる一方」と思い続けて数十年、というような方の体を一瞬で治すのは簡単ではありません。その場では治ったように感じてくださったとしても、体の使い方が変わらなければ100%再発します。そうしてたどり着いた答えが「体は必ず変わる」と、その場で実感いただくことでした。
肩がこるという方で、首の肩甲挙筋がこわばっていることがわかったら、まず「原因は首の肩甲挙筋という筋肉が“こわばり筋”になったからです」とお伝えし、首を左右に回していただきます。
そのときの首をひねる角度を覚えてもらい「首横のばし」を一緒に実践。そうすると肩のこりが緩和されるのは当然ですが、より左右に首が回るようになり首をひねる角度まで変わります。
体を回復モードに変えることで不調が勝手に遠ざかる
この「症状が緩和した」+「できないことができた」には、すごい効果がありました。患者さんの表情が一変してやわらかくなったのを何度も目のあたりにしましたし、多くの方は真剣に体と向き合うようになります。
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そして「これを続けたら必ず体は変わりますよ」と申し上げたときの患者さんの笑顔を見るのが楽しみで、私は20年以上治療家を続けているのかもしれません。
こうして症状をつくった原因を消すと体は回復モードに一変し、痛みや不調が勝手に遠ざかるようになるのです。
8月26日配信の「つねに体が痛い人が知らない『こわばり筋』の恐怖」でも触れたように、肩の真ん中を押さえたまま首を左右に倒す、イスに腰掛け脚を左右に開いて上体を前に倒す、首の後ろ側をのばすといった「こわばり筋ほぐし」をすると、痛みや不調の原因をつくったこわばり筋がその場でほぐれます。
「つねに体が痛い人が知らない『こわばり筋』の恐怖」 ※外部サイトに遷移します
しかも、続けるうちに、こわばり動作が自然に出にくくなるといった体質の変化も起こることが数万人の患者さんをケアするなか確認できているので、ぜひお試しください。
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提供元:痛みや不調を解消する「こわばり筋ほぐし」の効用|東洋経済オンライン