2023.02.14
平気で「チョコ」を買う人が知らない超残念な真実|そんな「裏側」があったとは…驚きの実態
どうしたらおいしくて安全性の高いチョコレートを選ぶことができるのでしょうか? 意外に知られていない「チョコの4分類」も詳しく解説します(写真:マハロ/PIXTA)
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いまなお食品添加物の現状や食生活の危機をメディア等で訴え続けている安部氏が「平気で『チョコ』を買う人が知らない超残念な真実」について語る。
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今こそ考えたい「チョコレートの安全性」問題
バレンタインの時期にはみなさん、チョコレートを食べる機会が増えると思います。チョコレートは多くの人に愛されている「お菓子の絶対的存在」です。
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しかし、日常的に口にするこのお菓子の「安全性」はどうなのか、ここで一度考えてみませんか?
まずチョコレートの製造方法をざっくり説明しましょう。
チョコレートの原料となるのは「カカオ豆」です。このカカオ豆をローストしてすりつぶしてできた「カカオマス」に、「砂糖」「ココアバター」「練乳」などをまぜて滑らかに仕上げたものがチョコレートとなります。
「ココアバター」とは、「カカオマス」からしぼった油脂分のこと。残りは「ココアパウダー」となります。
そして、「カカオ分」とは、これら「カカオマス」「ココアバター」「ココアパウダー」の3つのことをいいます。
そして、チョコレートはこの「カカオ分」によって、「4つのタイプ」に分けられるのです(全国チョコレート業公正取引協議会の定める規格による)。
チョコレートは「カカオ分」の割合などによって「4つのタイプ」に分類される。
チョコレートの4つの分類とは、「チョコレート」「準チョコレート」「チョコレート菓子」「準チョコレート菓子」の4つになります。
「カカオ分」と「脂肪分」で決まる、チョコレート4分類
「【1】チョコレート生地」は「カカオ分」が35%以上含まれるものが基本タイプ。一方、「【2】準チョコレート生地」は「カカオ分」が15%以上含まれているものが基本タイプ。
【1】チョコレート
「チョコレート生地」と呼べるものは、基本タイプとして「カカオ分」が35%以上含まれるものです。
それともうひとつ、「カカオ分」が21%以上で「カカオ分と乳固形分の合計」が35%以上のものも「チョコレート生地」と呼ぶことができます。
チョコの分類は基本的に「カカオ分」が含まれる割合によって主に変わってくる(EdvanKun/PIXTA、写真はイメージです)
ちなみに「乳固形分」とは「牛乳から水分を除いたもの」で、「クリーム」や「粉乳」などをいいます。
そしてこのとき、生地の「カカオ分」のうち「ココアバター」が18%以上含まれていなければなりません。
さらに「乳固形分」を使用する場合は、そのうち「乳脂肪」が3%以上を占めていなければなりません。逆に言うと、「乳脂肪」が3%以上含まれていれば、「脂肪分」として「植物油脂」を入れることも可能です。
いずれにしても、「チョコレート生地」が、お菓子の全重量の60%以上使われている必要があります。
【2】準チョコレート
「準チョコレート生地」は、基本タイプとして「カカオ分」が15%以上含まれているものをいいます。
それともうひとつ、「カカオ分」が7%以上で「乳固形分」が12.5%以上のものも「準チョコレート」と呼ぶことできます。
そしてこのとき、生地の「カカオ分」のうち「ココアバター」が3%以上含まれていなければなりません。また「ココアバター」と「乳脂肪」を含む「脂肪分」が18%以上含まれている必要があります。
さらに「乳固形分」を使用する場合は、そのうち「乳脂肪」が2%以上である必要があります。この場合も、「乳脂肪」が2%以上含まれていれば、「脂肪分」として「植物油脂」を加えることも可能です。
いずれにせよ、「準チョコレート生地」が、お菓子の全重量の60%以上使われている必要があります。
「【3】チョコレート菓子」は「チョコレート生地」がお菓子全体の60%未満のもの、「【4】準チョコレート菓子」は「準チョコレート生地」がお菓子全体の60%未満のものを指す。
【3】チョコレート菓子
「チョコレート生地」が、お菓子全体の60%未満のものです。
【4】準チョコレート菓子
「準チョコレート生地」が、お菓子全体の60%未満のものです。
「ココアバター」は最低限に「植物油脂」でかさ増し
「なんだかわかりづらい」と思われる人も多いと思います。
このチョコレートの規格は食品のプロでもわかりづらく、私もセミナーや講座で何度も聞かれるところです。
この場を借りてわかりやすく述べてみましたが、要は、チョコレートの規格は「カカオ分」と、どんな「脂肪分」がどれくらい含まれているかによって分類が決まるということです。
改めて「4つの分類」を整理。「カカオ分」の割合などによって、チョコレートは「4つのタイプ」に分類される。
言うまでもなく、「カカオ分」が多く含まれるものは、より高価で、より「本物のチョコレート感」があり、「カカオ分」が少なければ、より安価になり、「本物のチョコレート感」からは遠のきます。
「ゴディバのトリュフ」と「駄菓子のチョコレート菓子」を思い浮かべていただければわかりやすいと思います。
ここでポイントとなるのが「ココアバター」です。
なぜなら、一般的なチョコの「脂肪分」の中で、「ココアバター」が一番高価だからです。
だから、安く作ろうとするなら、「ココアバター」は最低限にして、その代わりに「植物油脂」を入れることで、「かさ増し」ができるわけです。
安く作ろうとするなら、「ココアバター」は最低限にして、その代わりに「植物油脂」を入れることで、「かさ増し」ができる(マイケロー二/PIXTA、写真はイメージです)
先ほど述べたように、「準チョコレート」は「脂肪分」が18%以上あることが求められます。
すると極端な話、「ココアバター」を3%、「乳脂肪(クリーム)」を2%入れれば、残りの13%は「植物油脂」でもいいわけです。
もちろん「植物油脂」を入れることは法律違反でも何でもないのですが、私が思うには、ここには「2つの大きな問題」があるのです。
ひとつめは、「ココアバター」を少なくして「植物油脂」を入れることで、カカオの風味が薄くなってしまうこと。メーカーによっては、そこを補うために砂糖の量を増やしたり「香料」を入れたりしています。
もうひとつの問題は「安全性」です。
「植物油脂」というと、「なたね油」や「オリーブオイル」が思い浮ぶかもしれませんが、業界で一般的に多く使われるものとして「精製加工油脂」が考えられます。
というのも、「精製加工油脂」は「口で溶ける温度」を調整できるのです。たとえば「30度くらいで溶ける油」にすれば、食べたときに口溶けがちょうどよくなるわけです。チョコレートは口溶けが命だから、どのメーカーもそこには大変こだわるのです。
「精製加工油脂」は、原料の油脂を精製して水素添加するなどの「加工」を施したもの。「マーガリン」や「ショートニング」も「精製加工油脂」の一種です。実際、「マーガリン」にも「ショートニング」にも「精製加工油脂」と表示があったりします。
「健康に悪い油」が使われている可能性も
この精製加工油脂については「平気で『ケーキ』を買う人が知らない超残念な真実」など、本連載でも私は何度も安全性を指摘してきました。
「平気で『ケーキ』を買う人が知らない超残念な真実」 ※外部サイトに遷移します
「精製加工油脂」の問題とは、「加工」の工程で「水素添加」などが施されることで「トランス脂肪酸」と「ジヒドロ型ビタミンK1」が発生するリスクがあることです。
「トランス脂肪酸」は動脈硬化や心臓病のリスクを高めかねない「健康に悪い油」です。また「ジヒドロ型ビタミンK1」は脳出血を促進させるリスクがあるとして安全性を疑問視する声もあるのです。
チョコレートには「植物油脂」という表示はあるけれど、「精製加工油脂」と書かれているものは私が探した限りでは見当たりませんでした。
要は「植物油脂」といっても、それがどういう油なのか、消費者にはわからないのです。これは大きな問題だと思います。
チョコレートに限らずどんな食品にも言えることですが、「安いものには理由がある」ことを忘れないでいただきたいと思います。
では、どうしたらおいしくて安全性の高いチョコレートを選ぶことができるのでしょうか。
おすすめは「ピュア(純)チョコレート」その基準は?
結論から言えば、「ピュアチョコレート(純チョコレート)」がおすすめです。
おすすめは「ピュア(純)チョコレート」。「植物油脂不使用」「レシチンとバニラ香料以外の添加物を使っていない」「糖分はショ糖(砂糖)のみ」など、厳しい基準がある(にしやまる/PIXTA、写真はイメージです)
「ピュアチョコレート」は、「植物油脂不使用」「レシチンとバニラ香料以外の添加物を使っていない」「糖分はショ糖(砂糖)のみ」など、厳しい基準があります。
「チョコレート生地」または「チョコレート生地のみのチョコレート」で、次のすべてに適合するものに限り、「ピュアチョコレート」と表示することができます。
・カカオ成分として、「ココアバター」または「カカオマス」、および「ココアバター」のみを使用しているもの
・「脂肪分」として、「ココアバター」のほかには「乳脂肪」のみを使用しているもの
・「ショ糖(砂糖)」以外の糖類を使用せず、かつ「ショ糖(砂糖)」が全重量の55%以下のもの
・「バニラ系の香料」以外の添加物を含まないもの
・「レシチン」が全重量の0.5%以下のもの
・ 上記のすべてにおいて原材料、製品、その他公正敷引協議会が承認したもの以外のものを加えていないもの
実際のところは「ピュアチョコレート」ならば無添加かというと、添加物が含まれているものもあるのですが、それでも使用される添加物は少ないほうです。
なにより「ピュアチョコレート」は「植物油脂」を使っていないため、カカオの香りが濃く、やっぱりおいしいと思います。
私も食べるならピュアチョコレートを選びます。
そもそもが酒飲みの私は甘いものを口にする習慣はありませんが、たまに本物のピュアチョコレートを食べると「おいしいものだな」と心から思います。
余談になりますが、先日、砂糖の代わりに「アガベシロップ」を使ったというフランス産の高級チョコレートをいただきました。もらっておいて悪いのですが、私にはイマイチおいしいとは思えませんでした。
アガベシロップはある種のサボテンから取る果糖です。果糖では甘みが軽すぎてチョコレートには合わないと思いました。口溶け、口当たりが全然違うのです。
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また、最近ではジュースやお菓子の「甘味料」として、『食品の裏側』でも大きな問題として取り上げた「ブドウ糖果糖液糖」が非常によく使われますが、この軽い甘さもチョコレートには合いません。
あくまで私の意見になりますが、やっぱりチョコには砂糖のずっしりした重みのある甘さが合うと思います。
砂糖は「チョコレートをおいしくする魔法」だと思います。
次の記事では、最近流行している「高級チョコ」「高カカオチョコレート」の落とし穴や、「安いチョコ」に潜む重大問題について述べてみたいと思います。
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提供元:平気で「チョコ」を買う人が知らない超残念な真実|東洋経済オンライン