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2022.12.28

睡眠の質が低い人が知らない「腸」の重要な役割|便秘や下痢のときに腸はどうなっているのか


眠りにも関係する「腸のしくみ」を説明します(写真:Ystudio/PIXTA)

眠りにも関係する「腸のしくみ」を説明します(写真:Ystudio/PIXTA)

リモートワークの増加で生活が不規則になるなどの影響で、睡眠の悩みを抱えている人は少なくありません。そうした中で、睡眠の質を左右するものとして近年注目されているのが腸です。「ウンチ博士」として知られる辨野義己氏が、睡眠と腸の関係を解説した書籍『最高の睡眠は腸活で手に入る』より一部抜粋してお届けします。

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睡眠と腸内環境との関係

日頃、よく眠れていますか? 寝つきはどうでしょう。夜中や早朝に目が覚めてしまうことはありますか?

あるいは「目が覚めても疲れが取れていない」とか、「日中もなんとなく眠りが足りない気がする」というのもよくある悩みです。

睡眠時間には個人差があり、私のように平均より短くても熟睡感を得られる、いわゆる「ショートスリーパー」もいます。一定の睡眠時間は「量」として必要ですが、すんなりと寝つくことができ、途中で目覚めることがなく、すっきりと起きられる、こうした睡眠の「質」がとても大事です。

ところが最近は、不安や心配事を抱えたり、コロナ禍でリモートワークが増えて生活時間が不規則になるなど、睡眠の質を落とす人が増えているようです。

そのため自然な眠りに誘われるような心身のケアや寝室の環境整備など、睡眠対策への関心が高まっているようです。

たとえば、赤ちゃんは「眠いと手足が温かくなる」とよくいわれますが、大人でも手足など末梢の体温が上がり、体の中心部の体温が下がると寝つきやすくなります。そのため眠りにつくときに体温が下がるようであれば、寝る前にお風呂に入るようにしたり、暑い夏、寒い冬には寝室の温度を心地よく保つ、リラックスできるような寝具や衣類を取り入れたりすることなども有効だといわれています。

さらにわかってきたのは「睡眠と腸内環境との関係」です。眠りを司る脳の睡眠中枢と、消化器官である腸に関係があるなんて、にわかには信じられないかもしれません。

因果関係はわかっていない部分も多いですが、決して無関係ではないことがさまざまな事象から明らかです。腸をよい状態に保つ「腸活」によって、上質な睡眠も得られるとしたらうれしい限りです。

腸といえば、多くの人が悩んでいるのがお通じの問題ではないでしょうか。腸活への関心も年々高まっていて、長らくこの分野に携わってきた私にはうれしいところですが、むしろ健康情報があふれすぎていると思えるほどです。

講演などで腸に関するお話をするといろいろな質問を受けますが、その中にはすでに古くなってしまった情報や誤解に基づく内容も多く、ぜひみなさんには情報のアップデートをしていただきたいのです。

昔から、「快食・快眠・快便」は健康のバロメーターだといわれます。「あれこれやってみたのに、眠れない......」という人には、確かにお通じの調子もあまりよくないケースがあるようです。眠れないからそうなるのか、あるいは不健康であるために不眠なのか。負のスパイラルを断ち切るために、腸への意識を高めていただくのが快眠への近道にもなるはずです。

眠りにも影響する「腸」の大事な役割

眠りにも関係する「腸のしくみ」についてご説明します。私たちが生きるためには、食べ物や飲み物を口から取り込み、それを消化、吸収、排泄する消化器官の働きが欠かせません。まず口でしっかりと食べ物をかみくだき、唾液と混ぜ合わせるのが消化の最初のステップです。

食べ物を飲み込むと、胃に30分から3時間ほどとどまって、ぜん動運動とともに胃酸や胃液などと混ざり合い、お粥のようなドロドロの状態になります。アルコールは胃でも吸収されますが、ここではおもに消化を行い、内容物は次の十二指腸に送られて、すい液や胆汁などの消化液が加わって、さらに分解しやすくします。

続く小腸は6〜7mもの長さがあり、お腹の中央にうねうねと折りたたまれて収まっています。内側はひだのような形状をしていて、広げるとテニスコート1.5面ほどの広さがあり、栄養を吸収するための「じゅう毛」がびっしりと密集しています。

その先にあるのが、いよいよ大腸です。小腸より太く、長さは1・5〜2mほどです。順に上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸とお腹を取り巻くようにぐるりと位置していますが、意外にも固定されているのは一部で、ほぼぶら下がったような構造になっています。

その中身はというと、小腸で栄養分の9割を吸収され尽くし、大腸にたどりつく頃にはほとんど「食べカス」に近い状態です。そこからさらに水分やミネラル分などが吸収されながら、ぜん動運動によって少しずつ運ばれ、やがてS状結腸の急カーブを過ぎて直腸へ。そして肛門から半固形状のウンチとなって排泄されます。しかし、ここで出たウンチの全部が食べカスではありません。

ウンチの約80%は水分で、残りの約20%のうち食べカスは6~7%、残りは腸内細菌と腸内ではがれた粘液・粘膜などです。この水分量は排便のしやすさともかかわっており、健康で適正な水分量の人はいきむ必要がほとんどありません。便意を感じてトイレに行けばツルンと出て、時間もほとんどかからないものです。

ところが便秘となって腸に便が長く溜まると、水分がさらに吸収され、その分だけウンチが硬くなってしまいます。そうなるとさらに出しにくくなるわけで、便秘とはまさしく悪循環のもとなのです。

毎日バランスのよい食事をとり、食物繊維が十分に含まれていれば、食べカスの量も増えるので、いっそう出しやすくなります。体とは本当によくできているものだといわざるをえません。

食べたものが排泄されるまでには、早くて1日、長いと3日以上かかります。今朝トイレでお目見えしたウンチは、あなたが一昨日あたりに食べたものの消化されなかったカスが、姿を変えて出てきたわけです。

食べ方は出し方にもかかわると思えば、毎日の食事で何をどう食べたらよいかについても見方が変わってくることでしょう。

「週末トイレ症候群」「各駅停車症候群」が続出中

次に「排便のしくみ」について話しましょう。食事は毎日のことですから、普通に考えれば排便も毎日あるのが健康な状態です。とはいえ何かの理由で1日、2日出ない日があっても、それですぐに異常というわけではありません。

しかし、それ以上になる場合はどうでしょう。一般的な便秘の定義は「3日以上便が出ない」ことを指します。女性や高齢者に多いとされ、以前に600人の女性に対して行ったアンケート調査では、ほぼ半数が便秘の状態にあり、そのうちの65%は「4日以上出ない」という驚くべき結果に。こうした状況を指して「週末トイレ症候群」と呼んだほどです。その原因には偏った食事、運動不足、ストレス、そして過度なダイエットなどがあり、それによって便秘のタイプも分かれます。

腸の働きが悪く、ウンチを「出す力」が足りないのが「弛緩性便秘」です。原因は運動不足で、便を出すためにかける腹圧にかかわっているインナーマッスルが弱いことが関係しています。

また、精神的なストレスによって起こるのが「けいれん性便秘」です。自律神経の乱れによって腸を支える筋肉が収縮し、便が出てもポロポロと細切れになってしまい、ウサギのフンのような形になることもあります。

さらに、肉が好きで野菜が足りない、ダイエットのために食事量が少なすぎるなど、偏った食事によって起こる「食事性便秘」、便意があってもトイレに行けないなど、我慢することで感覚が鈍くなってしまう「直腸性便秘」などもあります。

女性に便秘の人が多い理由は、ダイエットの影響や男性に比べて筋肉量が少ないことなどが考えられます。また、高齢者の場合は加齢により、腸内細菌のバランスが崩れやすくなることが影響しています。

便秘改善には3つの力が必要

便秘改善には、食事によってウンチを「つくる力」、腸内細菌の助けを借りてウンチを「育てる力」、そして最後にウンチを「出す力」の3つが必要です。

ずっと便秘が続いていると、それがよくないということにさえ気づかなくなってい人もいるようです。それこそが、大問題といえるかもしれません。

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一方、比較的男性に多い「軟便・下痢」の悩みも深刻です。精神的なストレスによる場合が多いのですが、出勤中などに“もよおす”ことが多いため、駅などでトイレの確保が必須。その瞬間がいつやってくるかわからないため、「こわくて急行電車に乗れない」という状況から、こちらは「各駅停車症候群」。電車の中で脂汗をかきながら次の駅を待つ......というつらさは経験した人にしかわからないといいます。

下痢は冷えやお酒の飲みすぎなどで起こることもあり、とくに飲酒の後に起こる場合は、腸が“早く排泄しようとしている”と考えることもできます。

便秘と下痢は別々の悩みのようですが、どちらも便通異常の一種です。あまりに繰り返すようなら受診すべき場合もありますが、腸活に取り組むことで解消できる場合もあります。心おだやかによい眠りに至るためにも、便通の対策を怠らないことです。

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寝ても疲れがとれない人がすべき「3つのこと」

「子を産む瞬間」女性の身体の中で起きていること

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提供元:睡眠の質が低い人が知らない「腸」の重要な役割|東洋経済オンライン

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