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2023.07.07

月額3278円のライザップ「chocoZAP」安さの理由|「無人24時間営業」店舗数572店、会員数55万人に


通勤途中や仕事の合間など、スキマ時間に利用できる「コンビニジム」が増えている。写真は2022年7月にサービススタートした「chocoZAP」の初台店。着替えや靴の履き替えは不要(編集部撮影)

通勤途中や仕事の合間など、スキマ時間に利用できる「コンビニジム」が増えている。写真は2022年7月にサービススタートした「chocoZAP」の初台店。着替えや靴の履き替えは不要(編集部撮影)

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休憩時間や帰宅途中に、ちょっと立ち寄って筋トレをする……。その名も「コンビニジム」が増えている。

筋トレマシンやエアロバイクなどを備えたジム以外にも、プールやスタジオを併設する総合型のスポーツクラブに対して、コンビニジムはジム機能に特化し、アクセスのよい立地に省スペースで展開。また24時間営業で無人のところも多い。何より、従来月額1万円近くの料金が、コンビニジムは5000円を切るなど、低価格なのが大きな特徴だ。

増加の背景としては、コロナ禍により家に閉じこもりがちな生活スタイルに切り替わり、運動不足を実感する人が増えたことが挙げられる。健康のために運動習慣を取り入れたいというニーズが高まっているのだ。

そうしたニーズに、「通いやすさ」を付加価値としたコンビニジムがぴったりとマッチしたのだ。

RIZAPの強み「寄り添い」をDXで

とくに勢力を伸ばしているのが、RIZAPグループが運営する「chocoZAP(チョコザップ)」だ。RIZAPと言えばパーソナルトレーナー方式で会費も高額なフィットネスクラブだが、chocoZAPは無人24時間方式、月額3278円(税込み)。「ちょこっと」を表す指をモチーフにしたロゴもカジュアルで、黒に金文字のゴージャスなRIZAPとは正反対の印象だ。

2022年の7月にスタート後、2023年5月には店舗数572店、会員数55万人まで成長(5月15日開催の決算説明会資料より)してきた。

フィットネスクラブ大手としては、カーブス(店舗数1947店、会員約75万人)、エニタイムフィットネス(店舗数約1000店、会員約70万人)などが挙げられるが、それに迫る規模となっているのだ。

chocoZAPスタートの背景を、RIZAPグループ、取締役の鎌谷賢之氏は次のように説明する。

「以前から、RIZAPの『結果にコミットする』メソッドを、1対1のパーソナルジムのサービスに留めずに、より多くの方にお届けする方法を検討してきた。そこに加えて、コロナ禍の中で、お客様が安心して安全に通える24時間ジムが実現できないかという検討も始まった。これらの要素を融合して、RIZAPの強みである『寄り添い』をDXで実現する新規事業開発に着手したのがchocoZAP誕生のきっかけ」(鎌谷氏)

2010年にエニタイムフィットネスが上陸して以降、市場を拡大してきた24時間ジム。コロナ禍という厳しい時期に敢えて参入し、勝負を挑んだわけだ。時流に逆らうことで大きな勝ちを狙う「逆張り」の発想である。

セキュリティ性確保のためにQRコードによる入退室管理を行うほか、AIカメラを死角ができないように設置(編集部撮影)

セキュリティ性確保のためにQRコードによる入退室管理を行うほか、AIカメラを死角ができないように設置(編集部撮影)

そのための武器となったのがDXだ。入退室管理や、AI、監視センターによる24時間管理が可能となったほか、アプリによるライフログや体組成のデータに基づく、個々の会員への最適運動提案などを行う。24時間無人化・コストダウンと、セキュリティ確保やユーザーサポートの双方を実現させたわけだ。

さらに同社のビジネスモデルで画期的だったのが、初心者をターゲットにした、サービスの絞り込みだ。併せて、フィットネスジムに求められる価値を捉え直した。

「お客様が大きな価値を感じるのが、『利用したいと思ったときに利用できる』こと。これを実現できるようDXや出店計画を進めた」(鎌谷氏)

例えば無人でトレーナー不在、スペースも狭くプールやスタジオなどの設備もないコンビニジムは、大型施設に比べれば簡略化、サービス低下しているとも捉えられる。

「1日5分のトレーニング」を推奨

しかしchocoZAPでは、「タイパ」「コスパ」「ノーストレス」という3つの要素に価値を置き、「通いやすさ」を追求。この視点でサービスをそぎ落とした結果、ユーザーにとってのサービス向上につながった。

まずはタイパだ。chocoZAPの推奨は「1日5分のトレーニング」で、5〜10分程度、仕事用の服でもできるぐらいの軽い運動を想定。ロッカールームやシャワー室も整備していない(着替え用の個室はあり)。靴の履き替えも不要。つまり、運動以外に時間を使わなくて済むわけだ。実際の使用時間は入室から退室まで平均30分ほどだという。

次にコスパ。月額料金を3278円と相場から大きく下げて設定。無人化、設備の簡易化などでコストを下げながら、会員数を増やすことにより採算を確保する戦略だ。

混雑状況の確認、セルフエステルーム等の予約、マシンの使用方法の確認など、すべてスマートフォンの専用アプリで行う(画像:RIZAP)

混雑状況の確認、セルフエステルーム等の予約、マシンの使用方法の確認など、すべてスマートフォンの専用アプリで行う(画像:RIZAP)

「ノーストレス」には2つある。1つが待ち時間のストレス。

通常のジムなら身体を動かす時間に加え、着替え、シャワーをあわせて2〜3時間は滞在する。混んでいればマシンや更衣室、シャワーなど、都度、待ち時間が生じることも多い。

chocoZAPは平均利用時間が30分なので、「回転率」がよい。またユーザーはアプリで事前に混雑情報がわかるので、空いているジムを選んで行ける。これにより、マシンがあくのを待つこともほとんどなくなる。

スタート時からコンビニのドミナント方式のように、路線に沿って1〜2k㎡に1店の店舗網を広げる形で展開してきたそうだ。つまり1駅ごとに店舗があるので、ユーザーの選択肢もそれだけ広がるわけだ。

もう1つが、初心者ゆえのストレス。やせたい、運動不足を解消したいなどの人にとって、「がっつり身体を鍛えたい人」「筋トレマニア」と並んでトレーニングをするのは気後れしてしまうという心理がある。

chocoZAP初台店の店内。初心者向きのマシン9種類、セルフエステ・脱毛ルームを各4室、ゴルフ練習用スペースを整備(編集部撮影)

chocoZAP初台店の店内。初心者向きのマシン9種類、セルフエステ・脱毛ルームを各4室、ゴルフ練習用スペースを整備(編集部撮影)

chocoZAPでは初心者向けを徹底し、あえて扱いの簡単なトレーニングマシンのみでジムを構成している。筋トレ上級者にとってはいわば「物足りないジム」。これにより筋トレ上級者が廃除された空間だからこそ、初心者が安心してトレーニングに集中できるわけだ。

「日本の運動初心者と言われる人が1億人。そのうちシニア、女性がそれぞれ3600万人だ。chocoZAPの対象はこれらの人々で、運動上級者の方は対象外。日本のフィットネス人口は国民の3%ぐらいと言われており、chocoZAPが対象とするのは残りの97%の方々」(鎌谷氏)

また、扱いやすいマシンに限っているのには、安全上の理由もある。24時間無人のため、マシンが壊れたり、扱いを間違えたりすることによる事故に配慮する必要があるのだ。

さらに、多店舗展開のうえで、マシンの種類が多ければ多いほど高コスト構造となる。種類を限ることでコストも抑えられるという、企業側のメリットもある。

運動初心者1億人という市場規模があるとは言え、このように思い切ったビジネスモデルを展開しているchocoZAP。そのビジネスモデルを構築するにあたり根拠としたのが、2021年10月から8カ月にわたって行ったテストマーケティングだ。

「500種類以上のチラシを用意し、どういうサービスを打ち出すとお客様が魅力に感じるかというデータをとって徹底的に検証を重ねた」(鎌谷氏)

エステマシンと脱毛マシンも使える

こうしてつくられたビジネスモデルの中には、ジムとしては意外なサービスも含まれている。例えば一部の店舗における、セルフエステマシン、セルフ脱毛マシンの整備だ。

セルフ脱毛ルームの中。初台店にはセルフエステ・脱毛ルームが各4室、計8室ある(編集部撮影)

セルフ脱毛ルームの中。初台店にはセルフエステ・脱毛ルームが各4室、計8室ある(編集部撮影)

「運動初心者の方、とくに女性には、本格的な運動はしたことがないけれど、美容には関心がある方が多い。そうした方に向けたサービス」(鎌谷氏)

エステや脱毛マシンは個室に備えられており、事前にアプリから予約して利用する。とはいえ、多くの人が使う施設の中にあるので落ち着かないのではないかと筆者としては感じるが、目新しさもあってか、利用はされているようだ。また男性の利用者も多いというから、これはこれで新たなニーズを掘り起こしたのかもしれない。

作戦が功を奏し、前述のようにスタート1年で600店舗弱、55万人を集めてきた。さらに具体的には公表していないものの、継続率がよいという。

「フィットネス業界では新規加入者のうち56%が年内に退会するというデータがあるが、chocoZAPの場合はそれより低く、かなり満足いただけていると見ている」(鎌谷氏)

急成長の理由としてもう一つ挙げられるのが、自社による直営展開だ。フィットネス業界は飲食業界と同様、FC展開をしているブランドが多い。直営、FC、それぞれにメリットデメリットがあるが、chocoZAPでは店舗運営の機動性、収益性という見地から直営店方式を採用。

デメリットはランニングコストや撤退コストを自社で抱えなければならないことだが、内製化、機動性の向上でコストを抑えカバーするという。店舗スペースも、期間を定めずいつでも解約可能な条件で賃貸している。成績が悪い店舗についてはいつでも撤退できる。

自社運営で投資が大きくなる分、集客の状況などに合わせ小刻みに投資、抑制を行いリスクをコントロールしていく狙いだ。

RIZAPグループが5月15日に発表した2023年3月期の決算によると、売り上げは1605億1900万円と前期比0.3%の減。chocoZAPの収益が37億円程度に対し、他事業の撤退などによる減収が上回った。

またchocoZAPの事業に大きく投資しており、45億500万円の営業損失を計上、また2024年3月期も45億円の営業損失を見込む。2024年以降を利益成長フェーズと位置づけており、2026年3月期にchocoZAP2000店舗、営業利益300億円を目標としている。

今後の予定は?

今回、フィットネスジムとしてはかなり先鋭的な、chocoZAPのビジネスモデルを紹介してきた。しかし同社によると、chocoZAPは今後も変化の可能性が大きそうだ。鎌谷氏も、「chocoZAPのビジネスモデルはまだ進化していく」と説明する。

というのも、現時点でのchocoZAPの形に汎用性があり、さまざまなニーズに展開可能だからだ。鎌谷氏によると、過去30年でさまざまなサービスが利用可能となったコンビニエンスストアのように、ヘルスケアや美容関連を中心に多彩なサービスを加えていく予定だそうだ。

例えば出店場所も、観光地、空港、バスターミナルなどいろいろと考えられる。出張途中や飛行機の乗り換え時間に運動したいというニーズはありそうだ。また商店街の空き店舗、廃校や官公庁など、空きスペースをジムに活用することで、地域活性化も見込めるかもしれない。実際、官民連携のchocoZAPを31自治体でスタートさせている。

運動というと、経済的にも余裕があり、強い意思や目標意識がある人のみが継続できる習慣、趣味というイメージがあった。しかし「コンビニジム」というお手軽な響きのジムの台頭により、フィットネスのハードルが大きく下がったことは間違いない。

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