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2023.02.02

「内臓型冷え症」対策に超オススメ、薬効肉野菜鍋|「今の寒い時期にピッタリ」漢方薬剤師が紹介


寒い冬にピッタリ。体の内側から温める鍋を紹介します(写真:YamisHandmade/PIXTA)

寒い冬にピッタリ。体の内側から温める鍋を紹介します(写真:YamisHandmade/PIXTA)

寒さ厳しいこの季節、 防寒は体の外だけでなく内からも行わなくてはなりません。今回は漢方の考え方を取り入れて体を内側から温める食材を使った「薬効肉野菜鍋」を紹介します。

このところ「薬膳」「薬膳鍋」などの言葉を目にする機会が多くなりました。これらを漢方薬のようなものとして受け止めている方も多いです。初めにこの「薬膳」について解説したいと思います。

薬膳が必ずしもいいわけではない

「薬膳」という言葉は最近では一般的に使われていますが、本来の漢方にはそういう言葉はありません。茨城大学名誉教授の真柳誠先生によると、「薬膳の用例は『後漢書』に初出するが、煎じ薬を配膳する意味でしかなかった」そうです。そしてその後の出版物に「薬膳」という言葉が登場して以降、使われるようになったようです。

現在は「薬膳」と称して、むやみに生薬を料理に加えて効能をうたうといった風潮が生じています。いったん広がった言葉の一人歩きを止めるのは難しそうです。

そもそも漢方薬は個人の症状や体質に合わせて処方されるもので、皆が同じものを服用するとはかぎりません。体質によって温めたり、冷やしたり、あるいは潤わせたりと、必要なことが違うからです。食事も同様で、本来は個人の体質に合ったものを適量食べるのが基本です。

巷でよく目にする「薬膳メニュー」は、高麗人参(朝鮮人参)やクコの実など、生薬にもなるような食材を入れたものを総称しているようですが、個人に合うかどうかはお構いなし。当然、これらの食材は薬効が大きいので、たまたまそれが必要な人が食べれば元気になりますが、合わなければ逆に体調を崩してしまうこともあります。

生薬を使った料理を、学生さんと作って食べることがあります。例えば、韓国料理の参鶏湯(さむげたん)を4~5人で食べると、「とても体調が良くなった」と言う人がいる一方で、「体がほてって、のぼせて眠れなかった」という人もいます。温める必要がある人には人参や棗(なつめ)、生姜、にんにくが入った参鶏湯は体に合いますが、その反対に、こもった熱を冷ます必要がある人にとって、温める作用が強いメニューは害になるのです。

このように薬効の大きいものには必ず副作用があり、それは食材でも同じなのです。

実際、高麗人参には滋養強壮、疲労回復、虚弱体質の改善、強心作用など多くの効能があります。一方で副作用として不眠、動悸、頭痛、眩暈(めまい)、発疹、血圧異常などが報告されています。とくに高血圧の人は注意したほうがよく、妊娠中や授乳中の母親、あるいは幼いお子さんも、食べるときは専門家に相談してからにするべきでしょう。

なお、今回紹介する体を温めるメニューも、普段からのぼせやすかったり熱がこもりやすかったりする人には合わない可能性がありますので、ご注意ください。

まず料理の種類ですが、温かさがずっと持続するメニューの代表は、やはり鍋でしょう。体を温める鍋といえば、火鍋など、にんにくやとうがらしがどっさり入った真っ赤な色のスープを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、辛味が強いものは瞬間的に温める作用は強いのですが、汗をかいて結果的に冷えてしまったり、毛穴から汗とともに気が漏れて体力が消耗してしまったりすることもあります。

かつて韓国料理の先生をお招きして料理を教えてもらったことがあります。その仲間に、「毎回、料理教室の翌日に風邪をひく」という人がいました。にんにくやとうがらしを使った料理で、汗と共に気が消耗されていたのではないかと思います。

じんわり体が温まる鍋レシピ

そこで、今回はじわじわと温まり、その温かさが持続するような鍋のレシピを紹介いたします。

まずメインになる具材として冬におすすめなのは、羊肉です。日本では牛肉、鶏肉、豚肉などの肉と比べて食卓に上がることは少ないですが、高タンパク、低カロリーで、鉄を多く含むという特徴があります。

漢方の基礎になる五行説では、木火土金水のうちの「火」に対応します 。漢方薬の1つに、体を温める作用が強く、栄養価が高い羊肉が入った「当帰生姜羊肉湯(とうきしょうきょうようにくとう)」という処方があります。婦人科系の疾患に使う漢方薬に多く使われている生薬「当帰(とうき)」や、胃腸を温めて働きを良くする「生姜(しょうきょう)」が入っています。

この処方は漢代の医学書『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載があり、女性が出産後、冷えにより腹痛を起こしたときなどに用いられてきました。漢方薬は多くは乾燥させた植物を原料にしますが、このように生肉を使う処方もあるのです。ちなみに生姜は漢方薬として使うものは食用と同じですが、「しょうが」ではなく「しょうきょう」と読みます。

当帰は西洋ハーブではアンジェリカと呼ばれている植物の仲間です。日本では食品としてはほとんど流通していませんが、たまに韓国食材を売っているお店で販売しているのを見かけたりします。見つけたときに手に入れておくといいでしょう。当帰が手に入らない場合は同じセリ科の食材のセロリで代用してもOKです。特有の香りが羊の臭みを消してくれます。

薬効肉野菜鍋(1人前の材料)

羊肉(ラムまたはマトン):150g
当帰:5g(またはセロリ:半分〜1本)
しょうが:親指大 
白ワイン(または酒):50cc
塩・こしょう:適量
水:1.5リットル程度
野菜(薬効ごとに後で紹介します)

作り方ですが、まずはスープを作ります。

鍋に水と羊肉、当帰(またはセロリ)、しょうがを入れ、弱火でゆっくり40分以上、水の量が半分になるぐらいまで煮詰めます。弱火で加熱すればそれほどアクが出ませんが、気になる場合は最後にアクを取ります。このスープをベースに鍋にします。

続いて、野菜や調味料をスープに入れ、弱火で煮ます。おすすめの野菜は後ほど薬効ごとに紹介していますので、上手に取り入れていただけたらと思います。温かさを体内で持続させるために、スープにとろみをつけるのも良い方法です。おすすめはくず粉ですが、なければ片栗粉でもいいでしょう。

このスープにたまねぎやじゃがいも、にんじんなどを入れた後、みそを溶き、みそ汁にしても美味しく食べられます。

薬効別おすすめ野菜を紹介

続いて症状別、おすすめの具材を紹介します。

(1)むくみ

冬は肌や髪が乾燥しやすいですが、冷えにより気・血・水の巡りが悪くなり、むくみを訴える人も多い季節です。鍋の具材には体内の余分な水を排出する「利水(りすい)」作用のあるものを入れると良いでしょう。

緑豆春雨:春雨にはじゃがいも、緑豆、さつまいもなどを原料にしたものがあります。その中でも緑豆は利水、解毒の薬効が強い食材です。表示を見て、緑豆が原料のものを選んでください。

もやし:緑豆を発芽させたのがもやしです。もやしにも多くの薬効があります。価格も安く、鍋には必須の食材です。血流が滞った状態、瘀血(おけつ)を改善する働きもあります。低カロリーでカリウム、カルシウム、ビタミン、食物繊維などをバランスよく含んでいます。

(2)貧血

寒さの厳しい季節は貧血でなくても血流が悪くなり、クラッとしたり、目の前に星が飛ぶような貧血のような症状が出やすくなります。きちんと機能する血が不足する「血虚(けっきょ)」の状態には「補血(ほけつ)」作用の強い食材を組み合わせます。

ビーツ:「食べる輸血」といわれるほど、血を補い血流を良くする作用が強い食材です。ビーツはほうれん草の仲間です。ロシア料理の「ボルシチ」の色はビーツの色ですので、鍋に入れればきれいなピンク色になります。鉄をはじめとして多くのビタミン、ミネラル、食物繊維も豊富です。

ほうれん草:補血作用の強い野菜の代表です。冷えや血流を改善する葉酸や鉄分のほか、利尿作用があるカリウム、食物繊維などが豊富に含まれています。血流を改善してくれるので、むくみの改善も期待できます。

(3)胃もたれ

寒くなると冷えにより血流が悪くなり、胃の働きが悪くなり胃もたれを起こすことがあります。食べすぎていなくても消化不良の状態で食べたものが滞ると、さまざまな不調の原因になります。

キャベツ:羊とも相性が良く、胃の働きを助けてくれます。未消化物である「痰飲(たんいん)」を排出して、消化器の状態を健やかにします。豊富な食物繊維のほか、ビタミン、カリウムなど、多くの栄養素が含まれます。

大根:生の大根は胃にこもった熱を冷まして消化を助けます。寒くて胃の働きが悪くなると消化不良で便秘をしたり、結果的に太ってしまうことがあります。そのような場合、消化剤として大根おろしを食べることをおすすめしています。生の大根からはアミラーゼ・プロテアーゼ・リパーゼなどさまざまな消化酵素が摂取できます。大根おろしにして鍋の具と共に食べると消化が促されます。こうした薬効を期待する場合は、鍋に入れるのではなく、つけだれにするといいと思います。

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