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2023.07.14

スマホばっかりの人が「リセット」する簡単な方法|究極のオフライン・セラピー「サウナフルネス」とは?


なぜ「ととのう」と、爽快で幸せな気持ちになるのでしょうか(写真:den-sen/PIXTA)

なぜ「ととのう」と、爽快で幸せな気持ちになるのでしょうか(写真:den-sen/PIXTA)

なにかとストレスの多い時代のなかで、「ウェルビーイング」(well-being)に対する関心が高まり続けている。ご存じのようにそれは、「身体的にも、精神的にも、社会的にもすべて良好で、満たされた状態」にあることを意味する。

身体の健康のみならず、心や人間関係などの包括的な健やかさの追求が、本当の意味での幸せにつながるという考え方だ。

なお、そのことに関連して注目したいのは、『「最新医学エビデンス」と「最高の入浴法」がいっきにわかる!究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』(Carita Harju 著、こばやし あやな 訳、Jari Laukkanen 監修、東洋経済新報社)の著者の主張だ。

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日本でも人気の高いサウナの本当の効果

日本でも人気の高いサウナこそが、ウェルビーイングに大きく貢献できる新習慣だというのである。

たしかに近年は、サウナ浴が健康にも明らかによい効果をもたらすことが、医学研究の分野から報告されている。そこで本書では、サウナで得られる有効な数々の体験を「サウナフルネス」と位置づけ、その効能を読者に提案しようと試みているのだ。

「サウナフルネス」とは、フィンランド・サウナの核心であるロウリュ(蒸気)や熱がもたらす健康効果や温熱療法と、サウナ内で行う身体や感覚器のトレーニングとを組み合わせ、心と身体の両方を包括的にケアするメソッドのことを指します。
 おわかりかと思いますが、「サウナフルネス」は「マインドフルネス」の概念や実践法に、サウナ浴の特性を掛け合わせた考え方です。
 サウナフルネスのトレーニングを積むことで、私たちの人生を豊かにするうえで重要な「あらゆる感覚(五感など)」を研ぎ澄まし、フル活用して、サウナ体験をより深く味わうことができます。
(「はじめに ようこそ! 身体的・精神的・社会的に満たされ、幸せになる『サウナフルネス』へ」より)

しかし、そもそもなぜ現代人にサウナフルネスが有効なのだろうか? ここでは、その点についての著者の考え方を確認してみたい。

記事画像

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さまざまな場面で私たちの聴覚や視覚に訴えてくる外的刺激の量は、睡眠の質の低下、血圧やストレスホルモン値の上昇など、さまざまな形でダメージを与えてくる。とくに脳は、刺激に対応し続けようとすると疲弊してしまうだろう。

にもかかわらず、現代人は1日に約50〜100回メールチェックを行い、約150回スマートフォンを触っているともいわれる。刺激的な情報などにはつい引っぱられてしまいがちだが、そんな状態では活動能力が低下してしまっても、集中力が落ちてしまっても、まったく不思議ではない。

だからこそ、サウナフルネスによって心の落ち着きを維持することが必要になるわけだ。

著者はそれを、「デジタル汚染された現代人を救済するのにぴったりな、究極の『オフライン・セラピー』であると表現している。

人は、「いま私はここにいる」という意識が強まると、リラックスし、心が落ち着いてくるものです。
完全なオフライン環境であるサウナの中で目を閉じると、自分が「いまここにいる」ことを、あらゆる感覚器を通して実感できます。
(149ページより)

すると、ずっと活発な状態にあった思考力が穏やかになり、自分があらゆる責任感や重圧から解き放たれていくのが感じられるのだという。そればかりか、クリエーティブな精神状態が築かれ、世界が輝いて見えるようにさえなるそうだ。だから、サウナ上がりには身も心も爽やかになるのである。

身体が発するメッセージに耳を傾ける

サウナは、忙しい毎日の中でしばしば歩みを止めて、自分自身に「調子はどう?」と尋ねるのに最適な場所です。
サウナに入って自問自答する習慣をもつことで、身体への意識を高め、自分自身をより深く理解できるようになります。
自分の身体のメッセージに耳を澄ませることができれば、心も身体も、自然とよりよい状態になれるでしょう。
これを「ボディ・アウェアネス」(身体意識)といいます。
(150ページより)

現代においてはスマートウォッチのように、心拍や呼吸、睡眠などを計測してくれるツールが存在する。それはそれで便利ではあるが、とはいえそういったデータばかりに気をとられすぎてしまうと、自分の「身体の声」を聴く能力が損なわれてしまう可能性も否定できない。

そういう意味では、「身体の声」に耳を傾けるために、まずはいったん立ち止まり、落ち着くことも忘れるべきではない。

また、デジタル汚染の中で自分の内なる感覚に対する意識は薄れていき、忙しさの中で自分自身と向き合うことを忘れがちになります。
身体意識が弱い人ほど、
 「自分の人生は幸せなのだろうか?」
 「なんとなく不安だなあ、うつなのかもしれない」
 などと、漠然と捉えがちです。
 ですが、身体意識をもっている人なら、どんな感情がどこから湧いてくるのか、具体的に自身の身体に問いかけることができます。
(151ページより)

いわば「疲れているのでは?」「お腹が空いているのでは?」「寒いのでは?」「のどが渇いているのでは?」など、つねに自問できるような精神的余裕を持つが必要だということ。

デジタルツールに追いかけまくられていると、そんな当たり前の余裕さえ失ってしまいがちではあるので、改めて意識しておく必要はあるかもしれない。

「五感」のすべてが関わっている

いうまでもなく、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」からなる「五感」は、人間が持っている「あらゆる感覚」の代表格。他にも「平衡感覚」「固有感覚」「痛覚」「冷覚」「温覚」などさまざまな体性感覚が備わっており、それぞれが重要な役割を果たしている。

感覚自体は脳で生まれるもので、刺激に対し、それぞれの感覚器を介して反応が起こることになる。私たちはそうした感覚情報を頼りに、自分自身や自分を取り囲む世界について認知していくわけだ。

ここで注目すべきは、著者が指摘する「五感」とサウナ体験との関係である。

充実したサウナ体験には「五感」のすべてが関わっています。
周囲の自然世界の色彩や美しさを見つめ、自然の音を聴き、肌で熱を感じ、木の匂いを嗅ぎ、そして体全体で心地よさを味わう……。
(152ページより)

そうした感覚体験の充実度は、自分自身で鍛えることもできるという。慣れないうちはドキドキしたり、恐怖すら感じるかもしれないが、つまるところ慣れの問題なのだ。つまり「あらゆる感覚でサウナを楽しむ」ようになるには、まずサウナ自体に徐々に慣れていくことが大切だということ。

このため、サウナ初体験の人は、サウナに精通していて、しかも初心者の反応を見ながらペースを合わせられる人と一緒にサウナに入るといいでしょう。
サウナガイドを務める人は、急かすことなく、サウナ初心者が自分の心の声に耳を傾けながらサウナを楽しめるよう、導いてあげるようにしましょう。
(153ページより)

当然の話ではあるが、サウナ浴に向けての準備、すなわち「環境づくり」も見逃すべきではないだろう。だが、どのような環境が、サウナ体験を、感覚を駆使できる新鮮な成功体験へと導いてくれるのだろう? このことについて、著者は次のように述べている。

まず、サウナに入る前には、感覚器を休ませておきましょう。
自然の中へジョギングに行ったりして、あとのサウナ・セッションに備え、あらゆる感覚器をチューニングしておくのです。
サウナを温める準備や散歩も、感覚器の調整作業の一部です。前もって精神統一をすることも、充実したサウナ時間にいい効果をもたらします。
十分に感覚器と休める時間がなくても、しばし動きを止めて、目を閉じ、10を数えてみましょう。
忙しさや心配事から、抜け出すことができるのではないでしょうか?
(154ページより)

なお、満腹状態でサウナに入るのは避けるべきだそう。サウナの前は軽食程度にしておき、500ミリリットルほどの水をゆっくり飲んでおくといいようだ。

「スメルスケープ」と「サウンドスケープ」とは?

フィンランド人のサウナ体験について研究を続けている民俗学者のラウラ・セースメリによれば、サウナ体験において、とくに「スメルスケープ」(嗅覚的観点)と「サウンドスケープ」(聴覚的観点)が重要なのだそうだ。それらが、そのときの体験の印象をあとに残す要素となりうるというのがその理由である。

嗅覚や聴覚を重視するサウナ体験では、サウナ室の照度を落とすことが重要です。そこで感じる音や匂いに、より意識を集中させることができるからです。
あるいは、もし視覚も重視する場合、サウナ室内の構成要素だけでなく、窓から素敵な景色が見えるような好立地にサウナがあるかどうかもポイントになります。
(155ページより)

だとすればなおさら、サウナにおける「体験」の重要性にも納得できる。個人的には、サウナについて「ととのう」ということばを使いたがる感覚があまり好きではないのだが、とはいえ体験によって「ととのう=心身ともに満たされた状態になる」のであれば、それをどうこういう必要もないのかもしれない。

記事画像

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高円寺の「銭湯」に20~30代女子が通い詰める訳

「サウナ好きの独身男性」が失い続けているもの

幸福な国「フィンランド」と日本の決定的な差

提供元:スマホばっかりの人が「リセット」する簡単な方法|東洋経済オンライン

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