2023.01.17
まるで肉!「代替肉パティ」バーガー実食レビュー|ロッテリア、モス、フレッシュネス、ドトール…
ファストフード店で用意されている植物性パティのハンバーガーを食べ比べた。写真はフレッシュネスバーガーのSOYガーデンサラダバーガー(550円)で、プラス490円を支払えばフライドポテトとドリンクがついたレギュラーセットにすることもできる(筆者撮影)
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代替肉とは、大豆や小麦などの植物由来原料を使用したプラントベース食品を意味する。動物の細胞を培養して作られる培養肉も代替肉のひとつだが、ファストフード店ではプラントベース食品の植物性パティが使用されているようだ。その主原料は大豆で、各社、肉に近い旨味と食感を目指している。また、100%植物由来原料のこともあれば、卵や牛乳など動物由来原料が使用されていることもある。
2022年11月、バーガーキングは植物性パティを使用した「プラントベースバーガー」を終売とした。2018年、海外のバーガーキングでは日本に先駆けて植物性パティを使用したバーガー「REBEL WHOPPER」を販売し、「本物の牛肉と違いが判らない」と好評を得ていた。……が、日本では受け入れられなかったか。
植物性パティの注目度が低い理由は?
ほぼ肉と同様の満足感が得られるバーガーであるにもかかわらず、どうして終売に至ったのか。あくまで筆者の推測だが、それには「知名度が低い」という理由と、「植物性パティの味が未知すぎる」が理由としてあるのではないだろうか。本当に肉と同等の金額を支払って肉と同等のおいしさを得られるのか? という「未知なるものに対する不安」があるのかもしれない。
財務省が2022年5月に発表した代替肉市場の調査報告によると、調査対象者の約30%が「わざわざ食べる必要がない」という理由、約20%が「美味しくない、または美味しくなさそうだから」という理由で代替肉を購入していないことが判明している。
2022年12月時点、日本のファストフードチェーンでは、モスバーガー、フレッシュネスバーガー、ロッテリアが植物性パティを使用したバーガーを販売している。今回は実際に植物性パティバーガーを食べ、そのレビューをお伝えしたいと思う。筆者の評価を★の数で記載しておくので参考にしてほしい。★5つで満点だ。
●ザ・ベジタリアン・ブッチャー「ホーリーカウビーフサンド」
2010年にオランダのデン・ハーグでオープンした代替肉の先駆者的ハンバーガーショップ「ザ・ベジタリアン・ブッチャー」。日本でも宅配と通販から展開をスタートし、現在は東京・池袋で実店舗の展開をしている。仕上がりはハンバーガーというよりサンドイッチに近いデザイン。ふわっふわで表面クリスピーなパンにサンドされているのはビーフパティテイストの植物性パティ。手ごね感あふれる極厚な植物性パティの肉感は極まっており、ディープに焼かれた表面がソースをたっぷりと吸い込んで風味絶佳。
その食感は素晴らしく、食べればホロホロと崩れていく流れはもはや「ビーフパティよりビーフパティ」。見ため、食感、テイスト、そのすべてが牛肉の擬態に成功しているといえる。
植物性パティだと気が付かない度: ★★★★★
ボリューム: ★★★★
満足度: ★★★★★
ザ・ベジタリアン・ブッチャーのホーリーカウビーフサンド(1480円)はフライドポテトのほか、マスタードとケチャップが添えられている。筆者的にはケチャップとマスタードをバーガーにたっぷりサンドする食べ方をオススメする(筆者撮影)
植物性パティなのにしっかりモス味
●モスバーガー「ソイモスチーズバーガー」
他店と比べて特に厚みのある植物性パティだと感じた。若干弾力がある食感で、ほどよく粗挽き肉のような「粒」を感じられるのも良い。パティの香ばしさに物足りなさはあるものの、それを補っているのが裏面焼きのバンズ。
食べ応えがあるだけでなく、独自のミートソースによって「モスバーガー感」バツグン。日頃モスバーガーを食べている人が肉の摂取を控え、ソイモスチーズバーガーに乗り換えたとしても高い満足度が得られると感じた。
植物性パティだと気が付かない度: ★★★★
ボリューム: ★★★★★
満足度: ★★★★★
モスバーガーのソイモスチーズバーガー(460円)。その見ためはモスチーズバーガーそのものだが、パティは完全な植物性。言われなければ植物性パティとわからないおいしさを実現している(筆者撮影)
●フレッシュネスバーガー「SOYガーデンサラダバーガー」
植物性パティは強めの弾力があり、ふっくらとした食感で歯ごたえがある。砕けた植物性パティからあふれる肉汁(っぽい)エキス。ソースの爽やかさとトマトのコクが「肉」としての旨味を増幅させているように感じた。
酸味あふれるソースはバーガー全体のジューシーさを増し、さらにレタスが幾重にも重なっていて、とことんみずみずしさを楽しめるのも良い。野菜エキスが植物性パティの旨味を味覚に届ける役目をしているのも素晴らしい連携だ。
植物性パティと気が付かない度: ★★★★★
ボリューム: ★★★★★
満足度: ★★★★★
フレッシュネスバーガーのSOYガーデンサラダバーガー(550円)はレタスたっぷり。細切りオニオンのパリパリ食感もたまらない(筆者撮影)
野菜と植物性パティの調和が楽しめる
●ロッテリア「ソイ野菜ハンバーガー」
しっかりとディープに焼かれた植物性パティは香ばしさバツグン。「肉」としての完成度が高く、あふれるエキスは本物のビーフパティと違わないおいしさで、植物性パティを食べているとは思えない満足度。
たっぷりとサンドされたマヨネーズとケチャップをまとった植物性パティは、もはや完璧なビーフパティテイスト。パリパリのレタスとオニオン、そしてジューシーなトマトとの相性もバツグンで、「『肉』と野菜のおいしさの融合」が楽しめる。どちらも野菜なのだが、それほど仕上がりが極まっている、といえばその完成度が伝わるだろうか。
植物性パティと気が付かない度: ★★★★
ボリューム: ★★★
満足度: ★★★★
ロッテリアのソイ野菜ハンバーガー(430円)。植物性パティがソースに接していないため、よりピュアな「植物性パティ本来の特徴」を確かめることができる(筆者撮影)
●ドトール「全粒粉サンド 大豆ミート~柚子胡椒豆乳ソース~」
とことんヘルシーなイメージを感じさせる名称だが、柚子胡椒豆乳ソースが少なめなこと、全粒粉入りパンを使用していることでパサパサ感を強く感じてしまう仕上がりに。ソースや野菜を増やし、もう少しジューシーな仕上がりにしてほしいところ。
味付けが控えめなためか、植物性パティから放たれる独特な香りを苦手と感じる人もいるかもしれない。
植物性パティと気が付かない度: ★★★
ボリューム: ★★★
満足度: ★★
ドトールの全粒粉サンド 大豆ミート~柚子胡椒豆乳ソース~(360円)。ゴボウ、レンコン、ニンジンのきんぴらが植物性パティにのっていて、シャキシャキ食感が楽しめる(筆者撮影)
食べ比べして感じたことは…
各社の植物性パティバーガーを食べ比べして感じたことは「肉がなくても生きていけるかもしれない」ということ。言われなければ植物性パティと気がつかないレベルのバーガーばかりであり、「肉を食べた充実感を植物性パティから得られる」というのは革命的といえるだろう。
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提供元:まるで肉!「代替肉パティ」バーガー実食レビュー|東洋経済オンライン