2023.01.20
仕事中「なぜか余裕な人」が頭の中でやらないこと|マルチタスクをあきらめると能率が上がる理由
やるべきことが多すぎて、集中力を欠いてしまう。マルチタスクが上手にできない……。そんな悩みを抱える人も多いことでしょう。理学療法士の大橋しん氏は「今この瞬間に、この体ができることは、残念ながらひとつしかない。頭の中には常に今の仕事ひとつしか入れないようにすれば、パフォーマンスは必ず向上する」と言います。『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』を上梓した大橋氏が解説します。
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ぐるぐる思考をスローダウンしよう
私たちがいま、便利で快適な生活ができているのは、人間の持つ思考能力のおかげです。科学技術に芸術、制度や文化など……思考は、人類に非常に多くの恩恵をもたらしました。
しかし一方では、思考は緊張製造機でもあります。思考は、「あれがイヤ」「あれが欲しい」という理想と、「でもそうじゃない」という現実との間にギャップをつくり、体を緊張させてしまいます。
緊張は頭脳や肉体のパフォーマンス低下につながってしまうので、かえって理想や目的地から遠のいてしまう……という悪循環に陥ってしまうのです。
でも自然体の人は、余計なことは考えませんし、余計な緊張もありません。目的地まで悠々と、最短距離で歩んでいくことができます。なので、「思考を減らしていこう!」というのが、私の主張です。
「考えるのをサボっていたら、社会で生き残れないんじゃないか?」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。人間の頭脳や肉体のパフォーマンスが最大に発揮される「ゾーン」「フロー」という超集中状態では、思考は静まり、時間はゆっくりと感じられます。せかせかとあれこれ考えるよりも、頭の中をスローダウンさせるくらいが、パフォーマンス向上という観点からも望ましいのです。
とはいえ、人間は思考を働かせなければ、社会生活を営んでいくことはできません。
心身を緊張させずに、思考を働かせていくコツは、今ここの体に戻ること。五感や空間にひらいていくことです。そのための具体的なヒントをひとつお伝えしましょう。
思考の量を減らせばパフォーマンスが上がる
いつも余裕な人って、いますよね。ゆったりと構えていて、落ち着いているのに、集中力もある。自分のやるべきことをキッチリやっているのに、仲間のサポートにも余念がない。いつもリラックスしているので、誰とでもオープンなコミュニケーションがとれる……。そういう「余裕な人」の頭の中は、どうなっていると思いますか。
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まず、頭の中がスッキリ片付いています。今やるべきひとつの仕事だけが、頭の中に入っている。資料作成をしているなら、資料作成のことだけを考えていて、頭の中に余計なことが入っていません。
当たり前だと思うかもしれませんが、そうでもないと思います。油断していると、ほかのやるべきこと、気がかりなことが、どうしても頭の中をよぎってしまう。
「あれはどうしようかな?」「これはどうだったっけかな?」「本当に今これをやってていいのかな?」などの雑念や迷いが生じて、頭の中でぐるぐると、目の前の仕事に関係のない思考が回ってしまう……。責任感の強い人ほど、集中力を欠いてしまう可能性があるのは、このためです。
「余裕のない人」の頭の中
考えていることと、やっている仕事が一致しなければ、集中力とパフォーマンスは低下します。そうして「余裕のない人」になってしまうのです。
今この瞬間に、この体ができることは、残念ながらひとつしかありません。今この瞬間だけにかぎって言えば、マルチタスクは不可能です。そこは、どうぞあきらめてください。
そのうえで、今、目の前にある仕事だけ頭の中に入れるようにしましょう。そうすると、思考と行動が一致するので、心身に余裕が生まれ、集中力も上がります。
やるのは当然、ひとつずつです。ほかにやるべきことがあるなら、やる順番を決めて、その順番通りにやると、集中しやすくなるでしょう(紙に書き出してもいいかもしれません)。
頭の中をスッキリ身軽にして、ぜひ「余裕な人」になってください。
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提供元:仕事中「なぜか余裕な人」が頭の中でやらないこと|東洋経済オンライン