2023.03.16
朝のネガティブな気持ちがなくなるルーティン|朝はルーティンワークが冴える「神時間」
「楽な目覚め」を習慣化するにはコツがある(写真:kouta/PIXTA)
「書評執筆本数日本一」に認定された印南敦史氏は、その秘訣として「先延ばしをしないこと」を挙げています。なんとなくやる気がでない日も、毎日締め切りを守り続けるにはコツがあるとのこと。本稿では、印南氏の著書『先延ばしをなくす朝の習慣』より、憂鬱な朝を乗り切る方法をご紹介します。
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朝に目が覚めたとき、あるいは目が覚める直前で意識が朦朧としているときなどには、ともするとネガティブな気分になってしまいがちです。「ああ……起きたらきょうもまた、仕事に追われることになるのか……」というように。
ましてや月曜日となれば、さらに落ち込んでしまうことになるかもしれませんね。そう強く実感できるのは、かつての僕がまさにそういう感じだったからです。
とくに会社勤めをしていたころは、鬱な気分のまま起床すること自体が通常ルーティン。どよーんとした空気を身にまといながら起きるわけですから、あのころの朝は家庭内にもピリピリとした空気が流れていた気がします。
朝を乗り越える術
しかも、そのあとには通勤地獄が待っており、会社に着いたら着いたでいろいろなことが起きるので、さらにネガティブ感が上書きされてしまったりしたのでした。
ただし、フリーランスになったからすべてが解決した……というようなことはまったくなく、当然ながらフリーランスにはフリーランスならではの苦悩があるもの。ですから振り返ってみれば、なかなか楽ではありませんでした。
でも、幸いなことに、そんないくつもの壁を乗り越えてきた現在は、比較的穏やかな朝を迎えられるようになっています。この先、また新たな壁にぶつかる可能性だって大いにあるでしょうが、それを「とりあえず乗り越える」術は身についたような気がしているのです。
なぜなら、少しでも楽な気分で起きるためにはどうしたらいいかを考え、それを実践してきたから。その結果、「楽な目覚め」を習慣化できるようになったわけです。
穏やかに目覚めるために僕が実践してきた「意識すべきポイント」は次の2点です。
(1)「この朝」を受け入れる
(2)目覚める直前に1日の「ゆるいスケジューリング」をする
「ゆるいスケジューリング」で朝を受け入れる
(1)については、「なにを当たり前のことを」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その当たり前のことをクリアできないまま起きている人も少なくないのではないでしょうか。だから、朝が重たくなってしまうのです。
たしかに、朝が必ず爽やかなものであるとは限りません。とはいえ、明るい気分で起きようが、暗い気分で起きようが、その先には間違いなく1日が待っているのです。だとすれば、少しでもいい方向に向けたいと考えるのは自然なこと。だからこそ、始まろうとしている1日を受け入れるべきなのです。
とはいえ、意気込む必要はありません。「ああ、始まってしまう……嫌だ……」とネガティブになるのではなく、かといって「絶対に素晴らしい1日にしてみせるぞ!」などと無理をして張り切るのでもなく、ただ冷静に「朝が来た」ことだけを受け入れるのです。
大切なのは、それ以上のことを考えそうになったら、思考をバシッと断ち切ること。そのまま放っておいたらまた「……嫌だ……」となってしまう可能性があるので、そうならないようにする必要があるわけです。
ただ、単に遮断するだけでは、時間が経てばまた余計なことを考え始めてしまうことになるかもしれません。そこで代わりにすべきが、②の「ゆるいスケジューリング」です。
「つらい」「嫌だ」というようなことを考えないように意識しながら、「きょうはこれをして、あれをして、それが終わったらこれをして……」というように、機械的に1日の段取りを組むのです。「やるべきこと」を俯瞰するのです。
この方法が有効なのは、感情が介入しないから。うれしいとも苦しいとも考えず、頭の中でただタスクを羅列する。そして、指差し確認をするような要領でそれらを確認する。あえて余計な感情を排除するからこそ、その日に起こるさまざまなことをフラットに受け止めることができるのです。
もちろん、感情を排除して受け入れることは簡単ではありませんから、最初のうちはうまくいかないと感じることもあるでしょう。でも、それはいつか乗り越えられるハードルです。なぜなら人間は、慣れることのできる動物だから。慣れないうちはうまくいかなかったことも、続けていれば習得できるものなのです。
目が覚めたばかりで頭がボーっとしているころ、起きる前に、その日やるべきことを機械的に思い出し、順序立てて「ゆるいスケジュール」を組む。
やるべきことはそれだけです。続けていれば、きっと身につきます。そして一度身につけることができれば、朝起きることが精神的に楽になっていきます。生きていくということは、1日1日を繰り返すことです。だからこそ、ぜひ試してみてください。
「毎日決まったことをする」のは心地よい
みなさん、朝に目が覚めたら、以後はどんなことをするでしょうか? 人によって多少の違いがあるとはいえ、基本的には誰にも共通する「毎日のルーティン」があるのではないかと思います。洗顔、歯磨き、着替え、朝食などなど。
では、そういったことをする際、「なぜ私は顔を洗うんだろう?」とか、「どうして着替える必要があるのだろう?」などといったことを考えるでしょうか? 考えるはずがありませんよね。なぜならそれらは、「考えるまでもなく、やって当然」のことだからです。
いちいち意味や目的について考える必要などなく、ましてや好きとか嫌いとかの問題でもなく、多くの場合は、そこに「やらない」という選択肢など存在しないわけです(「いや、自分は歯を磨かないことにしているんだぞ」などという方だっていらっしゃるかもしれませんが、そういうタイプは特殊な部類に入ると思うので、ここでは例外ということで)。
いってみれば「ルーティンワーク」とは、そういうものなのではないでしょうか? もし「やりたくない!」と強く感じるのであれば、やらなければいいだけの話。しかし、そもそも「やりたくない!」などと感情的になる必要などないほど、当たり前すぎるということです。しかも、意識する機会はあまりないかもしれませんが、「毎日決まったことをする」のは心地よいことでもあります。
たとえば、顔を洗えばスッキリして「きょうも1日がんばろう」と前向きになれますし、なによりそれが毎日の習慣になっていることが重要。きのうと同じことをきょうもすれば、そこには両日をまたぐリズムが生まれるからです。
さらに、翌日にも同じことをすれば、リズムは持続することになります。毎日のルーティンが生み出すひとつひとつのリズムが合わされば、そこには大きなグルーヴ(うねり)が生まれ、それは1日の活力になります。そして「きょうもまた、同じことをした」という”無意識の充実感”は、規模は小さいかもしれないけれども、間違いなく活力になっていくのです。
でも、なぜルーティンと午前中は相性がいいのでしょうか?
まず注目すべきは、起きたばかりの時間帯の脳の状態です。端的にいえば、朝にルーティンをおこなうことで脳を目覚めさせれば、そこから続く1日の仕事に大きな好影響が生まれるのです。
そして、そのことに関連して無視できないのは、毎日のルーティンをおこなうことによって得られる「規則正しい生活を送っている」という充実感です。これは、決してバカにできることではありません。
たとえば、かつての僕は「午前2時に寝られれば早いほう」という夜型の生活を送っており、それなりに充実しているような気になっていました。それが単なる勘違いだったと気づいたのは、朝型に切り替え、朝のルーティンをこなす習慣がついてからのこと。朝型にしてみた結果、早く起きて毎日決まった同じことをすると、純粋に気持ちがよく前向きになれるということがわかったのです。
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ですから、ブレインコーチとして活躍するジム・クウィック氏が書いた『LIMITLESS 超加速学習人生を変える「学び方」の授業』の中に、以下のような記述を発見したときにも大きく共感できたのでした。
「なぜ朝のルーティンが大事なのだろう? 一連の簡単な行動で脳を目覚めさせ、1日をトップギアで始めることには計り知れないメリットがあると、僕は確信している。1日の早い時間に勝利のルーティンを作れたら、世界的指導者のトニー・ロビンズが言う『勢いの科学』の恩恵も受けられる。一度コマが回りだしたら、静止状態から始めるよりはるかに少ない労力で達成し続けられるという考え方だ」
ここからもわかるように、「規律正しい朝のルーティン」はとてもよい影響を与えてくれるのです。長きにわたって自堕落な生活を送ってきたからこそ、なおさらそう感じます。
「いやいや、午前中は頭がボーっとしちゃうんで、スッキリなんかするはずないです」というご意見もあるかもしれませんが、それは朝のルーティンを習慣化することで確実にクリアできます。実際にやってみれば、それは比較的短期間で実感できるはず。騙されたつもりで、ぜひとも一度試してみてください。
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提供元:朝のネガティブな気持ちがなくなるルーティン|東洋経済オンライン