2023.03.08
腸の名医が「バナナ腸活」を本気で提唱する理由|「これなら続けられる」という基準で選ぶべき
バナナを食べる腸活、名付けて「バナナ腸活」をおすすめする理由や効果をご紹介します(写真:freeangle/PIXTA)
「腸内環境が乱れると免疫力が落ちて、病気にかかりやすくなる」。体や心の健康に腸が重要という認識が浸透しつつあるなかで、さまざまな腸活法が提唱されている。
そのような多様な腸活法のなかで、順天堂大学医学部教授で、腸の第一人者でもある小林弘幸氏は、非常に手軽で続けやすい「バナナ腸活」を特におすすめしている。今回は、このバナナ腸活をおすすめする理由や効果、そしてバナナ腸活を取り入れる際のコツについて、小林氏の著書『腸を整えたければバナナを食べたほうがいいこれだけの理由』の内容を一部抜粋して、紹介する。
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腸内環境が荒れたままにしておくと起こること
正直、「最近、腸が疲れている」と実感することは、あまりないと思います。ひどい便秘や下痢が何週間も続けば、「さすがに何かおかしいのかも……」と思うかもしれませんが、数日間だと気がつかない、もしくは気がついても放っておくという方も少なくないのではないでしょうか。
私が診る患者さんも症状がひどくなってからクリニックを訪れる方がほとんどです。その放置がどんどんと腸を疲れさせます。「やる気がでない」「体がだるい」「風邪などの病気にかかりやすくなる」「やせられない」「肌が荒れる」「よく眠れない」といった、体と心の不調を引き起こします。
さらには、うつ病や大腸がんといった病気につながる危険性も高まっていくのです。そうならないためにも、早めに腸の疲れに気がつくことが大切です。たとえば、起きたときに、おへそのまわりを触ることを習慣化してみてください。いつもより冷たさを感じたら、腸が疲れている可能性があります。おならが異常に臭いのも、腸が疲れている危険性が……。
ぜひ、次の「腸疲労チェック」を試してみてください。
腸疲労チェック(YESの数をチェック)
(1)便秘気味で排便が毎日ない
(2)便が硬かったり、下痢だったりする
(3)便意を突然感じる、またはまったく感じない
(4)排便後、お腹に張りや残った感じがする
(5)のどが乾かないと水は飲まない
(6)食事時間が不規則またはお腹がすいたら食べる
(7)肉中心の食生活で発酵食品はあまり食べない
(8)毎朝起きる時間がバラバラである
(9)お風呂はシャワーですませることが多い
(10)ほぼ歩かない日があり運動不足を感じる
YESが0~1個:とっても元気
腸は元気な状態です。今の生活スタイルを続けて、腸をいたわりましょう。
YESが2~3個:ちょっとお疲れ
今は問題がありませんが、今後、問題が出る可能性もあります。
YESが4~6個:お疲れ
腸はお疲れモード。このままの生活を続けると、心身ともに不調が出てくるかも。
YESが7~10個:超お疲れ
腸がSOSを出しています! すぐに生活習慣を見直し、腸活を!
※ただし(1)~(4)にあてはまる場合は腸が疲れている可能性大 すぐに腸活をスタートしましょう。
特に近年は、コロナ禍における激しい生活環境の様変わりや先の見えない情勢などにより、私たちはこれまで以上に、目に見えないストレスにさらされながら生きています。そして腸は、神経やホルモンなどによって脳と密接につながっているため、環境の変化や不安によるストレスに敏感に反応してしまう臓器です。そのため、時代の波に翻弄される今、腸は想像以上にヘトヘトになっていると考えられます。
さらに悪化してしまい深刻な事態に陥らないよう、今、腸内環境を整え、ヘトヘトになっている腸を元気にしておくことが大切なのです。
腸活は続けることが最も重要
最近では、いろいろな方法が紹介されていますが、本気で腸活をするならば、「どれぐらいで効果が出るのか」よりも「これなら続けられる」という基準で自分に合ったものを探してみてください。
腸は、神経やホルモンなどによって脳と密接につながっているため、環境の変化や不安によるストレスに敏感に反応してしまう臓器です。また、食べたものが通過する臓器なので、食事の影響をうけやすい。
つまり、日々の生活によって変わりやすい箇所なのです。だからこそ、「腸が元気になりました! はい、腸活終了です」とはなりません。
たとえ、短期間でよくなることがあったとしても、生活習慣が乱れればまた悪くなっていきます。せっかくよくなっても、その後続かずにまたすぐに悪くなり、それまでの努力が無駄になったということは、よくあります。
腸にいいとされる運動法や食事法を、私もこれまでいろいろと提案してきましたが、いろいろと提案してきたのは、その中で、どれか続けられる方法を見つけてほしいという思いからです。
何が続けられるかは、1人ひとり違います。先ほど、腸を元気にするには運動と食事に気をつけなければならないといいましたが、継続的に運動することは、運動習慣がない人にとっては、新しい習慣を日常生活に加えることになり、いざやってみようと思ってもなかなか難しいものです。
もちろん、筋トレで体を鍛えるのもいいですが、仕事の合間に、こまめに大きく伸びをしたり、座ったまま上半身を左右にひねったりする。
そんな日常生活の隙間にできることからはじめてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、あなたなりに続けられる腸にいい運動を見つけてみてください。
「バナナ腸活」にはもう1つのメリットがある
そこで、私がおすすめしているのが、バナナを食べる腸活、名付けて「バナナ腸活」です。
前述したように、どんなに効果がある方法でも、途中でやめてしまえばその努力が水の泡となってしまいます。
その点、バナナなら洗わず、包丁もいらず、皮をむけばすぐに食べられます。持ち運びもしやすいので、仕事先や外出先でも食べられるのです。しかも、スーパーやコンビニなどさまざまなところで売っていて、全国どこでも1年中手に入る。
実は、このように手軽にいつでもどこでも食べられる食材は、そう多くはありません。さらにいえば、バナナは、よく食べる果物ランキングで継続して1位をとるほど、老若男女が味になじみのある、食べやすい食材です。
くり返しになりますが、腸内環境の改善には「腸活を継続すること」がとても重要です。使い勝手の面からも、入手のしやすさの面からも、味の面からも、継続しやすいバナナこそ、本気で腸を整えて元気にしたい人に、おすすめできる食材だと私は考えます。
私が「バナナ腸活」をおすすめする理由がもう1つあります。
それが、バナナは、不溶性、水溶性(発酵性)の2種類の食物繊維を含むだけでなく、このハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」を多く摂れるという点です。
主食であるパンやごはんにも、レジスタントスターチが含まれています。
ごはんは冷やすとレジスタントスターチが増えるという話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
バナナは成熟具合によって、レジスタントスターチの量が異なるので選び方にはちょっとした工夫がいりますが(のちほど説明します)、毎日摂取しやすいそれらの主食と比べると、より多くのレジスタントスターチが含まれています。
ただ、単純に量でみると、ごぼうのほうが不溶性も水溶性(発酵性)も食物繊維の量が多いです。また、特に、ふかしてから冷やしたじゃがいもなどには、バナナよりもレジスタントスターチが多く含まれます。
でも、ごぼうを使った料理を毎日考えて作って食べたり、ポテトサラダなどのふかしてから冷やしたじゃがいもを使った料理を毎日作ったりするのは、しんどいですよね。食べ続けられる人は、ぜひ意識して食べ続けてほしいのですが、しんどいと、続かない。続かないと意味がないのです。
より腸活に向いているバナナの食べ方・選び方とは
このように、手軽で取り組みやすいバナナ腸活ですが、食べ方にちょっとしたコツがあります。ポイントは2つ。1つめは、1日2本を摂取することです。
小林メディカルクリニック東京と小林教授の研究グループは、健常な成人男女20名を対象に、1日2本のバナナを摂取した場合としなかった場合の比較実験を行った結果、約半数の方にこのような結果があらわれました。
●副交感神経が優位な自律神経活性促進効果
自律神経が活発に働き、よく眠れてスッキリ起きられます。日中も活発に活動できるようになります。
●腸内環境改善効果
お腹がスッキリして、快適な便通が増え、心身のさまざまな健康効果が期待できます。
●気分改善効果
何もしなくても幸せな気持ちでいられ、穏やかな気分が続きます。
●ストレス改善効果
イライラせず、気分がいつもリラックスしているようになります。
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2つめは、バナナ業界で「グリーンチップ」と呼ばれる、茎の部分に緑色が残っているバナナを選ぶことです。
岐阜大学応用生物科学部食成分機能化学研究室が行った実験によると、バナナが成熟していくにつれて、レジスタントスターチの含有量が減少したという結果が出ています。全体が青めのバナナのほうが、レジスタントスターチは豊富ですが、おいしさと手に入りやすさを考えれば、グリーンチップのバナナがベストです。
私は、このグリーンチップのバナナを、食物繊維とハイパー食物繊維「レジスタントスターチ」を毎日摂取するのに適した、「ファイバー(食物繊維)バナナ」と名付けました。茎まで黄色くなったからといって、腸活効果がなくなるわけではないですが、グリーンチップのバナナを見かけたら腸活のチャンス! ぜひ、継続的に腸活を行ってほしいと思います。
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提供元:腸の名医が「バナナ腸活」を本気で提唱する理由|東洋経済オンライン