2023.05.29
ムダに怒らない人になる「心の持ち方」のコツ3選|「理想」が高すぎると怒りを感じやすくなる
怒りの裏には、怒りの基となった感情が潜んでいるそうです。アンガーマネジメントの重要ポイントを紹介します(画像:[図解]『アンガーマネジメント超入門 「怒り」が消える心のトレーニング(特装版)』
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アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれた怒りの感情と上手に付き合うための“心のトレーニング"のことです。「史上最高のテニスプレーヤー」と呼ばれるロジャー・フェデラー選手が取り入れて、大幅に成績を伸ばしたことでも知られています。
アメリカでアンガーマネジメントを学び、日本に導入した第一人者・安藤俊介氏の著書『[図解]アンガーマネジメント超入門 「怒り」が消える心のトレーニング(特装版)』より一部を抜粋し再構成のうえ、ムダに怒らない人になるの心の持ち方を解説します。
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■一次感情に目を向けると建設的に解決できます
(画像:[図解]『アンガーマネジメント超入門 「怒り」が消える心のトレーニング(特装版)』
怒りは二次感情
夫婦ゲンカなどで「あなたは私の気持ちを理解してくれない!」などというセリフが登場することがあります。言葉に出さなくてもそういう気持ちになった経験を持つ人もいるでしょう。マンガもこのパターンです。しかし実は、「自分の気持ちをわかってくれない」と思っている本人も、自分の本当の気持ちを理解していなかったりします。
というのも、怒りは二次感情であり、その裏には一次感情が潜んでいるからです。
コップをイメージしてください。怒りはちょうどコップからあふれ出た水のような存在です。コップには悲しい、つらい、苦しい、寂しい、不安などマイナスの一次感情がたまっています。一次感情で心のコップがいっぱいになると、怒りとなってあふれてしまうのです。
前のページのマンガの奥さんの一次感情は「不安」でしょう。旦那さんの健康を心配する気持ちや、お酒で失敗してしまう可能性、家庭が壊れてしまうのではないかという不安がたまって、その結果「怒り」となって表現されるのです。怒りの裏にある不安に対処しなければ、いつまでも怒りはあふれ続けることになるのです。
一次感情の解決が怒りを収束させる
あるパソコンメーカーに寄せられたクレームについて相談を受けたことがあります。
メーカーは故障したパソコンを修理したのですが、お客様の怒りがおさまらないというのです。メーカー側は「ちゃんと修理したのに」と頭を抱えていましたが、お客様の言葉をよくよく聞いてみると、「パソコンが壊れたせいで、恥をかいた」ことを訴えられています。
つまりお客様の一次感情は「恥をかいてつらかった」であって、その気持ちを理解してほしかったわけです。
怒りを感じたとき、また相手を怒らせてしまったときに大切なのは、「怒りの奥にある一次感情は何か」を探ることです。
怒りそのものに対処するのではなく、一次感情に対処し、解決に導くほうが効果的です。つらさ、悲しさ、不安などに向き合って、その解決に向けて話し合い、行動すると、自然と怒りがおさまっていきます。
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■理想が高すぎると怒りを感じやすくなります
(画像:[図解]『アンガーマネジメント超入門 「怒り」が消える心のトレーニング(特装版)』
私たちは誰しも「理想の自分像」を持っています。理想のビジネスパーソン、理想の上司、理想の妻(夫)、理想の母(父)、理想の娘(息子)、理想の住まい、理想の体型など、言い出したらきりがありません。自分が置かれた状況ごとに理想の自分像があるのではないでしょうか。
なりたい自分像があるのは、決して悪いことではありません。理想を求めて努力を重ねるのは、仕事の姿勢としても生き方としてもすばらしいものです。
しかし、いつもその理想の姿でいられるとは限らないことを理解する必要があります。
納期があるのに納得できるクオリティに達するまで何度も仕事をやり直すわけにはいきませんし、絶対にミスをしない人もいません。体調が悪い日もあれば、忙しくて部屋の掃除が行き届かないときもあるでしょう。
完璧主義は自分も周りも苦しめる
完璧主義の人は、理想の自分を追い求め、しかし理想になりきれないときに自分に失望してしまいます。
「自分はいい母親ではない」
「仕事も中途半端だ」
思い悩み、イライラして周りの人に当たってしまうなど悪循環に陥ることもあります。
さらに完璧主義のまずい点は、理想の姿を他人にも求めることです。他人が自分の期待に応えられなかったとき、「どうしてこれくらいのことができないのか」と怒りを感じてしまいがち。相手を追い詰めるので、人間関係を悪化させてしまいます。
つまり、完璧主義は自分も周りも苦しめるという結果を招いてしまうわけです。
ミスのない仕事も、いい夫や妻、親であろうとする姿勢も大切であることは間違いありません。理想の姿を思い描き、努力を重ねることはポジティブに生きるための秘訣です。
ただし、理想の姿があまりにも現実とかけ離れると、怒りを感じやすくなってしまいます。完璧主義を捨てて、“現実に立脚した理想の姿”を目指しましょう。本当のポジティブシンキングは、現実に根ざしたものなのです。
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■怒ってしまった自分を受け入れるのもアンガーマネジメントです
(画像:[図解]『アンガーマネジメント超入門 「怒り」が消える心のトレーニング(特装版)』
怒りの攻撃性の3方向──他人・ 物・自分
アンガーマネジメントは怒ること自体を否定していません。怒りは自然な感情であり、モチベーションにすることもできると考えています。
問題は、怒りの攻撃性です。攻撃は1、他人 2、物 3、自分 の3方向に向かいます。
1、他人を攻撃する
他人を攻撃すると人間関係を悪化させてしまいます。自分の立場や気持ちを伝えることは大切ですが、あまりに攻撃的になると、相手も自分も疲弊するばかりです。
2、物にあたる
「物にあたるのは誰も傷つかないから問題ない」と感じるかもしれませんが、そうではありません。物にあたると怒りは心に定着してしまうからです。癖になるだけではなく、どんどんエスカレートしがちなので、おすすめできません。
3、自分を攻撃する
失敗した自分を責めるのは攻撃を自分に向けているのと同じことです。罪悪感を募らせ、気持ちがふさぎ込んでしまいますから、これも避けるべきです。
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とくにアンガーマネジメントを始めた当初は「他人を怒ってしまった」「やっぱり自分は怒りっぽい」と自分を責めてしまいがちです。しかし、怒りをコントロールしようとして、うまくいかずに怒っていては悪循環です。
怒ってしまった自分を否定するのではなく、怒りっぽい事実を認め、じっくりマネジメントしていきましょう。自分を受け入れるのもアンガーマネジメントです。
アンガーマネジメントでは怒ることを一概に悪いことと捉えません。むしろ、「怒るべきことは怒ったほうがよい」という立場を取っています。
では、「怒るべきこと」はどう判断すればよいでしょうか。判断基準は「後悔するかどうか」です。
怒ったほうがよいのは「怒らないと後悔すること」、怒るべきでないのは「怒ったら後悔すること」です。後で「やっぱり言えばよかった」と後悔するなら、怒ったほうがよいと言えます。
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提供元:ムダに怒らない人になる「心の持ち方」のコツ3選|東洋経済オンライン