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2023.03.17

誤解多し「男性ホルモン」皆が知らない重要な働き|男も女も不可欠「死ぬまで元気」のカギを握る


男女の更年期以降の健康のカギを握る「テストステロン」とは?(写真:Luce/PIXTA)

男女の更年期以降の健康のカギを握る「テストステロン」とは?(写真:Luce/PIXTA)

人間には人生に2度、避けては通れないホルモンの分泌量が大きく変わる時期があります。1度目は思春期。そして2度目は更年期。

更年期というと女性のものというイメージがあるかもしれませんが、実は男性の6人に1人は更年期障害になるといわれています。男性の場合、女性の閉経のような節目がないため、自分では気づきづらいのがネックなのだとか。

年を重ねるにつれ、物覚えが悪くなる、ちょっとしたことで不安を覚えるようになる。これらはすべて、男性ホルモンのテストステロンが少なくなっているからだと、女性医療クリニック・LUNAグループ理事長、医学博士の関口由紀さんは言います。『性ホルモンで乗り越える 男と女の更年期〜知っておきたい驚異のテストステロンパワー』を上梓した関口さんに、本書を抜粋しながら、男女別の更年期障害への対処法について3回にわたって語っていただきました。

『性ホルモンで乗り越える 男と女の更年期〜知っておきたい驚異のテストステロンパワー』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

元気ホルモン=テストステロン

日曜日の夜6時半といえば? そう答えは「サザエさん」! みなさんも一度は見たことがあるはずです。

サザエさんのマンガの連載がスタートしたのは1949年。今から約70年以上前になります。当時の日本人の寿命は、まだ50歳ぐらいでした。おとうさんの波平さんは54歳で、奥さんのフネさんは52歳という設定。私はてっきり、もっと年上だと思い込んでいました(苦笑)。見た目はいかにもおじいちゃん&おばあちゃんという雰囲気でしたよね。

今ならたとえば、福山雅治さん、郷ひろみさん、石田ゆり子さん、大地真央さんなどが近い年齢ですが、みなさん年齢を感じさせない50代、60代の方ばかり! 私も波平さんの年をいつの間にか越えているのにびっくりします。70代、80代、90代でも若々しい方、たくさんいらっしゃいますよね。

ただし、ただし、です。寿命が延びても女性の閉経が50歳前後というのはエジプトの時代から変わっていません。どんなに生活環境が整い、医療が進化しても、妊娠・出産という命にかかわる激務から女性を解放する神様の采配なのでしょう。卵巣の機能は低下し閉経が訪れます。人間も生き物であることを忘れてはいけません。

そして日本人の平均寿命は、2020年では女性が87.74歳、男性が81.64歳と、いずれも過去最高を更新。先程ご紹介したように、年齢のとらえかたも、重ねかたもすっかり変わってきています。もはや「老化と年齢はシンクロしない」時代。それは医学的にも明らかになっています。若々しさや元気さは年齢では判断できなくなったのです。

泌尿器科医である私は、35年もの間、更年期障害を含めた延べ3万人を超える女性患者さんたちと向き合ってきました。今も、毎日外来で診察を続けています。そこでうかがう心身の不具合のエトセトラは、出産、妊娠、閉経、フェムゾーン(腟と外陰)トラブル、尿漏れ、骨粗鬆症、うつ症状など。それらのすべてに体内の性ホルモン環境が大きくかかわっていると実感してきました。

性ホルモンは、大きくわけると女性ホルモンと男性ホルモンがあります。それぞれに役割があり、人間の心身のさまざまな機能をつかさどっています。その量は、女性ホルモンに関しては、生涯でわずかティースプーン1杯ほど。その超々微量の性ホルモンの変化が、心身に大きく影響を及ぼし、一見するとホルモンと関係なさそうに見える多くの現象を起こしてくることがあるのです。

とくに今回注目したいのが、人間の元気の源といわれる「男性ホルモン(テストステロン)」です。これが男女の更年期以降の健康のカギを握ります。「テストステロンを制する者は健康長寿を制す」と言っても過言ではありません。健康長寿のために、ぜひみなさんに「テストステロン」を知っていただきたい。

まずは、テストステロンの重要性を理解していただきたいのです。それが、自分自身と家族やパートナー、さらに周りの人たちの健康寿命を叶える理解の第1歩になると思います。ご自身の後半の人生も軽やかに生きることにもつながります。

「テストステロンってなんだかよくわからない……」「体に悪そう……」と逃げ腰になる方もいらっしゃるかもしれません。ですが欧米では、もはやテストステロン補充は一般的になっていて、テストステロンの原料となるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン、副腎で作られるホルモンの源)もスーパーマーケットで買えるほどポピュラーなものなのです。

女性ホルモンはテストステロンが原料

女性にテストテロン? と不信感を持たれるかもしれません。ですが、女性ホルモンはテストステロンを原料に作られているのです!

閉経前の女性の血中テストステロンの約半分は、卵巣から、残り半分は副腎から分泌されます。テストステロンの原料は、コレステロールから作られたアンドロステンジオン(ホルモンの一種)やDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)です。これが代謝されてテストステロンになります。

さらに、このテストステロンが代謝されて女性ホルモンのエストラジオールが合成されます。ですから女性でも、血中のテストステロン濃度は、エストラジオール濃度よりずっと高いのです。つまり、男性も女性も、男性ホルモンと女性ホルモンを持っていて、男性は男性ホルモンをより多く持っており、女性は女性ホルモンをより多く持っているのです。

そして、加齢と共に、男女とも性ホルモンの分泌能力は低下していきますが、とくに女性の女性ホルモンは、45〜55歳の更年期に10分の1くらいに減少します。この急激な女性ホルモンのアップダウンを不規則に繰り返しながら低下していくことによる、自律神経失調症状や精神神経症状のことを更年期障害と呼ぶのです。

テストステロンに関しては、男女とも加齢によりゆっくり低下していきますが、その低下速度は個人差がとても大きいのです。そのうえ、もともと若いときにテストステロンが高かった人のほうが、低下による影響が強くなる傾向があります。

DHEA、テストステロン、エストロゲンといった性ホルモンが少なくなってきても、それなりに維持できれば、中高年以降になっても男女ともにお元気ですが、すべてが枯渇してくると、フレイルが進んでしまうことがわかってきました。

「医学生の教科書にも、女性にテストステロンがあると1行も書いていない」と、いつも熊ちゃん(テストステロン補充の第一人者で男性医学の父と称された故・熊本悦明さんのことを敬意を持ってこう呼ばせていただいています)先生はお怒りでしたが、女性にテストステロンがあるという事実は、なぜかほとんど知られていないのです。

若い女性にとってもテストテロンは元気の源。更年期前であってもテストステロンが相対的に高い女性は、元気がいい&性的意欲も高いです。

女性ホルモン・男性ホルモンの役割は次の通りです。

女性ホルモン=エストロゲン《内向き》

●育児や家事で家を支える内向きの生理
●オキトシン分泌亢進 (愛情・共感・親密感)
●グルーミング・スキンシップで分泌が促進されるホルモン

男性ホルモン=テストステロン《外向き》

●食糧を得るために狩りをし、外敵から家族を守る外向きの生理
●ドーパミン分泌亢進、バゾプレシン分泌亢進
●生活行動活性力を創り出すホルモン

ざっくり外向きと内向きととらえていただければOK!

子づくりをし、一人前に育てるために、それぞれの性ホルモンで役割を果たすことが必要でしたが、その役割を果たすと、性ホルモンが減少します。かつては、そこから先は短い余生しか残っていませんでしたが、今やその後に、「更年期」「熟年期」「高齢期」と30〜40年の人生を歩むようになりました。

人間以外の動物は、生殖を終えたら死を向かえます。「更年期」以降の人生は人間だけに与えられた時間。男女ともに性ホルモンが激減しても、人生100年時代を生きていかなければなりません。それは試練ともいえますが、健康を維持できれば、元気に楽しく過ごせる幸運な時間にすることができます。繰り返しますがそのカギとなるのが「テストステロン」です。

名前のせいで誤解を生んでいるのかもしれませんが、男性ホルモンは男性専用ではないし、女性ホルモンは女性専用でもありません。両方のホルモンが人間にはあり、その比率が男女の性差で異なり、さらに年を重ね変化する。一筋縄ではいかないのが大きな特徴です。

テストステロンで更年期をぶっ飛ばせ

性ホルモンの低下で50代以上になると男性は6人に1人、女性に関しては、軽症も含めればほぼ全員が、45〜55歳の更年期の間に、心と体のバランスが乱れ、そのことで生活の質が著しく低下すると「更年期障害」と呼ばれる状態におちいります。

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『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』(産業編集センター) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

さらに60歳以降の老年期の問題としては、平均寿命は延びましたが、健康寿命との差はまだ約12年あり、この差はなかなか埋まらないまま。この差を縮めるには、欠乏したテストステロンをいかに維持していくかが、これからの新しい健康医学の課題になります。これは前述したように熊ちゃん先生から私が引き継いだことです。

何も手を打たなければ、晩年の約12年間は、生きているのが辛い試練のような時間になってしまうおそれがあるのです。

もしもあなたにお孫さんができたとして、そこからその子が中学生になるまでの間、不健康で寝たきりで過ごすと想像すると長すぎませんか? できれば一緒に遊んだり歩いたり、時には走ったりしたいと思いませんか?

元気ホルモン「テストステロン」をチャージすれば、「死ぬまで元気で生きる」という夢に近づくことができます。

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提供元:誤解多し「男性ホルモン」皆が知らない重要な働き|東洋経済オンライン

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