メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2023.08.23

「肉体再生請負人」と呼ばれる男が語る体作りのコツ|間違った姿勢で間違った動き方をするリスク


多くのトップアスリートのトレーナーを務めてきたR-body代表取締役の鈴木岳.さん(撮影:今井康一)

多くのトップアスリートのトレーナーを務めてきたR-body代表取締役の鈴木岳.さん(撮影:今井康一)

この記事の画像を見る(10枚) ※外部サイトに遷移します

人生後半を充実したものにするのに大事なのは、“健康寿命をのばすこと”。そして、“より動けるカラダを作ること”がカギを握る。

健康にまつわる、ありとあらゆる情報や商品が飛び交う中、「大切なのは、カラダの仕組みと本質を捉えることです」と語るのは、オリンピック選手団のトレーナーを、夏季冬季合わせて7回務めている鈴木岳.さんだ。多くのトップアスリートたちをサポートしてきた鈴木さんに、人生100年時代の私たちのカラダの作り方について伺った。

“肉体再生請負人”といわれる理由

「カラダは何歳からでも再生できるし、自分が思い描く通りに動かせるようになります」

鈴木岳.さんは、スポーツ界では知らない人はほとんどいないであろう、有名トレーナーだ。

水泳の北島康介選手、スキーモーグルの里谷多英選手、上村愛子選手、元プロテニスプレイヤー伊達公子さんなど、これまで、数多くのトップアスリートたちのカラダを再生させてきた。そんな経歴から、彼は“肉体再生請負人”とも呼ばれている。

ワシントン州立大学を卒業後に、アメリカでは医療従事者としても認められる、全米公認アスレティックトレーナー(ATC)の資格を取得。帰国後、1998年より全日本スキー連盟専属トレーナーに。その後は、オリンピックにおいても日本の選手団のトレーナーを務めるほか、自らが代表を務める株式会社 R-body では、一般の人たちに最新の科学的データや知見に基づいたコンディショニングサービスを提供している。

アスリートに対し、怪我からの再生はもちろん、怪我をしないカラダ作りと、その競技において高いパフォーマンスが出せることにも焦点を当ててサポートしているという鈴木さん。

「里谷選手や上村選手とはもう20年以上、彼女たちが20歳頃からの長い付き合いです。何度も怪我や痛みを乗り越えて、オリンピックに挑む過程を並走させていただきました。北島選手の場合は、怪我や負傷がきっかけではなく、より高いパフォーマンスが出せるカラダ作りがしたいとお話をいただき、サポートしてきました」

そもそも人はなぜ怪我をしたり、カラダを痛めたりするのか。鈴木さんは「間違った姿勢で間違った動き方をしていることが、その原因になっていることが多い」と語る。

典型的なのは、「昨日、筋トレしたから、肩が痛い」とか「最近、歩くたびに膝が痛くてね」と語るような人。「健康のために運動してカラダを痛めているのでは、本末転倒ではないでしょうか」という鈴木さんの指摘に、耳が痛い人も多いのではないか。

自力で動かせるカラダ、機能するカラダを作る

「今、カラダのために何をしていますか? とお伺いすると、筋トレやストレッチ、マッサージなどとおっしゃる方が多いです。もちろん、どれも良いものですが、正しいやり方かどうか、根本が改善されているかどうかを考えてみてください。筋トレは正しい姿勢で行わないと体を痛める原因にもなります。マッサージは筋肉の張りを取り除くには有効ですが、毎週、マッサージに行かないとカラダが辛いなら、それは根本的な改善になっていないということです」

鈴木さんが経営するR-BODY CONDITIONING ACADEMYの大手町店(撮影:今井康一)

鈴木さんが経営するR-BODY CONDITIONING ACADEMYの大手町店(撮影:今井康一)

鈴木さんが勧め、指導しているのは、カラダの根本的な機能改善。いわば、コンディショニングトレーニングだ。今でこそ、日本でもその思考や方法は浸透し始めているが、鈴木さんはその第一人者だ。

「これはアスリートだけではなく、一般の方にも通じることですが、怪我をしたり痛みを感じた時に、医療機関で治療してもらいますよね。でも、本当は、治ったら終わりじゃない。

きちんと自力で動かせるカラダ、機能するカラダでなければ意味がない。僕らがトレーナーとしてサポートしているのは、この部分です。カラダを痛めてしまう根本的な原因を見つけ出し、正しい動きを身につけてもらうこと」

「たとえば、アキレス腱を痛めていたプロアスリートの根本的な原因を探ったら、実は股関節と胸椎と言われる背骨の部分にありました。長年のカラダの動かし方のクセもあってか、股関節や胸椎の動きが制限されていました。

そこがあまり動かないから、その動きを補填するために、足首や膝を駆使してしまっていて。その結果、膝やアキレス腱を痛めてしまったんです。ですから、病院でアキレス腱の治療を受けてもらいながら、股関節や胸椎をよく動かせるよう、正しい姿勢や動き方を指導させていただきました」

病院などの医療機関はもちろん、マッサージなどの治療院も必要なものだが、最終的には、そこに頼らないカラダ作り、しなやかに動けるカラダ作りをすることが大切だという。

(撮影:今井康一)

(撮影:今井康一)

「アメリカにおいて、アスレティックトレーナー(ATC)は医療従事者として認められ、病院や医療施設とタッグを組んで、治療後のカラダづくりをサポートしていますが、日本ではトレーニング施設と医療施設の連携が強くないことが多いです。本来は、タッグを組んでいくべきだと思います」

怪我をせずにしなやかに動けるカラダを作り、維持するには、やはり、日常的な正しい運動がカギを握る。

何歳でも動けるカラダを作るには

「カラダは自力で動かせることが大事です。人のカラダの関節には、モビリティ(可動性)とスタビリティ(安定性)があります。モビリティは、関節の可動域のこと。一方、スタビリティとは、その可動域の範囲内で、自分で能動的に自由自在に動かせる能力のことです。

モビリティ、つまり、可動域はもちろん大事ですけど、同時に自分でコントロールできる能力、スタビリティを高めなくてはなりません。

モビリティは、受動的な治療でも広げられますけど、自分の脳と神経から指令を出して、自力でカラダを動かすという、スタビリティは運動しないと高まりません」

鈴木さんが国内外で学びを積み重ねて編み出した、機能改善プログラムは、このスタビリティを高めるものである。

「自分の姿勢や体の動かし方のクセを知り、カラダに負担をかけている動きや姿勢に気づき、正しい姿勢や動きを身につけていくことです。アスリートの場合は、競技に必要な動きでベストパフォーマンスを出せるようにお手伝いしますが、一般の方の場合は、日常生活の中で、ベストなパフォーマンスができたら良いですよね」

時代は、ライフパフォーマンスの向上だという鈴木さんは「何歳でも動けるカラダ、人生を楽しめるカラダを作っていただきたい。予防医学的な観点で言えば、やはり、「栄養」「休養」「運動」のクオリティを上げること」と力を込める。

R-BODY CONDITIONING ACADEMY大手町店(撮影:今井康一)

R-BODY CONDITIONING ACADEMY大手町店(撮影:今井康一)

では、私たち一般人は、いったい何から始めれば良いのだろう? プロに頼るにも、近年は、パーソナルトレーニングジムやトレーナーが激増して、玉石混交に。消費者庁に、パーソナルトレーニングについての苦情が数多寄せられていることもニュースになるほどだ。

「信頼できるプロに出会えていない、ジムで適切なトレーニングができない人にとって、ストレッチエクササイズは日常の中で手軽にできる、機能改善方法だと思います。

正しい動きをカラダに身につけていくためにも、まずは正しい姿勢からです。姿勢を整えながら、カラダの凝りや張りを軽減する、肩甲骨のストレッチを2つお伝えしますのでぜひ、試して、習慣にしてみてください」

ストレッチを習慣に

*肩甲骨ストレッチエクササイズ1.

(1) 両腕を90度に曲げて、両サイドに広げる。力いっぱい胸を開き、肩甲骨を引き寄せて3秒キープ。

(写真:R-BODY 提供)

(写真:R-BODY 提供)

(2) 両腕を同じ角度のまま中央に寄せて閉じる。手の甲と甲をくっつけて力を入れて押し合いながら、3秒キープ。何度か繰り返す。

(写真:R-BODY 提供)

(写真:R-BODY 提供)

*肩甲骨ストレッチエクササイズ2.(肩回し)

(1)両手の指先を肩に乗せて、肘を正面に向ける。

(写真:R-BODY 提供)

(写真:R-BODY 提供)

(2) 肘をゆっくり天井に向ける。

(写真:R-BODY 提供)

(写真:R-BODY 提供)

(3) 肘を横に広げる。

(写真:R-BODY 提供)

(写真:R-BODY 提供)

(4) 肘と肘を腰の後ろでくっつけるイメージで下ろす。

(写真:R-BODY 提供)

(写真:R-BODY 提供)

鈴木岳.さん

株式会社R-body 代表取締役 / 博士(スポーツ医学)/ アスレティックトレーナー
ワシントン州立大学を卒業後、全米公認アスレティックトレーナー(ATC)の資格を取得。帰国後、1998年より全日本スキー連盟専属トレーナーとなり、ソルトレイク・トリノ・バンクーバー・ソチオリンピックにてアスリートの活躍を支える。
2003年、ライフパフォーマンスをサポートするコンディショニングカンパニー、株式会社R-bodyを設立。スポーツ医・科学の最前線コンセプトをもとに創設され、アスリートはもちろん一般の方を対象に、予防医学に特化したコンディショニング・トレーニングサービスを提供している。
2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロオリンピックでは日本オリンピック委員会(JOC)本部メディカルスタッフ。東京オリンピック・パラリンピック フィットネスセンターマネージャー / チーフトレーナーを務める。

記事画像

【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

寝ても疲れがとれない人がすべき「3つのこと」

40代で「疲れない体」にみるみる変わる5習慣

医師が警告!「見た目が老ける悪習慣」5大NG

提供元:「肉体再生請負人」と呼ばれる男が語る体作りのコツ|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

50代になったら要注意「足を守る」正しい歩き方|人間の足は50年で「耐用年数」を過ぎるという

50代になったら要注意「足を守る」正しい歩き方|人間の足は50年で「耐用年数」を過ぎるという

筋肉の達人が伝授「脚の疲れ」簡単に解消するコツ|パンパンのふくらはぎはこうやってほぐそう

筋肉の達人が伝授「脚の疲れ」簡単に解消するコツ|パンパンのふくらはぎはこうやってほぐそう

スマホ見過ぎ「頭ガチゴチ族」はこの筋肉をほぐせ|デスクワーカーは必須、頭が超スッキリするワザ

スマホ見過ぎ「頭ガチゴチ族」はこの筋肉をほぐせ|デスクワーカーは必須、頭が超スッキリするワザ

血圧を下げる運動とは〜室内でできる方法やコツも解説〜

血圧を下げる運動とは〜室内でできる方法やコツも解説〜

戻る