2023.06.14
食卓充実、味覚を新鮮にする「副菜2品」すぐ作る技|浅漬風サラダとにんにくの芽・明太マヨあえ
「キャベツの浅漬サラダ」(左)と「にんにくの芽の明太子マヨネーズ」(右)
在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。
今回は、作れるようになると食卓が充実する「キャベツの浅漬サラダ」と「にんにくの芽の明太子マヨネーズ」です。
『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』 ※外部サイトに遷移します
野菜に塩を振るとしんなりする理由
野菜料理の副菜が自由に作れるようになると、毎日の食事は充実します。今回、ご紹介するのはキャベツを使った浅漬風のサラダ。毎日のおかずの横にこういうちょっとした箸休めがあると味覚が新鮮になりますし、カレーライスの横に添えるのもおすすめです。
作り方は簡単でキャベツときゅうりを刻んでから塩を振り、風味のポイントとして「生姜」を加えること。レシピには「キャベツ1/4個」「きゅうり1本」と書きましたが、大きさには個体差があります。味のブレをなくすには計量するのがいちばんです。キャベツときゅうりの重量を量り、その2%の重さの塩を加えて、しんなりさせます。
野菜に塩を振るとしんなりするのはなぜでしょうか? これには浸透圧が関係しています。浸透圧とは異なる濃度の液体が同じ濃度になろうとする力のことで、この場合は外側の高い塩分濃度を薄めようと、野菜の細胞から出てきた水分によって、細胞壁や細胞膜が壊れるからです。
キャベツの浅漬サラダの材料
キャベツ 1/4玉(150g)
きゅうり 1本
新生姜 20g
塩 キャベツ+きゅうりの重量の2%
さて、材料の紹介です。今の時期に出回る新生姜を使いましたが、通常の生姜でももちろんかまいません。分量も好みで増やしてもOKです。新生姜は貯蔵されてない生姜のこと。水分が多いため風味がマイルドで、爽やかな香りも特徴です。
生姜は水に漬けた状態で冷蔵保存すると長持ちします
キャベツの千切りの基本的な方法をご紹介します。ボウルにためた水で振り洗いし、虫食いの穴がないかを確認してください。もしも、虫食いの穴があった場合は寒さから逃れるために虫が内側に潜んでいる可能性があるので、さらに葉を分け、よく洗って除去しましょう。
確認が済んだらキャベツの芯を取り除きます。
芯は薄く切って加熱する料理(例えば、みそ汁)に使いましょう
中心のやわらかい部分と外側に分けます。
キャベツが大きい場合はさらに3つくらいに分けてもいいでしょう
外側の葉を両手で押さえるようにして、平らに伸ばします。
慣れてきたらこの工程は省略することもできます
葉脈を断ち切るように千切りにしていきます。千切りキャベツとして生食する場合は冷水に1〜2分さらし、水気を切ってから用います。冒頭で浸透圧について触れましたが、野菜の細胞の濃度は塩分濃度で換算すると0.85%程度です。真水にさらすと濃い液体を薄めようとする力が働き、キャベツが水を吸うので、シャキシャキした食感になります。
包丁は押すか引いて、ゆっくりと幅を揃えるようにして切ります
今回は包丁で切りましたが、スライサーを使ってもかまいません。
きゅうりを小口切りにして、ボウルに入れます。
スライサーで手を傷つけないように注意してください
生姜の千切りを加え、キャベツ+きゅうりの重量の2%の塩(今回は250gだったので5gの塩)を加えます。塩の量は0.85%以上あればよく、1%〜2%の範囲で、好みで調整できますが、塩が多いほど早くできます。一方、塩の量が多すぎるとしょっぱくなりすぎるので、その場合は水で表面を洗うなど調整する必要が出てきます。
生姜の風味は皮に近いほど強いので、皮ごと千切りにしましょう
全体をさっくりとあえ、5分放置します。
このとき力強く揉む必要はありません
5分経つと野菜がしんなりしているので、両手で絞ります。絞ったキャベツを味見して塩気を強く感じた場合は50mlほどの水を足してから絞ると表面の塩気が洗い流されることで、調整できます。
調理用のニトリル手袋をすると作業が楽です
出来上がり。キャベツ、きゅうり、新生姜で作りましたが、理屈さえわかればカブ、にんじん、大根など生食に適した野菜であれば何でも応用できます。冷蔵庫に余っている野菜があれば利用するのがいいでしょう。
こんもりと盛るのがコツです
今日はもう一品。今が旬の「にんにくの芽」を使った副菜をご紹介します。旬とは言いましたが、実はにんにくの芽は中国産であれば通年流通しています。ただ、鮮度で味が大きく違ってくるので、道の駅や通販などで国産のにんにくの芽を見つけたら、ぜひ使ってみてください。
にんにくの芽の明太子マヨネーズの材料
にんにくの芽 80g〜90g
明太子 15g
マヨネーズ 15g
塩 6g
明太子はカットされたものが安価に流通しています
明太子マヨネーズを作ります。
作り方は簡単でマヨネーズと明太子を同量ずつ混ぜるだけです。フライドポテトやゆでジャガイモ、ゆでブロッコリーなどにもよく合います。
薄皮は気にせず混ぜ込んでください
水600mlに塩6gを入れて沸かしたところに4cm長さに切ったにんにくの芽をゆでていきます。加熱時間の目安は3分。
根に近い白っぽい部分は硬いので先に入れるといいでしょう
塩を入れることで細胞と細胞をつないでいるペクチンが溶けやすくなり、早く火が通ります。
少し歯ごたえを残すゆで加減がポイント
冷水にとって冷やしましょう。冷やすことで加熱が止まり、歯ごたえを残すことができます。
水温が高い夏場などは水に氷を1〜2個入れておくといいでしょう
これはオプションで、根本に近い部分は繊維質が強いので、ゆで上がった後、皮をむくと見違えるほどおいしくなります。包丁で引っ掛けるようにして、引っ張れば簡単にむけます。
非常に手間がかかるのでおすすめはしませんが、皮をむいたにんにくの芽を食べると、次からはむきたくなるかもしれません。その場合は4cm長さに切らずに長い状態でゆでて、皮をむいてから切りそろえたほうが効率的です。
慣れてくると楽しい作業です
水気を切ったにんにくの芽を明太子マヨネーズであえましょう。
さっくりとあえます
出来上がり。明太子のおいしさがあるので簡単に作れて、ビールのつまみに最適な料理です。
にんにくの芽のようなスーパーでもあまり目立たない野菜はふだん手に取らないかもしれません。しかし、新しい食材にトライすると意外なおいしさに出会えます。これも料理の楽しみの1つです。
好みでレモン汁を少し加えて酸味をつけても
(写真はすべて筆者撮影)
これまでに紹介した料理の記事 ※外部サイトに遷移します
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:食卓充実、味覚を新鮮にする「副菜2品」すぐ作る技|東洋経済オンライン