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2023.01.25

実は"出来たて"が絶品「王道ポテトサラダ」作る技|ビールに最高、作ると料理の基本も身につく


「王道ポテトサラダ」の作り方を伝授します

「王道ポテトサラダ」の作り方を伝授します

在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。

今回は出来たてが最高においしい「王道ポテトサラダ」の作り方を伝授します。

『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』 ※外部サイトに遷移します

ポテトサラダは「出来たて」がおいしい

洋食の定番、ポテトサラダはゆでたじゃがいもをつぶし、マヨネーズやドレッシングで和えた料理手間はかかりますが、自分で作る意味はあります。なぜなら出来たてがおいしい料理だからです。

じゃがいもの主成分であるデンプンは加熱するとやわらかくなります。糊化という状態で、炊きたてのご飯などと同じ状態。一度糊化したものは時間の経過にともない水分が抜け、デンプン同士が結びついて、硬く、パサパサした状態になります。これがでんぷんの老化です。

スーパーの惣菜やチェーンの居酒屋などで提供されるポテトサラダは糖分などを足すことでそれを防いでいるわけですが、ポテトサラダがいちばんおいしいのは老化する前の状態。まだ温かさがかすかに残る作りたてなのです。

ポテトサラダを自作するのは面倒に思えますが「粉吹き芋」「きゅうりもみ」「さらし玉ねぎ」といった基本中の基本の料理の組み合わせです。逆にいえばポテトサラダが上手に作れる、というのは料理が上手になった証拠。何度か作ってコツを習得してください。

王道ポテトサラダの材料(2〜3人分)

じゃがいも   2個(300g程度)
きゅうり    1/2本
玉ねぎ     1/4個
にんじん    1/4本
酢       小さじ1
マヨネーズ   60g
ベーコン    35〜40g
黒コショウ   適量

材料はシンプル。それだけにじゃがいものセレクトにも注意が必要です。

ベーコンはハムに変えてもOK

ベーコンはハムに変えてもOK

じゃがいもには大きく粉質と粘質の2種類があります。これはデンプン量の違いによるもので、粉質のじゃがいもには「男爵」や「きたあかり」、粘質には「メークイン」や「とうや」などがあります。

選ぶべきはほくほくとした、粉質のじゃがいもです。スーパーに行くと男爵やきたあかりといった品種が表示されているのでそれを参考に購入しましょう。粉質のじゃがいもは力を入れずに潰せるので、細胞が壊れず、溶出したデンプンによる粘つきが抑えられるのです。

じゃがいもをゆでる場合、大量にじゃがいもを使う場合は皮ごとゆでますが、家庭の量であれば皮を剥いてからゆでたほうが簡単です。じゃがいもの皮を剥くときはピーラーを使います。じゃがいもは細長い形をしているので、包丁で天と地を切り落とし、ピーラーで皮を剥きます。

包丁で剥く場合も同様に天と地を落としてから剥くと作業が楽です

包丁で剥く場合も同様に天と地を落としてから剥くと作業が楽です

芽があれば除去しますが、皮であれば多少残っても問題ないので、神経質になる必要はありません。

じゃがいもの芽にはソラニンという毒素が含まれているので除去します

じゃがいもの芽にはソラニンという毒素が含まれているので除去します

半分に切ってから3等分にします。これでだいたい大きさが揃うはずです。切ってからゆでるとゆで時間が短縮できるので「ゆで足りない」という状態が回避できます。にんじんは5mm厚のいちょう切りにしましょう。

大きさをそろえるのが重要です

大きさをそろえるのが重要です

ポテトサラダづくりで最大の関門は味付けです。ふつうはじゃがいもをゆでた後に味をつけるのですが、この塩加減がなかなかむずかしいもの。

簡単につくる秘訣は塩水でゆでること。500mlに対して4gの塩(重量比で0.8%の塩)を加えて、中火にかけます。塩を加えることでジャガイモの細胞壁を構成しているペクチンが溶けやすくなり、やわらかくゆで上がる効果もあります。

じゃがいもに水が浸かっている必要があるので適切なサイズの鍋を選びます

じゃがいもに水が浸かっている必要があるので適切なサイズの鍋を選びます

沸騰したら弱火に落とし、静かな火加減で15分ゆでます。沸いたら一緒ににんじんもゆでてしまいましょう。ここで野菜をゆでる、という調理工程を学びましょう。

にんじんは彩りと甘みの要素です

にんじんは彩りと甘みの要素です

じゃがいもは水からゆでるのが基本です。お湯からゆでると先に外側に火が通ってしまい、糊化したデンプンが水分の吸収を妨げるので、なかなか火が通らないからです。一方、「根菜は水から、葉物は湯から」という言葉がありますが、にんじんは根菜ではあるものの、お湯からゆでたほうが早くやわらかくなります。

野菜は加熱すると一度硬くなった後に、やわらかくなります。60〜70℃に加熱すると、酵素の働きなどで細胞壁を構成しているペクチンが変性して硬くなるからです。にんじんは水からゆでるとこの温度帯を通過する時間がかかるので、硬めにゆで上がりますが、お湯からゆでればすぐに温度が上がるので、やわらかく仕上がるのです。

そのあいだにきゅうりと玉ねぎの下処理をしましょう。きゅうりは小口切り、玉ねぎは薄切りにして、ボウルに入れます。1%の塩分(今回は1.5g)を振り、全体に和えましょう。5分くらい待つとしんなりしてくるので、手でもみます。『猛暑乗り切る強い味方「きゅうり」おいしく食す技』で説明したきゅうりもみのテクニックです。

『猛暑乗り切る強い味方「きゅうり」おいしく食す技』 ※外部サイトに遷移します

今回はきゅうりと玉ねぎを一緒に調理していますが、分けて調理すると丁寧です

今回はきゅうりと玉ねぎを一緒に調理していますが、分けて調理すると丁寧です

水を加えて表面を洗い、塩分を流します。この段階で玉ねぎの味見をして、辛みが抜けていることを確認しましょう。

じゃがいもの味を生かすため、きゅうりと玉ねぎの味をすこし抜きます

じゃがいもの味を生かすため、きゅうりと玉ねぎの味をすこし抜きます

玉ねぎの辛みが抜けていたらザルで水気を切り、キッチンペーパーでさらに水気を抜きます。

キッチンペーパーが破れないように丁寧に

キッチンペーパーが破れないように丁寧に

ベーコンを炒めていきます。2mmの千切りにしていきましょう。

ベーコンではなくハムを使う場合、炒める必要はありません

ベーコンではなくハムを使う場合、炒める必要はありません

オリーブオイル小さじ1(分量外)をしいたフライパンにベーコンを入れ、中火にかけます。音がしてきたら弱火におとし、じっくりと炒めましょう。ベーコンを炒める時、火が強すぎると跳ねることがあるので注意。

ベーコンの香ばしさもおいしさにつながります

ベーコンの香ばしさもおいしさにつながります

じゃがいもに串や箸などを刺して、やわらかく煮えているかを確認し、ザルなどで水気を切ります。

ゆで足りないよりはゆですぎくらいのほうがおいしくできます

ゆで足りないよりはゆですぎくらいのほうがおいしくできます

鍋に戻し、中火にかけます。鍋をゆすりながらじゃがいも表面の水分を飛ばします。工程上、にんじんが入ってしまっていますが、これが粉吹き芋です。

この状態で焼いた肉や魚に付け合わせてもおいしいでしょう

この状態で焼いた肉や魚に付け合わせてもおいしいでしょう

ボウルに移し、ベーコンを油ごと加え、米酢小さじ1で下味をつけましょう。じゃがいもが熱いうちに酢を振ることで味が浸透します。

米酢を使っていますが、酢の種類はなんでもかまいません

米酢を使っていますが、酢の種類はなんでもかまいません

玉ねぎときゅうりを加えます。

玉ねぎときゅうりを加えることでじゃがいもの温度も下がります

玉ねぎときゅうりを加えることでじゃがいもの温度も下がります

好みで、黒コショウで味付け。じゃがいもが温かいうちに黒コショウを振ると香りが立ちます。お子さんも食べる場合は黒コショウを省略してください。

黒コショウを多めに入れるとお酒にあう大人の味に

黒コショウを多めに入れるとお酒にあう大人の味に

じゃがいもの温度が40〜45℃になったらマヨネーズを加えて和えます。味にムラがあったほうが味にリズムが出て、おいしいので混ぜすぎないこと。

マヨネーズは市販品を使っています

マヨネーズは市販品を使っています

じゃがいもをつぶして、食感を調整します。滑らかなポテトサラダに仕上げたい場合はじゃがいもが熱いうちに潰したほうが楽なのですが、今回はある程度食感を残したいのでこの段階で調整しています。お店では調理用の手袋をして、手で潰したりしますが、このくらいの量であれば木べらやフォークでも大丈夫。

フォークがつぶしやすいです

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材料をもっと減らしても同じような満足感は出ますが、今回はきゅうりやにんじんが入った王道的なレシピをご紹介しました。余ったポテトサラダは冷蔵庫で保存しますが、最初に述べたとおり味は落ちていきます。その場合は出したてを食べるよりも室温に少し戻してから食べるとカバーできるでしょう。

個人的にはポテトサラダにはビールが最高に合うと思っているので、好きな方はぜひ。

ポテトサラダは和風の器にもよくあいます

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(写真はすべて筆者撮影)

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提供元:実は"出来たて"が絶品「王道ポテトサラダ」作る技|東洋経済オンライン

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