2023.01.25
睡眠不足をどうにかしたい人に読んでほしい2冊|朝の習慣でぐっすり眠れてすぐ回復する体に
なかなかぐっすり眠れず、昼間に眠くなってしまう人のために(写真:kouta/PIXTA)
思考法、勉強法、マネジメント、チーム力、営業力などの仕事術からマナー、話し方などのコミュニケーション、ビジネス教養から健康法――。書店に行けばたくさんの本が並び、Amazonで検索しても無数に見つかる。その中から一体何を選べばいいかわからないと日々思っている人は少なくないはず。
年間1000冊、10年間で1万冊以上のビジネス書を読んでいるプロ書評家の印南敦史氏が「本当に役立つ本」を厳選した『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』から、「睡眠不足」のお薦め2冊に関する部分を一部抜粋、再構成してお届けする。
『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
『スタンフォード式 疲れない体』(山田知生著、サンマーク出版)
すぐ回復できる体になる健康法
疲れにくく、疲れたとしてもすぐに回復できる体になるにはどうしたらいいのか? この問いに応えてくれるのが本書です。
スタンフォードには「頭のいいエリート大学」というイメージがありますが、「賢い」というのはあくまで一面にすぎず、実際には「文武両道の大学」。多くの競技で、多数のプロアスリートを輩出しているのだそうです。そこで本書では、スタンフォードが培ってきたそのような実績を軸に、「疲労予防」と「疲労回復」についての独自の考え方を公開しているわけです。
ここでは1章「世界最新の疲労予防『IAP』メソッド」に焦点を当ててみます。
さまざまな疲労回復法を実践しているスタンフォードにおける、いちばんのトピックスが「IAP呼吸法」。ちょっと疲れているという選手も、ケガでリハビリ中の選手も、慢性的な痛みがある選手も、必ずIAP呼吸法を行いながらメンテナンスするというのです。
「IAP」とはIntra AbdominalPressureの略で、「腹腔(ふくこう)内圧(腹圧)」。人間のおなかのなかには「腹腔」と呼ばれる、胃や肝臓などの内臓を収める空間があり、この腹腔内の圧力が「IAP」です。「IAPが高い(上昇する)」とは、肺に空気がたくさん入って腹腔の上にある横隔膜が下がり、それに押される形で腹腔が圧縮され、腹腔内の圧力が高まって外向きに力がかかっている状態を指すのだそう。
「IAP呼吸法」を実践すると、次のような効果が期待できるといいます。
・腹圧が高まることで、体の中心(体幹と脊柱)がしっかり安定する
・体幹と脊柱が安定すると、正しい姿勢になる
・正しい姿勢になると、中枢神経と体の連携がスムーズになる
・中枢神経と体の連携がスムーズになると、体が「ベストポジション」(体の各パーツが本来あるべきところにきちんとある状態)になる
・体が「ベストポジション」になると、無理な動きがなくなる
・無理な動きがなくなると、体のパフォーマンス・レベルが上がり、疲れやケガも防げる
最初は指先を足のつけ根に差し込んで
所要時間は1分程度なので、忙しい人でも行いやすいはず。「腹圧を高めておなかを膨らませたまま、息を吐く」感覚をつかむためにも、最初は指先を足のつけ根に差し込んで練習するのがいいようです。
IAP呼吸法はシンプルでありながら、疲れの予防と解消が期待できる強力なメソッド。決して難しいものではないので、気軽に試してみてはいかがでしょうか?
Points
・文武両道のスタンフォードで実践されている疲労回復法
・IAP呼吸法を紹介
・所要時間1分で疲れにくくなる
(229ページより)
『ぐっすり眠れる×最高の目覚め×最強のパフォーマンスが1冊で手に入る 熟睡法ベスト101』(白濱 龍太郎著、アスコム)
著者は、睡眠、呼吸器内科、在宅医療の専門クリニック「RESM新横浜」の院長。これまで1万人を超える患者さんに、睡眠に関する治療を行ってきたなかで、「睡眠に関する情報はなにが正しいのかわからない」といった声を多く聞いてきたそうです。そこで本書では、著者の睡眠に関する治療や研究、世界の研究論文などをもとに、「熟睡法」に関する「ベスト101」を厳選しているのです。
よい睡眠には朝の習慣がとても大切。ここでも、スマートフォンのタイマー機能を使い、好きな音楽を鳴らすことがすすめられています。よくあるアドバイスですが、著者によれば、その際は洋楽ではなく「邦楽」を選ぶほうがいいのだとか。理由は、脳が日本語の歌詞を無意識下で認識することで少しずつ覚醒していき、すっきり起きることができるから。
さらにこだわるなら、ゆったりとしたリズムではじまり、そこから徐々にテンポアップしていく曲がベストだそう。このような曲調の音楽を聴くことが、朝のいい目覚めにつながるとの研究報告があるというのです。
朝食の摂り方もポイント
朝食のとき、積極的に摂取したいのが、トリプトファンという栄養素。必須アミノ酸のひとつです。体内に入ると自律神経の働きを活性化させ、心のバランスを整えるセロトニンというホルモンに変化。そして、日中に体内で分泌されたセロトニンは、夜になると酵素の働きによって、自然な睡眠を促すメラトニンに変化するのです。こうした働きが、夜になると自然に眠気が訪れる効果をもたらしてくれるわけです。
『10年間で1万冊を読破したライフハッカー書評家が厳選 いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
トリプトファンを多く含む食品は、納豆や味噌などの大豆製品や、チーズやヨーグルトといった乳製品、卵、ナッツ類など。トリプトファンはインスリンによって脳へと運ばれるので、インスリンの分泌をうながす白米もあわせて摂取するのがいいようです。セロトニンの合成に不可欠なビタミンB6を多く含んでいるカツオ、マグロ、鮭といった魚を一緒に食べれば文句なしの朝食です。
つまり、焼き鮭、みそ汁、納豆、白米といった典型的な和の朝食メニューは、良質な睡眠をとるうえでは理想的な食事。洋食が好みなら、ベーコンエッグ、ヨーグルト、チーズトーストなどがいいそうです。
また、規則正しい朝食には、体内時計を調整する効果も。朝は太陽光をしっかりと浴びて起床し、それから1時間以内に朝食を済ませることが大切です。
本書で紹介されているメソッドは、どれも一定の効果が見込めるものばかりだと著者は太鼓判を押しています。よりよい睡眠習慣を身につけるために、無理なく実践できそうなことから試してみるといいかもしれません。
Points
・よい睡眠には朝の習慣が重要
・アラームは好きな邦楽がベター
・朝食ではトリプトファン摂取を心がける
(231ページより)
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:睡眠不足をどうにかしたい人に読んでほしい2冊|東洋経済オンライン